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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Saints】GKのビッグセーブ合戦はドロー決着。セインツ、欧州争奪戦に残った!?

われわれ日本人のプレミアリーグファンには残念なことに、アルデルヴァイレルトの復帰により吉田麻也はベンチスタート。両SBにナサニエル・クラインとバートランドが揃ったサウサンプトンの最終ラインは万全です。最近ゴールが決められなくなったグラツィアーノ・ペッレに代わり、シェーン・ロングが最前線となった攻撃陣は、ゴール欠乏症を撃退できるでしょうか。一方のチェルシーは、残り試合数がマンチェスター・シティより2試合多いながら勝ち点5差をつけており、ラスト11試合で1分け3敗ならプレミアリーグ優勝です。上位対決を3つ残しているとはいえ、ここまで2敗のチームが、これから3敗はないと思います。この試合の興味は、優勝争いよりも、「スイス旅行でリフレッシュしたセインツが、得点力を回復してチャンピオンズリーグ出場権争いに残れるか」のほうでしょう。

開始早々の5分、アザールとウィリアンのコンビから、ベストメンバーのチェルシーがゴールに迫ります。プレミアリーグで最少失点のセインツからゴールを奪うのは大変なのではないか、と思いながら観ていると、11分にチェルシーがあっさり先制します。中に切り込むことを諦めたアザールが右サイドのイヴァノヴィッチに預けると、長いクロスにジエゴ・コスタがどフリー。至近距離からのヘッドにGKフォースターはお手上げでした。1-0となると、セインツはすかさず反撃。12分、バートランドとタディッチの左サイドの崩しから、タディッチのグラウンダーをマネがボレー。クルトワが身を挺して防ぎ、同点はならなかったものの、タディッチがいいときのフォームを取り戻せばセインツにも充分チャンスはあります。

ずっとゴールが遠かったセインツが、失点から10分も経たないうちに追いつくとは思いませんでした。18分、左から突破を図ったマネをマティッチが倒してしまい、PK。タディッチのシュートはクルトワが体に当てたものの、ボールに勢いがありゴールイン。攻めているのはセインツです。22分、裏に飛び出してクルトワと1対1に持ち込んだシェーン・ロングはぎりぎりオフサイド。チェルシーも失点の少なさではセインツに次ぐプレミアリーグ2位。パリ・サンジェルマンが80分以上ゴールを奪えなかったチームが、そう簡単に2点めを許してくれるとは思えません。

しかし、セインツは攻めまくります。29分、左から突破したタディッチの地を這うような一撃はクルトワがナイスセーブ。その1分後、やはり左をワンツーで抜けたバートランドのクロスに、ニアでクルトワと絡んだシェーン・ロングはあと一歩及ばず。チェルシー守備陣が必死でボールを掻き出し、事なきをえるものの、モウリーニョ監督のチームにいつもの冷静さがありません。33分にもシェーン・ロングが簡単に裏を取り、こちらもフリーになりかかっていた左のマネにシュートを打たせると、これはうまく当たらずクルトワがキャッチ。先制した後のチェルシーのチャンスは、46分のジエゴ・コスタのヘディングシュートぐらいです。ハーフタイムは1-1のイーブンながら、前半は完全なるセインツの時間でした。

後半わずか1分、PKの際にイエローをもらっていたマティッチがマネを引っかけて、スタジアムを騒然とさせます。アルデルヴァイレルトのFKはジャンプ一番、クルトワがセーブ。プレミアリーグ屈指のGKが2人もいるチェルシーじゃなければ、今頃はセインツがリードを奪っていたはずです。モウリーニョ監督はレッドカードを嫌がったのか、54分にマティッチをラミレスにチェンジ。後半はチェルシーが押しています。57分、ウィリアンの強烈なミドルをゴール前で触ったジエゴ・コスタのシュートは左ポスト!GKフォースターがもっと積極的に出ないと、セインツ守備陣は落ち着かないでしょう。

61分、セインツ久しぶりのチャンス。テクニシャンのタディッチがペナルティエリア入り口で3人を翻弄して左のシェーン・ロングに落とすも、シュートはDFにブロックされて勝ち越しには至りません。70分、クーマン監督は2枚代え。前半の攻め疲れがみえるタディッチとスティーブン・デービスが下がり、ジュリチッチとウォード=プラウズが入ります。72分、ウィリアンのクロスにピタリと合わせたオスカルのヘッドと、右からフォローしたアザールのニアへのシュートはいずれもフォースターがセーブ。75分にアザールのスルーパスに左からフリーになったオスカルの決定的なショットも、当たり始めたフォースターが左手で払います。スコアは1-1で変わらず。ピッチサイドでアップしているのは、勝ち点3を奪うための刺客、ドログバとロイク・レミーです。

残り10分、ロイク・レミーが登場。勝ち点3が欲しいセインツは防戦一方。82分に入った両者の最後のカード、グラツィアーノ・ペッレとクアドラードは大きな仕事ができるでしょうか。アスピリクエタが惜しいシュートを放ったのは89分。CKからクアドラードのシュートをフォースターが弾き、こぼれ球をテリーが連発で狙ったのは90分。クーマン監督、モウリーニョ監督とも表情は冴えません。結局、ドロー。ロイク・レミーにもペッレにも、シュートチャンスは巡ってきませんでした。

おもしろい試合でした。GKがいいと、ゲームは締まります。後半のチェルシーの攻撃は迫力があり、彼らが取りこぼしたというよりは「セインツが踏ん張った」という表現のほうが適切ではないでしょうか。チェルシーを観ていて気になったのは、セインツのチャンスのほとんどが左からだったこと。マネとバートランドという強力なコンビがいたのも確かですが、チャンピオンズリーグでも時折見られたように、今季プレミアリーグでフル出場を続ける右SBイヴァノヴィッチが戻りきれないシーンが目立ちます。一方のセインツは前半の出来がよく、勝ちたかったゲームでしたが、勝ち点1を死守したことで、この後のゲームでトッテナムが頑張ってくれれば4位との勝ち点差をキープできる可能性があります。優勝へ一歩、チャンピオンズリーグ出場権へ首の皮一枚。プレミアリーグ終盤戦らしい必死の攻防を堪能しました。今夜は、両者に乾杯です!

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