イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグがTOP20に9クラブ…サッカークラブの収入ランキングをちょっぴり深掘り!

世界的な監査法人のデロイトが毎年発表している 「フットボール・マネー・リーグ」の季節がやってまいりました。2014-15シーズンにおけるクラブの総収入ランキングNo.1は、5億7700万ユーロ(約736億円)を積み上げたレアル・マドリードです!…といっても、欧州サッカーを観続けている方は、誰も驚きませんね。スペインの名門は、11年連続の1位獲得。2位には、同じリーガ・エスパニョーラよりバルセロナが入りました。昨季、チャンピオンズリーグ出場権を逃してプレミアリーグと国内カップのみの戦いとなったマンチェスター・ユナイテッドは、前シーズンより1つ順位を下げて3位。以下、躍進のパリ・サンジェルマン、安心と信頼のバイエルン・ミュンヘン、急成長マンチェスター・シティ、悩ましきアーセナル、これから苦しみそうなチェルシーと続きます。

来季以降は、サンティアゴ・ベルナベウの再開発でマッチデイ収入が伸びる見込みのレアル・マドリードと、欧州復帰による収益とスポンサー収入増が計算できるマンチェスター・ユナイテッドの2強になると見られており、デロイトのシニアマネジャー、ティム・ブリッジ氏は「前年比はマイナスではあるものの、マンチェスター・ユナイテッドが3位をキープしたのは、クラブのビジネスモデルの根本的な強さを示している」と語っています。全体の成長率は8%とまずまずの数字となっており、テレビ放映権料の高騰が収入の増加を牽引。やはり強いのはプレミアリーグ勢で、20位までに9クラブ、40位までに20クラブが入っており、まさに「わが世の春」状態です。と、ここまでは、多くのメディアが報じている情報で、目新しさはないのですが、後半は、メディアがあまり取り上げていない切り口でクラブの収益構造について触れてみたいと思います。まずは、ランキングをどうぞ。

【サッカークラブの総収入ランキング】
1位/ レアル・マドリード(リーガ・エスパニョーラ)    5億7700万ユーロ
2位/ バルセロナ(リーガ・エスパニョーラ)        5億6080万ユーロ
3位/ マンチェスター・ユナイテッド(プレミアリーグ)   5億1950万ユーロ
4位/ パリ・サンジェルマン(リーグアン)         4億8080万ユーロ
5位/ バイエルン・ミュンヘン(ブンデスリーガ)      4億7400万ユーロ
6位/ マンチェスター・シティ(プレミアリーグ)      4億6350万ユーロ
7位/ アーセナル(プレミアリーグ)            4億3550万ユーロ
8位/ チェルシー(プレミアリーグ)            4億2000万ユーロ
9位/ リヴァプール(プレミアリーグ)           3億9180万ユーロ
10位/ユヴェントス(セリエA)              3億2390万ユーロ
11位/ドルトムント(ブンデスリーガ)          2億8060万ユーロ
12位/トッテナム(プレミアリーグ)           2億5750万ユーロ
13位/シャルケ04(ブンデスリーガ)           2億1970万ユーロ
14位/ACミラン(セリエA)               1億9910万ユーロ
15位/アトレティコ・マドリード(リーガ・エスパニョーラ)1億8710万ユーロ
16位/ASローマ(セリエA)                1億8040万ユーロ
17位/ニューカッスル(プレミアリーグ)          1億6930万ユーロ
18位/エヴァートン(プレミアリーグ)           1億6510万ユーロ
19位/インテル(セリエA)                 1億6480万ユーロ
20位/ウェストハム(プレミアリーグ)           1億6090万ユーロ

さて、ここからは、サッカークラブの収益における三本柱である「マッチデイ収入」「テレビ放映権収入」「コマーシャル(スポンサー)収入」について、それぞれの傾向を見つつ、プレミアリーグのクラブの概況について触れてまいります。さて、ワンツーを決めたレアル・マドリードとバルセロナは、どの収入が高いと思いますか?人気クラブで、チャンピオンズリーグの上位の常連だけに、マッチデイと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、チケットやグッズ収入では、スペインの2強は2位と3位。この項目でも売上が高いのは間違いありませんが、そこにはさらに上がいるのです。

