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【MAN.UTD×WBA】美しかったリンガードの一撃。マンチェスター・ユナイテッドは2-0完勝!

プレミアリーグ第12節。マンチェスター・ユナイテッドはここ2シーズンのオールド・トラフォードで連敗中のWBAとの一戦です。ファン・ハール監督は、マルシアルとルーニーを最前線に起用。マタとリンガードを左右に配するチャンピオンズリーグのCSKAモスクワ戦と同じスタメンを選びました。ジョニー・エヴァンスとダレン・フレッチャーが古巣対決となるWBAは、4勝2分け5敗でプレミアリーグ12位とまずまずのポジション。ベラヒーノはベンチスタートながら、ワントップのサロモン・ロンドンはフィジカルが強く、キープ力がある要注意のストライカーです。立ち上がりから引いて構えるWBAに対して、マンチェスター・ユナイテッドは窮屈そうにプレイしています。圧倒的にボールは支配しているものの、前の選手に連動性がなく、ほとんどのパスが足元へ。ルーニーがチーム最初のシュートを放つまでに11分かかりました。

ヤコブが中盤の底に入り、ペナルティエリアのすぐ外を空けてくれないアウェイチームに対して、バスティアン・シュヴァインシュタイガーが前線に走ってスペースを創ろうとしています。16分の決定機は、ルーニーの動きをよく見ていたバスティの素晴らしいパスからでした。キャプテンがDFを引きつけて右のマタをノーマークにすると、マタはインフロントで巻いてファーポストを狙いますが、曲がり切らずに惜しくも外。24分、ブリントの縦パスをキャリックがスルーしてバスティが最前線に抜け出しかけたシーンは、トラップが大きくなりシュートまでいけず。28分のCKも、こぼれ球を狙ったバスティの左足シュートが高く浮いてしまいます。

プレミアリーグの4勝はすべて1-0で守り勝ちのWBAは、30分過ぎまでマルシアルを完全にシャットアウト。40分、敵陣でのミスを突いたホームチームは、マルシアルから縦に抜けようとするリンガードへとパスがつながりますが、シュートをブロックされて先制はなりません。44分、ようやくマルシアルがゴール前でひとりかわして強いシュートを放つも、GKマイヒルの正面です。WBAはシュート1本で前半を終了。マンチェスター・ユナイテッドは、さまざまなエリアに顔を出すルーニーのプレイは悪くなく、マタが自在に動いてチャンスメイク。キャリックとシュヴァインシュタイガーも積極的に上がってはいるものの、9人に引かれると、なかなかフリーの選手を創れません。戦い方は悪くないと思いますが、何かを加えるとすれば、相手を前に引き出すミドルシュートとSBアシュリー・ヤングを使った右サイドからの崩しでしょう。

後半、先にチャンスをつかんだのはWBAでしたが、クロスは通らず、5分を過ぎるとホームチームのペース。52分、マルシアルが左から突破を図ると、クロスのクリアを拾ったのはジェシ・リンガードでした。ワントラップして力まずに放ったコントロールショットは、きれいにゴール右隅へ。22歳のサイドアタッカーのプレミアリーグ初ゴールが、難しい試合の均衡を破りました。WBAは、これまでのように自陣にこもっているわけにはいきません。リードしたファン・ハール監督の最初のカードは、アシュリー・ヤングをフィル・ジョーンズ。背番号4はそのまま右SBに入り、アウェイチームのサイド攻撃をケアするようです。

ピューリス監督が勝負を賭けてきたのは、残り20分を切ってからでした。サロモン・ロンドンとモリソンに代えて、リッキー・リー・ランバートとベラヒーノという「高さと速さ」。72分のFKはフレッチャーのヘッドが右に逸れ、2分後に右SBドーソンが入れた素晴らしいクロスは、完全にフリーだったベラヒーノがヘッドを上げてしまいます。ピンチが続くマン・ユナイテッドは、ロホに代えて何と18歳のキャメロン・ボースウィック・ジャクソンです。76分、マンチェスター・ユナイテッドがチャンスをつかむも、マタが最終ラインの裏を狙った浮き球はジョニー・エヴァンスにブロックされ、キャリックの左足ミドルもDFにはね返されて追加点は決まりません。

82分、ファン・ハール監督最後の1枚は、ルーニーをエレーラ。逃げ切りを図る布陣となり、このまま終わるかと思われた90分、マンチェスター・ユナイテッドのカウンターが発動しました。エレーラからのパス一発でフリーになったマルシアルがドリブルでペナルティエリアに入ると、マコーリーが足をかけてしまいPK&レッドカードです。マタのキックはGKマイヒルの読みを外してど真ん中、2-0。マンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ、CL、カップ戦を合わせて5試合連続のクリーンシートでゲームを締めました。

