【Chelsea×Aston villa】幸運なゴールで何とか勝利…「アザール外し」の納得感と違和感
クリーンシートの勝ち点3は、チームが自信を取り戻すことにつながる素晴らしい成果だったとは思うものの、試合後のいくつかの報道には違和感がありました。ひとつは、一部報道の「モウリーニョ采配的中」という言葉。そしてもうひとつは、「アザールを外したのは戦術的な理由で、うまく守る必要があったから。ウィリアンとペドロがいい守備をして、MFがより機能するようになった。これを継続しようと思っている。アザールの復帰は、ウィリアンらと同様の仕事をするかどうかにかかっている」という趣旨の指揮官自らのコメントです。これらの言葉に疑問を感じたのは、「チェルシーは決してよかったわけではなかったから」です。
34分の先制点は、GKグザンの無理めのパスをレスコットがうまく処理できず、ウィリアンがさらってジエゴ・コスタに決めさせたもの。54分の2点めは、ジエゴ・コスタがファーに走り込んだウィリアンに出したラストパスがDFに当たってゴールに飛び込んだもので、勝利を決める貴重なゴールだったにも関わらず、シュートを打ったわけではないジエゴ・コスタは無表情でした。チェルシーの守備陣は相変わらずサイドを崩されるシーンが多く、11分にババを抜き去ったハットンに冷静にシュートを打たれていたら、これまでのプレミアリーグのゲームと同様に勝ち点を落としていたかもしれません。2点は相手のミスとオウンゴールであり、チェルシーはプレミアリーグ降格の大本命を崩せなかったのです。
イギリスメディア「スカイスポーツ」は、「Eden Hazard dropped by Chelsea: But is Jose Mourinho right?(アザールは外れた…しかしモウリーニョは正しかったといえるのか?」という記事で、ウィリアン、アザール、ペドロについて分析をしています。今季プレミアリーグでノーゴール2アシストのアザールは、チャンスメイクの回数は多いものの、試合あたりのボールタッチ、ドリブル、タックルなどすべての数字が前年より下がっており、貢献度が落ちているのは間違いありません。90分あたりのスプリント数では、同じポジションのライバルであるウィリアンの65、ペドロの62を下回る56で、「サイドアタッカーとして同僚より献身性が低い」と取ることもできます。
しかし一方で、数字が悪いことをアザール個人の出来にすべてかぶせるのは短絡的かもしれず、スカイスポーツは「変わったのはアザールではなくチェルシーのほうではないか」ともいっています。私は、アザールではなくペドロを代えるというアプローチもあるのではないか?と思っておりました。守備に戻れないシーンがあるという意味では、2人のサイドアタッカーにさほど差は感じられず、より危険なのはペドロとイヴァノヴィッチのサイドだと見ていたからです。土曜日のゲームについていえば、守備の安定度は「完封という結果からは増したようにみえる」ものの、ババが孤軍奮闘する場面もあり、ウィリアン頼みの攻撃には迫力がなかったとも思いました。
アザールを外した結果は、初戦を見る限りでは功罪半ば。チェルシーがよくなったかといわれれば、要経過観察。采配的中でアストン・ヴィラに勝利というのはさすがにいいすぎで、「うまくいったとはいえなかったが、勝って当然の相手に何とか勝った」というぐらいのニュアンスではないでしょうか。次戦のプレミアリーグで当たる絶好調のウェストハムが、いいリトマス試験紙になるのではないかと思います。
戦術的には、相手を引かせる効果が高いアザールを外すのは微妙と思いつつ、「変化が必要だったので思い切った」「アザールの奮起を促したかったのでマネジメントとして外した」のなら、モウリーニョさんの意図はよくわかります。アスピリクエタとババの両サイドも試したかったことのひとつで、ヴィラ戦は不安定でしたが、試合を重ねていくうちにこなれてくるでしょう。ロフタス=チークの抜擢も、長い眼でみれば必要です。…こうして並べていくうちに、違和感の正体が見えてきました。もろもろ異論はありながらも、総論OK、結果オーライだと思うのですが、ひとつだけ腹に落ちないのは「指揮官のしゃべり過ぎ」です。
