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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

完勝マン・シティ、競り負けチェルシー。メンタルが分けたプレミアリーグTOP2の明暗!

土曜日の23時。熱狂的サポーターなら迷いなしですが、雑食系のプレミアリーグファンとしては対戦カードを見ながらいろいろ悩みます。リヴァプールVSウェストハム、マンチェスター・シティVSワトフォード、チェルシーVSクリスタル・パレス、そして岡崎慎司のレスターは侮れないボーンマス。一見、クリスタル・パレスがおもしろそうと思ったのですが、TVの大画面と日本語解説の魅力に抗えず、ライブではマン・シティを観てしまいました。いや、「しまいました」はサポーターのみなさんに失礼ですね。しかしこれは、褒め言葉と受け取ってください。今ひとつ勝負としての盛り上がりに欠け、結果もあまりにも順当だったので、激闘のスタンフォード・ブリッジを観るべきだったなと思ったのです。この稿では、波乱だらけのプレミアリーグ第4節のなかから、昨季のTOP2にフォーカスして明暗を追いかけてみたいと思います。

エティハドのマンチェスター・シティに対して、プレミアリーグに昇格したばかりのワトフォードが前半0-0と健闘しました。アウェイチームのプライドは、プレミアリーグ得点王のアグエロといえどもフリーで打たせないことと、多少プレスがきつくともマイボールをつなぐサッカーを全うしたいというところにありました。ダヴィド・シルヴァが中盤で隙を窺い、スターリングが左から突破を図り、ヘスス・ナバスが右から執拗にグラウンダーを通そうとするマン・シティのスタイルはいつもどおり。アウェイチームは中盤で新戦力のベーラミがコントロールしようとするものの、力の差は歴然としており、ワトフォードの攻撃にコンパニやジョー・ハートが慌てるシーンはありません。

後半に入ってわずか2分、マンチェスター・シティはそれまでの45分が嘘のようにあっさりと先制します。ダヴィド・シルヴァが中盤で粘り、右サイドで空いていたサニャにパスを通すと、アーリークロスに反応したスターリングが最終ラインの裏に出ます。軽く合わせたボレーは、ここまでファインセーブで耐えていたGKゴメスをあざ笑うかのようにゴールイン。これで余裕が生まれたマン・シティは56分、ダヴィド・シルヴァのパスに右から上がったフェルナンジーニョが見事なミドルをクロスに叩き込み、2点差としてゲームを終わらせました。

開幕から4連勝は、クラブ新記録のプレミアリーグ10連勝。好調のマンチェスター・シティにおいて、この夏最高にポジティブだった契約は、スターリングでもオタメンディでもなく、8月7日に発表されたペジェグリーニさんの任期延長だったのではないかと思います。グアルディオラ氏の名前が取り沙汰され、昨季は解任の噂まで出ていた指揮官にこの先2年をまかせるというクラブの意志表示は、選手たちから雑音を取り払い、集中力と団結力を高める効果があったのではないでしょうか。彼らの最大の好調要因は、昨季は停滞していた時期があったコンパニ、ヤヤ・トゥレ、コラロフ、マンガラがフレッシュで力を発揮できていること。そのうえ、ダヴィド・シルヴァとアグエロのコンビネーションが冴え、スターリングが早々にフィットしてプレミアリーグ初ゴールを決めたとなれば、個の足し算ならナンバーワンのクラブが仕上がっていない相手に勝ち点を落とすわけがありません。

一方、無敵を誇るスタンフォード・ブリッジでクリスタル・パレスに1-2とまさかの敗戦を喫したチェルシー。試合後「2~3人の選手がいいコンディションではなかった」とモウリーニョ監督が語ったのは、セスク、イヴァノヴィッチ、ケーヒルあたりを指していたのではないかと思います。イヴァノヴィッチはサコをまったく止められず、クリスタル・パレスの仕掛けのほとんどが左サイド。ボールロストと軽い守備が目立ったセスクは簡単にザハやボラシェの侵入を許し、中央はキャバイェやウィッカム、サコ、ウォードらに再三、いい形でシュートを打たれました。