0-0、1-0の時間が長く、安心できないゲームでしたが、今までよりも狙いが明確になっており、次につながる一戦だったと思います。キャリックとシュヴァインシュタイガーは前への意識が高まっており、ルーニーもよくなってはいるものの、もっとシュートを打ってほしいゲームではありました。今のマンチェスター・ユナイテッドに足りないのは、連動性ではないでしょうか。セントラルMFから縦のボールが前線に出たときに、落としをもらう選手が入ってくれば、チャンスの数は格段に増えるはずです。さらに複数でサイドを攻略する仕掛けがあれば、相手は守備のターゲットを絞りにくくなり、得点力は上がるでしょう。

それにしても、リンガードの一撃は最高でした。ボースウィック・ジャクソンもプレミアリーグデビューを果たしており、若い選手が堂々とプレイしているのを観るのはうれしいものです。アンドレアス・ペレイラが加わり、デパイがフィットしてくれれば、ファン・ハール監督のチームはエキサイティングになるでしょう。鮮やかなゴールが少ないことへのモヤモヤが半分、今後への期待が半分のゲームでした。(アントニー・マルシアル 写真著作者/Дмитрий Голубович)

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“【MAN.UTD×WBA】美しかったリンガードの一撃。マンチェスター・ユナイテッドは2-0完勝!” への3件のフィードバック

  1. MUFC-7 より:

    2枚のブロック∥←こんな感じでボックス付近で固められるとLVGの広く使うサッカーは簡単に抑えられるんですよね…敷き詰められてるボックス付近でさえユナイテッドの選手距離は変わらないため、選手の間には2人くらいの相手選手がいて出しどころに困ります。たまに流動的になりますが、相手の周りでぐるぐるしてるだけで、穴ができません。縦にパスを出された所をケアしていればユナイテッドの選手は簡単に戻して外にはたきますし、ミドルを打たないため相手は素早くつめる必要もない。この繰り返しですので、相手はブロックを崩さずキレイに組織化された守備で簡単に対応されてしまいます。マルシャルに縦パスが入った時を例にあげますとマルシャルの四方に相手選手、遠いところにユナイテッドの選手が4人。ほぼずっとこんな状況ですよね。リンガードの思いきりの良さでなんとか勝ちましたが、不安です。ルーニーは復調の兆しがあってよかったです。

  2. nyonsuke より:

    リンガードは2~3年前ぐらいの
    開幕が始まる前の練習試合で
    香川がトラップミスをしたボールを
    右隅にミドルで決めたのを覚えていますw
    あのとき初めて見て
    シュートがうまい
    特に浮かないように抑えるのがうまい
    と思ったのを 今日のゴールを見て思い出しました
    うまかったですね
    デパイもリンガードに怯むのではなく
    インスパイアーされて欲しいです
    落としをもらう選手がいればいいというのは
    すごい共感できます
    今日はキャリックから良い縦パスが沢山出ていて
    シュバイニーもバイエルンのときのように
    攻め上がるシーンが多く見られただけに
    もどかしく思ってしまいます
    まだまだこれからでしょうか

    —–
    更新ご苦労様です。

    主様は、巷で繰り広げられているファン・ハール監督とスコールズ氏の舌戦についてはいかがお考えでしょうか?
    よくレジェンドと監督の問答はクローズアップされるとは思いますが、スコールズ氏はよくファンの心情を代弁されているかと思います。
    結局は現場の状況は現場でしかわからないということは重々承知ですが、レッズファンの私としても宿敵マン・ユナイテッドの現状と未来は気になるところです。

  3. makoto より:

    MUFC-7さん>
    おっしゃることは、よくわかります。解決策は、ルーニーとマルシアルが近い位置を保つようにするか、マタをトップ下に置くかかなと思いました。結果的には打たないシーンが多かったものの、キャリックとバスティはミドル狙う姿勢がありましたね。改善しようとしているのは伝わってきたので、今後に期待してます。

    chop-マンUファンさん>
    リンガードの活躍はうれしいですね。セントラルMFが攻撃に絡む形が増えてきているので、これからではないでしょうか。シュナイデルランとバスティのコンビでも同じことができるか、はやや不安ですが。

    nyonsukeさん>
    スコールズのいっていることで共感できるのは、「創造性とリスクを!」というところです。敵陣で奪って速く攻める時と、遅攻とをメリハリつけて両方使わないと、「読みやすいチーム」「中を固めておけばいいチーム」になってしまうのではないかと思います。アグレッシブに中盤でチェックした結果、ボール奪取の回数が上がってマイボールが増えるクロップ監督の「結果的にポゼッション」となるのが考え方としては理想的です。

    1点、チチャリートをなぜ残さなかったのかというスコールズの指摘については、出場機会をほしがっていた彼を説得するのは難しかったのでは?という意見です。ジェームズ・ウィルソンがリンガードのように機能するか、デパイがフィットしてセンターでも使えていれば問題はなかったはずですので、ストライカーに関してはマルシアル獲得でまあまあだったかな、と思っています。

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