【Aston Villa×MAN.UTD】痛かったベンテケのスーパーミドル!ファン・ハール采配は7連勝ならず!
試合が始まると…やはり3バックでした。新しく2人めの副キャプテンに指名されたキャリックはCB。ボールを支配するのはマンチェスター・ユナイテッドです。セントラルMFはルーニーとフレッチャーの正副キャプテンコンビでしたが、フレッチャーは攻守ともに不安定。中盤で振り回され、ヴァイマンに縦に走られたシーンにはヒヤリとさせられました。16分、ルーニーのロングボールに、右からボレーを狙ったのはファン・ペルシ。このシュートはGKグザンの正面にいってしまいましたが、中でファルカオがフリーになっており、もう少し角度がついたボールがいけば先制のチャンスになっていたかもしれません。
その直後でした。クロスボールを、ファン・ペルシ同様にペナルティエリア右で受けたのはベルギー代表FWベンテケ。こちらはワントラップを入れて切り返しでジョニー・エヴァンスのバランスを崩すと、あわててタックルにいったCBの足先を抜けて左サイドネットに刺さる完璧な一撃!GKデ・ヘアがまったく反応できないシーンを久しぶりに観ました。早く追いつきたいマンチェスター・ユナイテッドでしたが、中盤では持たせてもらえるものの、なかなかシュートが打てません。
24分、ファン・ペルシの縦パスに反応し、走りながら放ったファルカオのシュートは、この日MVP級の活躍をみせたCBオコレがプレッシャーをかけてグザンの正面。33分、ゴールに向かって飛んだアシュリー・ヤングの危険なクロスも、グザンのセーブで事なきをえます。前半は、両者合わせてシュートが7本しかなく、マンチェスター・ユナイテッドの枠内シュートはわずか2本。中盤の組み立てに時間がかかる状態を改善しなければ、ゲームはこのまま終わってしまうでしょう。
後半頭から、ファン・ハール監督が動きます。フェライニの代わりを果たせなかったフレッチャーを下げ、CBブラケット。キャリックが中盤に上がったことで、マンチェスター・ユナイテッドのパスワークはより活性化しました。最初のチャンスは50分。ルーニーからの縦パスで抜け出したファン・ペルシが左から強烈なシュート。余裕がなかった一撃はグザンが止めやすいコースにいってしまい、落ち着いていたアメリカ代表GKがCKに逃れます。
アウェイチームの攻勢は変わらず、53分、マンチェスター・ユナイテッドがついに同点。左サイドを完全に突破したアシュリー・ヤングのクロスが、ファルカオの頭に初めて届きました。GKの動きと逆のコースに完璧なヘディングを叩かれては、グザンになす術はありません。1-1となると、ファン・ハール監督はファン・ペルシを下げてディ・マリア投入。マン・ユナイテッドのボール支配率は8割を超え、アストン・ヴィラがチェイシングにパワーを取られる時間が続きます。
65分のアグボンラホルの一発レッドは厳しいジャッジでしたが、タックルに入る直前に減速するか、足を削るのを回避するアクションが少しでもあれば、黄色で済んだかもしれません。残り25分、ヴィラは10人。めまぐるしくサイドチェンジを入れて、クロスで中央を破ろうとするマンチェスター・ユナイテッドが勝ち越すのは時間の問題にみえました。しかし、この日のヴィラの最終ラインは崩れませんでした。マタやディ・マリアが中に持ち込んで再三狙ったミドルは、すべてグザンがキャッチ。残り15分、バレンシアに代わってジェームズ・ウィルソン登場です。ここからは、右に回ったアシュリー・ヤングがクロスを放り込む場面が増えますが、ボールはことごとく正確性を欠き、フラール、オコレ、クラークの3バックは慌てません。
試合後、「勝てる一戦だった」という嘆きが許されたのは、アストン・ヴィラのほうでしょう。48分のベンテケのヘッド、71分のクラークのミドル、86分に途中出場のバクナが遠めから打ったバーすれすれのシュートと、攻撃の時間は少ないながらも決定的なチャンスを創っていたのはホームチームのほうでした。マンチェスター・ユナイテッドは、「ゲームを支配させられていた」のかもしれません。前にスペースがほしいジェームズ・ウィルソンはハードマークに動けず、マタやディ・マリアのパスはファルカオにつながりません。引いたポジションからDFの裏が狙えれば、スピードが自慢の2トップは、190センチ近いDFが並ぶヴィラの3バックとヘディングでガチンコ勝負をしなくても済んだでしょう。結局、1-1。サイドを複数で崩すなどの工夫が足りず、確度の低いクロスをクリアされ続けたマンチェスター・ユナイテッドのプレミアリーグ7連勝はなりませんでした。
ファン・ハール采配は悪くなかったと思います。ボールを後ろに下げて誘い込んでもアストン・ヴィラがラインを上げてこないと見るや、中盤で仕掛けができてミドルもあるディ・マリアを入れ、それでも崩せないとなれば、最後に1枚、ジェームズ・ウィルソンを前に足して総攻撃。ひとつ気になったのは、頭よりも足元にほしいウィルソンを出すならば、右に残したかったのは、ドリブルで相手を抜き去ることができて高速グラウンダーを入れられるバレンシアだったかもしれません。いずれにしても、足りなかったのは連携でしょう。2時間前にマン・シティが見せた、サイドで複数の選手が絡んでダイレクトパスで崩していくような攻撃ができれば、あれほど長いクロスに頼らなくてもよかったのではないでしょうか。ルーニーにペナルティエリア内でのシュートがなかったのが、この日のマンチェスター・ユナイテッドの限界を物語っていると思います。
アストン・ヴィラの最終ラインはお見事。ドローという結果は妥当でした。「前がかりになったところをやられなくてよかった」というのが、率直な感想です。
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ヤングでなくバレンシアを下げたのは、ヤングがアシストを決めていたのと、ヤングの利き足が右だということで、右サイドでも左同等のプレーができるだろうと思ったから、なのではないでしょうか?
今後、ファンハールはヤングを右で使うことはないでしょうね(笑)。
フェライニがいたら、まったく別の展開・結果になっていたのでは……思わずそう思ってしまいました。
あと、下位相手に3バックというのは少々疑問です。ガナやセインツ相手に見せたようなカウンターならいいのですが、シーズン序盤のような、選手同士の距離感や位置関係がイマイチ噛み合わない気がします。