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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Saints×Crystal Palace】残り8分の決勝弾!CL出場権へ首の皮1枚のセインツ、貴重な勝ち点3!

週末はFAカップが開催されるため、プレミアリーグ28節はミッドウィークに全試合開催。上位クラブのカードが水曜日に集中しているなか、ひと足先に戦ったサウサンプトンが気になって観てしまいました。吉田麻也のプレイが観たい、という純粋な動機もあったのですが、より興味があったのは、「直近のプレミアリーグ5試合で1ゴールしか挙げていないセインツが、勝ち点3を奪えるか」。攻撃陣の不振で1勝1分3敗と停滞したセインツが、本拠地セント・メアリーズで勝ち点を落とそうものなら、既に4位マンチェスター・ユナイテッドと4差まで開いているギャップを詰めるのは困難になるでしょう。そうです。この勝負は、「サウサンプトンがチャンピオンズリーグ出場権争いから完全に脱落した試合」になる可能性があるのです。

「セインツの最終ラインが落ち着いている」「これといったピンチがない」のはいつものこと。27試合でわずか20と、プレミアリーグ最少失点を継続中の彼らは、勢いが止まってからも5試合で4失点とさほど崩れておらず、この試合でもパーデュー新監督のクリスタル・パレスにシュートコースを与えません。問題の攻撃陣は、前半戦のキーマンだったタディッチが今日もベンチスタート。左SBバートランドの復帰は大きなプラスのはずですが、1月に加入した元オランダ代表FWエルイェロ・エリアが高い位置にベタっと張っているため、イングランド代表定着をめざす若手SBの突破は見られません。

前半のチャンスは、10分に最前線でマネのシュートを拾ったジュリチッチが右足で大きくふかしてしまったシーンと、39分にCKからエリアが放ったシュートのこぼれ球をペッレがプッシュしたシーンの2回ぐらい。12月20日を最後にプレミアリーグでゴールがないグラツィアーノ・ペッレがラストパスを受ける場面はほとんど見られません。セインツの問題が見えてきました。彼らはサイドを使えなくなってしまったのです。

好調時のセインツは、4-3-3というよりもワントップというべきフォーメーション。サイドが張り過ぎず、低い位置から攻撃を始め、シュナイデルランからの長いフィードやタディッチのタイミングのいいパスに左右のSB、ナサニエル・クラインとバートランドがオーバーラップ。ニアに飛び込むのがうまくヘッドも強いペッレが決めるという攻撃の形がありました。しかし、今の彼らは、ドリブルが好きなマネとエリアが最初から高いポジションを取っており、SBをうまく使えないため中のペッレに横からボールが出ません。ゴールを決めるのが役割のはずのイタリア代表FWは、シュナイデルランやワニャマからの楔のパスをさばくだけ。中盤の仕切り役のシュナイデルランも、短く散らすパスに終始します。両SBが機能せず、攻撃の枚数が2人少なくなったセインツは、ワニャマのミドルという確度の小さい攻撃に頼らざるをえなくなっていました。

後半開始直後はクリスタル・パレスが攻勢です。パンチュンが振り向きざまに打った強いシュートはGKフォースターが体を張ってセーブ。54分、縦パスに右から抜けたボラシエのシュートをGKフォースターが弾くと、リバウンドがザハにつながり、吉田麻也を一瞬かわして放った一撃が左ポストを直撃!最大の危機をしのいだセインツは、60分にエリアに代わってタディッチが入るとサイドが活性化し始めますが、引いた相手に対して、上がってくるのに時間をかけたシュナイデルランのクロスでは、さすがのペッレも先に触れません。

時間は、刻一刻と過ぎていきます。67分、ジュリチッチがクラインを走らせたパスこそ、今のセインツにほしいプレイでしたが、グラウンダーはペッレに通らず。69分のCKに合わせた吉田麻也のボレーは惜しかった!完全にDFに勝って先に触ったものの、ボールはわずかに左ポストの外。残り20分、クーマン監督はついにペッレを諦めシェーン・ロング。78分にはジュリチッチを若手成長株のウォード=プラウズに代え、ゴールを奪いにいきます。

82分、指揮官の采配が当たりました。中央から持ち込んでひとりかわし、強烈な左足シュートを放ったのは入ったばかりのウォード=プラウズ。GKスペロニが弾いたボールは、マネの足元に入りました。背番号10の冷静なチップキックがゴールに吸い込まれると、セント・メアリーズは大歓声。セインツが、プレミアリーグ4位争いに残った瞬間です。

クリスタル・パレスの反撃にウォード=プラウズが2回危ない守備をして招いたピンチは、最終ラインが冷静に処理。91分、右からの決定的なクロスをスライディングでカットした吉田麻也は見事でした。タイムアップの笛とともに、クーマン監督は大きく手を広げてガッツポーズ!サウサンプトンが好調クリスタル・パレスを1-0で下しました。

吉田麻也はポジショニングとプレイの選択がよく、最終ラインを落ち着かせていましたが、ザハのようなスピードのある選手にもっとハードに当たれないと、アルデルヴァイレルト以上の信頼を得るのは難しいかもしれません。危なかったセインツ。彼らの攻撃の課題を端的に表現すれば、「いちばん積極的にシュートを放っていたのは、中盤の守備の要であるワニャマだった」となります。次戦のプレミアリーグ、最強のチェルシー戦までの10日間で、クーマン監督は攻撃を改善できるのでしょうか。残り10試合、負けられないゲームが続きます。(ヴィクター・ワニャマ 写真著作者/Memorino サディオ・マネ 写真著作者/Steindy)

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