いちばん大きいのは、テレビ放映権料で、レアル・マドリードとバルセロナ、ユヴェントスがいずれも2億ユーロ弱と他を圧倒しています。プレミアリーグの放映権料No.1は、昨季優勝のチェルシーですが、1億7800万ユーロは全体の4位。以下、5位から10位まではプレミアリーグ勢が占めているものの、リーグ一括管理で各クラブに分配しているイングランドよりも、クラブが独自で放映権契約を結んでいるスペインがトップクラブにおいては強いという結果になっています。ただし、リーガ・エスパニョーラは、2016年よりテレビ放映権料の一括管理がスタートします。2強の収入は前シーズン並みの数字が保証されているものの、しばらくは彼らの放映権料収入は伸びなくなるかもしれません。ここについては、試合数が多くコンテンツとしての魅力を評価されているプレミアリーグが、相対的に他国よりも大きな収益を得る状況が続く見通しです。

では、マッチデイ収入1位は、どのクラブでしょうか。みなさん、ピンときましたね!そうです。われらがアーセナルです。これを聞いたスパーズ・ジャパンは「悔しいです!」と嘆いており、現地のサポーターは「チケットを安くしろ!」と大騒ぎになりそうですが、まあまあ、ここは落ち着いて、ファンのがんばりがあるからメスト・エジルに来てもらえて、あれだけのアシストを積み上げてくれているわけで…え?それとこれとは別ですか。失礼しました。それでもアーセナルは、ようやく重い腰が上がり、徐々にではありながらスポンサー収入を増やしています。冒頭に「悩ましき」と書いたのは、チケット収入が世界一で、ツイッターのフォロワー数で国内No.1の人気クラブなのに、スポンサー獲得が少ない殿様商売でマンチェスター勢に後れを取っていることを表現したのですが、逆にいえば、彼らは伸びしろが高いクラブともいえます。

スポンサー収入を見ると、イングランドではマンチェスター・ユナイテッドに次いで収入が多いのはマンチェスター・シティ。最近になってスポンサー数を急激に増やしたマン・シティと、まだまだ営業努力の余地があるアーセナルの差は7000万ユーロ。この数字が埋まれば、アーセナルは世界TOP3のマンチェスター・ユナイテッドに迫る水準の数字を叩き出せるクラブなのです。リヴァプールとチェルシーのスポンサー収入は、それぞれ1億5300万ユーロと1億4870万ユーロで、1億3500万のアーセナルよりは高いもののさほど差はなく、彼らの収益増加のポイントもここにあります。

既にスポンサーからは相当の収入を得ているのに対して、クラブの人気で他のトップクラブに大きく引き離されているマンチェスター・シティは、ここまでは経営強化を成功させてきたものの、これからの成長が難しくなっています。そしてもうひとつ、頭打ち感があるのはチェルシー。不振のままシーズンを終えて欧州への道を失えば、放映権料もマッチデイ収入も落ちてしまい、スタジアム拡張費用が重くのしかかります。チェルシーがCL・ELに出られないダメージは、収入のベースがよりしっかりしていたマンチェスター・ユナイテッドより大きいのではないでしょうか。今季の彼らにとって、実は最重要なのは「何が何でもFAカップを勝って欧州をキープし、主力の離脱を最小限に抑えること」なのかもしれず、来季以降については「1シーズンで立て直せる新監督の招聘」でしょう。

ちなみに、スポンサー収入で世界一はどこだと思いますか?アディダスとの大型契約があるマンチェスター・ユナイテッドのイメージが強いかもしれませんが、彼らはバイエルンに続く3位で、トップはパリ・サンジェルマンです。これを聞くと、「カタールがバックについてるから…」と思いがちですが、パリのスポンサーリストを見るとなかなかの企業がついており、派手な投資がありながらも、一方ではしっかり営業努力を続けていたことがわかります。各クラブの経営方針、がんばりどころが違うのがわかるお金の話もまた、おもしろいですね。「フットボール・マネー・リーグ」をちょっぴり深掘り、以上でございます。