昨季は手離しでほめ続けたプレミアリーグMVPを、守備を理由に外し続けるかもしれないとメディアにいってしまうのは、いかがなものでしょうか。アザールが昨季のレベルに戻れば、多少守りに目をつぶっても起用するでしょう。外向けには「今回は戦術的な理由で外したけど、彼が100%ならもちろん使うよ」でいいではありませんか。ご本人にとっては寝耳に水で、ストレスをためているのではないか、メディアに選手のダメ出しをするようになったモウリーニョ監督から、選手の心が離れていくのではないかと心配です。土曜日の試合について、指揮官がプラス評価をしてしまうのは危険だと思うのです。彼らは決してよくはなかったのですから。
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おっしゃる通り前半の内容は余り変わり映えしない感じでしたよね。後半は幾分かマシになってはいましたが。アザールの件に関しては奮起を促す為とリフレッシュも兼ねてだと思いたいです。一昨年のアトレティコ戦の後も公けにアザールを批判して、そこ辺りからアザールが守備で走る様になって来た経緯も有りますので。ヴィルモッツもこの前の代表戦でキツイ事言ってましたけど、クラブと代表の違いも有りますがモウリーニョの影響力と注目度は改めて凄いです。
ペドロさん>
サイドでやられる危ないパターンがなくなりませんね。アザールのおしりを叩きたい気持ちはわからなくもないのですが、テリー、マティッチと荒療治が多いので、信頼関係にヒビが入らないか、心配になります。
確かにモウリーニョは、今シーズン喋り過ぎです。
短期間でチームを変え、組織する能力はあれど、長期的にチームを維持→成長させていく能力について、再度疑問を持つ今シーズンとなっています。
彼も今後の方針に関し、上手くいかず苛つき言葉が多くなっているのでは無いでしょうか???
しかし、これは今のサッカー界にはすぐ結果を出す事が必要で、長期的にチームを育てる能力を育てる事が出来ない世界になっているからだと思います。
モウリーニョだけで無く、私はペップもシメオネも、長期に成長させる能力はないと思います。
試合本線とは、外れますが、近頃のモウリーニョを観て感じた事を書いてみました。
汗かきスターさん>
ペップとシメオネさんは、サー・アレックスがマンチェスターに来た時よりも若いので、これからなのかもしれません。長期的にチームを見る能力は、ご本人の志向+経験で培われるもののように思います。
モウリーニョ自身が内容はさほどよくはなかったが結果が大事と会見で言っているので、こういう記事ならそれにふれないのは不備かなと思いました。
そもそも代表ウィーク明けに内容は求めませんし。
コミュニティシールドでヴェンゲルが握手しようとしたモウリーニョを避けたのを、モウリーニョが拒否したと書いたり(あれは訂正されたんでしょうか)、最近いちいち発言を取り上げてた言うべきではなかったと言ったり、ブログ主さんはモウリーニョの発言は楽しんでるといいつつ本当は違うんだろうな、と(笑)
あとプレスの意識が効いて相手のミスを見逃さず高い位置で奪ってのゴールを幸運とは私は思いませんでした。
アザールに関しては今の段階では特に何も、です。大げさに騒ぐほどのこととはまだ思えませんでした。
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VOOさん>
「内容よりも結果が大事」というなら、なおのこと継続云々、アザール云々に触れなくてもいいのではないかと思いました。VOOさんのおっしゃるとおりで、監督が先頭をきって、「アザールのことは戦術的な判断でときどきあること。特に、何も」にしておけばよかったということですね。
モウリーニョさんの発言は大好きなのですが、今季になってからは、微妙な発言が増えて「いわなくてもいいのになあ…」と思うことが増えたのは事実です。基本的にはネガティブな話は好きではなく、避けてとおりたいほうなのですが、気になることを黙して通り過ぎるのはそれもまたいかがなものか、と逡巡しつつ書いています。チェルシーが立ち直ればチャンピオンズリーグの頂点にいちばん近いクラブであり、モウリーニョさんが冷静さを取り戻せば、プレミアリーグで最もリスペクトする監督であるという思いは変わりません。いずれどこかで、マンチェスター・ユナイテッドに来てほしいと思うぐらいです。ただし、今のとんがり具合はうまく取っていただいて、ではありますが。
