プレミアリーグの青い2強、まさかのドロー。弱者を救った2つの微妙なジャッジ!
「(セスクがPKをもらえなかったシーンについて)これは明らかなキャンペーンだよ。専門家やコメンテーター、他クラブの指導者たちがレフェリーにプレッシャーをかけ、レフェリーはこのような間違いを犯す。私たちは勝ち点2を失い、セスク・ファブレガスは警告を受けた(ジョゼ・モウリーニョ監督)」
プレミアリーグ第19節は、首位チェルシーと2位マンチェスター・シティがいずれも引き分けに終わるという小波乱。試合後の指揮官ふたりのコメントには、納得のいかないジャッジへの不満が溢れていました。片やは淡々と、もう一方は激しく、それぞれのキャラクターそのままに。
マンチェスター・シティが本拠地エティハドで2-0を追いつかれたのは、今季最大級のサプライズでした。ペジェグリーニさんが認めているように、このチームはときどき集中力を欠くことがあり、チャンピオンズリーグでもアウェイではありながら格下のCSKAモスクワに2点差をドローに持ち込まれています。バーンリーとの試合は、前半は完璧。23分の先制点は、極上の職人芸。ナスリからのスルーパスで右サイドをえぐったヘスス・ナバスの折り返しはダヴィド・シルヴァの後ろに出ますが、スペイン代表のゲームメーカーは事もなげに反転してシュート。ゴールポストがどこにあるかは背中でわかっている、とでもいいたげなスピーディーな判断と身のこなしでした。33分には、ナスリの落としを受けたフェルナンジーニョが、右足インフロントでバーの下をかすめるシュートをズドン。私は、これを観た瞬間、ゲームは終わったと思いました。このところ9連勝、プレミアリーグは7連勝。11月中旬以降、彼らから2点獲ったクラブはバイエルン・ミュンヘンだけですから。
ところが後半、開始直後にバーンリーに1点を返され、試合はわからなくなります。47分、縦への大きな放り込みからイングスに左に持たれ、中に入ったボールをオフサイドポジションにいたボイドがコースを変えると、GKハートは脇を抜かれてゴールイン。マンチェスター・シティにとって不運なジャッジでしたが、それでもまだ1点リードです。ここから最終ラインを締め直せば、クラブレコードの10連勝は問題なく達成できる状況。しかし、一度緩んだ集中力は、最後まで戻りませんでした。ロングボールの放り込みと強引なミドルしかなかったプレミアリーグ19位のチームに、シュート12本はいくらなんでも打たせ過ぎでしょう。悪夢の瞬間は81分。自陣からの長い長いロングボールをキーンが落として、バーンズの右足はゴール左上。ヨヴェティッチの奮闘及ばず、マン・シティに再度勝ち越すまでの力は残っていませんでした。
尾を引くような失敗ではないので、次戦から切り替えればOKとは思うものの、ヤヤ・トゥレとFW陣を欠く彼らの1月は、エヴァートン、アーセナル、チェルシーと強敵揃い。マンチェスター・シティは、ここでもうひとつふたつは落とすかもしれません。アグエロらが戻ってくる前に、いかにチェルシーに食いついていくか。今こそ、ペジェグリーニ監督の腕の見せどころです。
ところ変わって、イングランド南端のサウサンプトン。チェルシーが勝ち点3を奪えなかったセインツは、リヴァプール、トッテナム、マンチェスター勢、アーセナルとのゲームですべて敗れており、アウェイのセント・メアリーズとはいえ、こちらもモウリーニョ軍団が勝つものと思っておりました。この試合は、セインツ守備陣のがんばりをリスペクトするべきでしょう。
17分、タディッチの浮き球からFWマネがテリーを振り切って独走し、ふわりと浮かせたシュートでクルトワを破って先制してから、フォンテとアルデルヴァイレルトを中心としたセインツの最終ラインは、チェルシーに対して1度しかミスを犯しませんでした。44分、それまでアザールをうまく抑えていた吉田麻也が、2つのタブーに触れてしまいます。アザールとの駆けっこで先にスタートを切らせないことと、絶対に中への切り返しを許さないこと。セスクのパスに抜け出した背番号10は、追いついてきた吉田麻也だけでなく、その内側にいたアルデルヴァイレルトまでかわして強烈なシュート。ここまで完璧にやられては、GKフォースターになす術はありません。