決定機の数はチェルシーのほうが多く、内容的にはドローが妥当だったのかもしれませんが、アウェイチーム守備陣の気合いが凄まじく、体を張ったブロックでチェルシーの強烈なミドルはすべてストップされてしまいました。ひとつだけはっきりさせておきたいのは、チェルシーが何もかも悪かったわけではなく、クリスタル・パレスが素晴らしいサッカーをしたということです。ただし、昨季のチェルシーなら、こういう試合でも勝利に持っていけていたのだとも思います。

単純化させていえば、モウリーニョ監督は「人を固定して戦術は多彩」、真逆のヴェンゲル監督は「戦術を固定して人を当てこむ」タイプ。ペジェグリーニさんはヴェンゲル寄りで、ファン・ハールさんとロジャースさんは「人も戦術も変幻自在」。ギャンブル成功と空振りが隣り合わせな指揮官です。イヴァノヴィッチが不調となれば、ババを投入してアスピリクエタを右にまわすという手はあるものの、メンバーを固定して熟成度と応用力を高めることを好むモウリーニョさんは、準備不足のフォーメーションをいきなり実戦に持ち込むことはできなかったのでしょう。「誰がどこに入っても自分たちのサッカーができる」ように仕上げるヴェンゲルさんなら、ウィリアンをミケルに代えて右サイドをケアさせるぐらいのことはするかもしれません。ファン・ハール監督は、「ミケルSB」という大胆な起用まで考えるかもしれません。

モウリーニョ監督のチームは、主力にスランプを抱えた選手が出ると、普段オプションを試す機会が少ないために一気に対応が難しくなります。そしてまた、チームとして結果が出ていない現在は選手に迷いが生じ、プレイから余裕を奪っているようにみえます。象徴的だったのは、クリスタル・パレス戦でフリーで放ったシュートの大半が「まっすぐ思い切り蹴ったシュート」だったことです。コースを丁寧に狙ったりキックフェイントでタイミングをずらしたりするフィニッシュがあれば、難しかったゲームを「辛勝」で畳めたかもしれません。この試合では、相手の状況をウォッチして工夫した一撃は、前半のマティッチの左足ぐらいしかありませんでした。

プレミアリーグ2強の明暗は、メンタルによるところが大きいのではないでしょうか。チェルシーに必要なのは、敗戦を引きずらないこと。そして、アウェイのエヴァートン戦はスコアレスドローを覚悟してでもクリーンシート達成に注力することだと思います。ここをうまく超えて、チャンピオンズリーグ緒戦のマッカビ・ハイファ戦で完勝すれば、いい形でアーセナル戦を迎えられるでしょう。ロンドンのライバルとの一戦まで、3週間あります。モウリーニョ監督の手綱さばきに注目しましょう。

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“完勝マン・シティ、競り負けチェルシー。メンタルが分けたプレミアリーグTOP2の明暗!” への3件のフィードバック

  1. シティさぽ より:

    後半からナバスを変えナスリが出てきて
    スターリングの位置が変わってましたね
    それで後半すぐに得点に繋がったのは監督素晴らしい采配だと思います
    デブライネも決まりましたしこのまま勢いに乗って行って欲しいです

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    更新お疲れ様です
    いやーまさか開幕からチェルシーこんなことになるとは笑 ただ、応援する身としては勝ちに慣れすぎてた感も有るんで今後はより真摯に応援していきます笑 今のチームが好きなんで、安易に他から選手を買わずにもうちょい複数人でローテーションさせつつ、たまには若手も使って欲しいですね〜 まずはホントに堅守のブルーズ帰ってきてください笑

    —–
    フェルナンジーニョは圧巻でしたね。攻守ともに大活躍でした。走りすぎでリーグの終盤バテないように祈っています。
    シティはデブルイネの加入が決まり、いよいよ本当にどこからでも点が取れる布陣となりました。
    懸念材料は現状クリシとサバレタが怪我で左右1枚ずつしかないSBぐらいでしょうか。

  3. makoto より:

    シティさぽさん>
    ペジェグリーニさん、鮮やかでした。昨季は先制点が獲れないまま、後半になって先にやられて…という試合もあったのですが、今季はそういう隙を感じません。

    Mさん>
    イヴァノヴィッチが心配ですね。アスピリクエタを右にまわして、少し休ませてあげるのも手かもしれません。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    フェルナンジーニョ、素晴らしいです。オタメンディがサイドもできるので、コラロフが長期離脱しなければいけそうです。

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