大好きなミハエル・シューマッハに似たものを感じるんですよね。策士であり、技術と知識に長け、マネジメントができる素晴らしい人なのに、子どもっぽいところがあって余裕がなくなると、ついつい暴言を吐いたり乱暴なことをしてしまう、みたいな。シューマッハを最後まで応援し続けたので、モウリーニョさんを嫌いになることはないでしょうね…。
VOOさん>
1点、補足です。私は、「モウリーニョ監督が握手を拒否した」とは一切書いておりません。映像をみて、起こったことをフラットに書かせていただいただけで、どちらがいいも悪いも書いておりません。予断なく読んでいただければわかります。
また、もう1点申し上げると、とくにゲームの観戦記というような即時性の高い情報については、「映像ではこう見えた」「初報ではこう伝えられた」ということが、後で「実は…」と覆ることがあります。重要なお話であれば、「あのときのあれはこうだったようです」とお伝えすることもありますが、この手のことですべてお詫びすることは困難ですし、またその必要があるかどうかも微妙です。「時制」という概念だけは含んでコメントいただけると、大変助かります。
あれと思い確認しましたが8/4の記事で「アーセナルの選手ひとりひとりと握手していたモウリーニョ監督は、ヴェンゲル監督とは一切絡まず。」とありました。普通に読めばモウリーニョがヴェンゲルを避けたというように読めますよね。絡もうとして避けられたのに「一切絡まず」ですから。
原則細かいことはブログ主さんのおっしゃる通りと思います。今回は最新のファルカオの記事ですでにその報道に対するモウリーニョの発言は出ていたのに触れていないなど、最低限のリサーチ不足もしくはフェアネスの欠如を少し疑う事例が続いたので、もしやあの時のあれもと思った次第です。
根本的には何をどう書こうがブログ主さんの自由なのは承知しています。
VOOさん>
VOOさんを批判したい気持ちはなく、あくまで「釈明」という受け身の言葉だと思っていただいて結構ですが、2つだけ返信いたします。
まずは、「絡まず」という状態を表現する言葉と、「拒否した」という意志による行動を表現する言葉を「自然につなげられる」としたVOOさんの言葉を非常に残念に思っています。ここについては、言葉の選び方を慎重にしなければと思い、選んだところなので。多くの方に「そうだ」といわれれば私が反省しなければなりませんが、「それはVOOさんの予断であって、2つの言葉には大きな差異がある」というのが私の見解です。何よりも、前後にもモウリーニョ監督に対して悪意や批判的なことは書いていないのに、そう取られたということが残念です。
また、フェアネスの欠如ということに関しては、そもそもモウリーニョさんは論理的に矛盾をしていること、私の論旨にはおっしゃるコメントは必要がないこと、仮にモウリーニョさんのそのコメントを入れればモウリーニョさんが不利になり私が有利になることだけを指摘させていただきます。決して、自分に都合が悪いからではなく、都合はむしろよくなるのだけれど、モウリーニョさんの矛盾を指摘する論理学の場でも彼を糾弾する場でもないので、わかりやすさ、柔らかさを重視しただけです。
ひとつ、お考えください。たとえばヴェンゲルさんが、「チャンピオンズリーグで2連敗したけど、クオリティはよかったのでいい負け方だった」とコメントしたとして、「当事者がそういっているのだからいいじゃないか」といいますか?モウリーニョさんの話も同様で、「内容より結果が大事だった」とご本人がいったとしても、ファンや評論家が「いやいや、そうおっしゃいますが、今後のことを考えれば内容を無視できません!」というのはひとつの見識です。「本人がそういっているのだから、突っ込むな」ということ自体が乱暴だと考えますが、いかがでしょうか。
VOOさんに、本気でコメントしていただいたことにはありがたいと思っております。私も、自分の書いたものを振り返るいい機会になりました。冒頭に書いた通り、VOOさんご自身を批判する気持ちはないことと、とはいえ「趣旨の誤解」「アンフェアという非難」を放置できず、拙文をUPしたということをご理解いただければ幸いです。今後とも、よろしくお願いいたします。
何度も人様のブログの場でつっこむのは失礼なので何も言わないでおきます。今回は私は今までのやり取りの時とは違い、自分もここは見落としていたな、と思う所はありませんでしたが。
いや何も言わないでおきますといいながら、当てこすりを最後に書くのもフェアではなかったです。
すみません前のコメ削除していただけるとありがたいです。
真剣にお答えいただいたことに感謝します。