セインツの綻びは、この1回だけ。1-1で折り返した後半は、落ち着きを失わなかったセインツが守り抜きました。特に素晴らしいのは、シュートコースを空けないこと。チェルシーのシュートは9本に留まり、その多くをDFが足元に入ってブロックしました。クーマン監督が指揮するチームのポジショニングの的確さは、横からのボールに弱いアーセナルや、必要以上に下がってしまうマンチェスター・ユナイテッドよりも上かもしれません。モウリーニョ監督がセスクの転倒にこだわったのは、チャンスが少なかった証拠でもあるのではないでしょうか。
55分のジャッジはチェルシーにとって厳しいものでしたが、セスクが倒れたシーンは、脛に右足が引っかかる手前でマット・ターゲットが足を出したとみるかどうかの判断が難しく、取るレフェリー・取らないレフェリーがそれぞれいるのではないかと思いました。チェルシーの指揮官は、一方で勝ち点を獲るためにセインツはがんばったと評価しており、「キャンペーン」などというスキャンダラスな言葉を使ったクレームの何割かは、「次戦以降のレフェリーに対する牽制球」という意味合いだと思われます。ともあれ、今季プレミアリーグの6敗のうち、シュナイデルランが後半までいる試合では2回しか負けていないセインツが、最強チェルシー相手に力を出し切った好ゲームでした。
微妙なジャッジが、弱者に利する結果となった2つのドロー。2強が勝ち点を落とすなか、彼らに迫ったのは、まだまだ差が大きいアーセナルとリヴァプールだけ。モウリーニョVSペジェグリーニのマッチレースは、しばらくは続くでしょう。本日、前半戦が終わりました。明日は、「プレミアリーグ前半戦のベスト11」など、やってみたいと思います。普通に作ったら、真っ青になりそうですが…。
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チェルシー対サウサンプトンは好ゲームでしたね。アザールの得点シーンは、セスクにボールが渡るまでの流れが最悪でした。フォンテとワニャマが被って振り切られたことで、吉田は不利な一対一を強いられましたね。
ただ、全体的にはアザール相手に奮戦してたと思います。フィリペも完封してましたし。ただ、失点の場面で凌ぎ切れる強さを吉田には持って欲しいと思います。あれさえなければ、絶賛できたと思うと残念です。
あとは、マネが非常にいい選手だなぁと。ペッレとのコンビに可能性を感じました。CL圏内に向けて、次のアーセナル戦も頑張って欲しいです。
爪楊枝さん>
アザールのゴールシーンは、最悪、縦にいかれても、中をガードできれば失点には至らなかったかもしれませんね。おっしゃるとおり、吉田麻也は総じてよかったと思います。そしてマネ、いいですね。アフリカネーションズカップで不在の間、新加入のエリアが機能するかどうかが、セインツの2015年の最初の注目ポイントです。
プレミアは、これくらい荒れてくれないと!w
セスクのは、副審は誤審と認めたみたいですね。
モウリーニョは自分がやってることもキャンペーン同然だとは思わないんですかね
aさん あさん>
モウリーニョさん、久しぶりのブチ切れモードですね。おそらく、確信犯で「キャンペーン」をしているのだと思います。
モウさん>
そのお話は、マスコミの報道に問題あり、ですね。副審には最終ジャッジはできないので、「誤審を認める」権利自体がありません。正確にいえば、「自分は主審に進言した」あるいは「主審のジャッジを批判したととれる内幕を披露した」だと思います。主審自らが誤審を認めるのと、今回の副審の発言は大きく意味が違うという認識です。
メディアに完全におどらされてしまいました(笑)
普通に考えればその通りですね。
まあ個人的にはPKを取らないにしても、シミュレーションを取られるのは厳しいと思いましたが(^_^;)
せめて流して欲しかった…
こないだのコスタとウィリアンのとられたシミュレーションといい、チェルシーにはそのようなイメージが強いのでしょうかね?(^^;;
モウさん>
試合を観ているときは、抗議に対するイエローだとばかり思っていましたが、副審のコメントではシミュレーションだと主審が明言したとありますね。私も、これは厳しいと思います。プレミアリーグは全体的にシミュレーションに敏感になっている印象はあり、直近、たまたまチェルシーにPKかどうかという場面が多かった、ということではないでしょうか。