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“プレミアリーグがTOP20に9クラブ…サッカークラブの収入ランキングをちょっぴり深掘り!” への4件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    スパーズファンなのでスパーズについて言わせて頂きます。CLの常連でもなければスタジアムのキャパシティも決して大きくない。にも関わらず、レヴィ氏が会長に就任して以降、毎年安定してトップ15前後には入ってきた事からはスパーズの経営の堅調さ、巧さが伺えると思います。毎年地味にですけどヨーロッパの舞台で戦っていますしね。CL出場権獲得の可能性、更には新スタジアム建設を含めた地域再開発等とさらなる成長のポテンシャルは欧州随一ではないでしょうか。個人的にはトップ10入りもそう遠くないと思っています。

  2. Uボマー より:

    プレミアとは関係ありませんが、アトレティコの費用対効果の優秀さが際立ってますね。以前の彼らは不安定なチーム状況と計画性の無い経営の印象でしたが、シメオネが就任してからガラリと変わりました。
    決して華麗なサッカーでは無いですか90分間集中し続けハードワークを怠らず熱いハートを感じさせるチームで、俺はこのチームが大好きです。
    プレミア勢では来季のクロップ、いずれかのビッグクラブに就任するグラウディオラが来たら、また監督という存在がよりクローズアップされるのでは無いでしょうか。プレミア勢はお金はあります。ただそれも使い方次第だし、適材適所を心得る彼らが旗印となればまたプレミア勢がチャンピオンズでも躍進する日は近いと思います。

    —–
    まあライバルクラブを褒めるのは何だけど、やっぱりアーセナルは資産価値の高いクラブだと思います。上位6クラブと比べてもネームバリューで負けてないし、CLもずっと出てる。
    ただベンゲルさんを見てても思うのだけれども、そこで満足しちゃってるなぁという感じはしますよね。
    ベンゲルさんを替えられるくらいの経営陣だったら、もっと稼いでいるクラブになっていたかも。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    アーセナルはチケットが高いとよく言われます。しかし、確かにビッグマッチは鬼のように高いですが、下位相手の試合でのチケットは最安値が27ポンドとそんなに高くありません。同条件で比べればチェルシーは41ポンド、マンユナイテッドは31ポンドです。シーズンチケットもボリュームゾーンは1014ポンドですが、このチケットには他チームと異なりプレミア19試合に加えてカップ戦7試合も含まれるため、1試合あたりにすると39ポンドとなります。これはリバプールの45ポンド、スパーズの41ポンドよりも安く、チェルシーの39.5ポンドとほぼ同等です。
    実際の価格を知らずに「アーセナルはチケットがプレミア一高い」と言う方が多く、それに心を傷めていたため、アーセナルの名誉?のために書かせていただきました。

  4. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    私も素晴らしいと思います。スタジアム改修の時期をどう乗り越えるか、ですね。ヴェンゲル監督が、ウェンブリー間借りは最悪だったとおっしゃっており、戦績も含めて経営と監督の力が求められる時期になりそうです。

    ルーザーGさん>
    マンチェスター・シティやチェルシーは、お金の使い方自体は悪くなく、モウリーニョさんのチームが一番輝いていた昨シーズンの前半戦のクオリティなら、欧州の頂点を狙えましたよね。プレミアリーグ勢の巻き返しに期待しています。

    Uボマーさん>
    マンチェスター・ユナイテッドと比べると、よくいえば堅実経営、悪くいえばのんびり経営ですね。エミレーツ完成後、もっとしゃかりきにいっていれば、マン・シティよりはっきり上にいたのではないかと思います。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    価格の数字そのものより、実態がどうかではないでしょうか。うちは毎年、エミレーツのチケットを複数ゲームで買っているので感覚はありますが、安いチケットはさっさとなくなるので、上級会員でなければ結構な出費を覚悟しなければなりませんし、シーズンチケットが高いことに文句をいうファンが多いのも事実です。

    「高い=悪」という単純な話ではなく、人気クラブで高く設定しても売れるなら、経済合理性としては安売りするなというほうが正しいと思いますので、心を痛める話ではないのではないでしょうか。スタジアムに行かない方がチケットの値段を云々するのもおかしな話で、気にしなければいいのでは?と思いました。経営観点で高くするのは当然、それに対してよくいくファンが怒るのも当然、というのが私の見解です。…さすがに人気カードとなると財布が痛みますね。ポンドが下がってほっとしてます。

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