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【Watford×Chelsea】遅かったサイド攻略、逃した決定機…チェルシー、痛恨のドロー!

ヒディンク監督就任以来のプレミアリーグ6試合を2勝4分。お得意様アーセナルをエミレーツで完封してみせたチェルシーは、モウリーニョ監督辞任のトリガーとなったレスター戦以来負けなしです。とはいえ、彼らに完全復活のハンコを捺すのは、今週末のプレミアリーグ25節のマンチェスター・ユナイテッド戦、パリとのチャンピオンズリーグ、月末のマンチェスター・シティとのFAカップを観てからにしたほうがいいでしょう。大事な試合に向けて弾みをつけたいアウェイでのワトフォード戦は、年明けから6戦4発と復調してプレミアリーグでのゴール数を8まで伸ばしたジエゴ・コスタをトップに、セスク、ウィリアン、オスカル。アザールがベンチ、ミケルスタメンは、ヒディンク監督ならではのフォーメーションです。マティッチとミケルは、ワトフォードの前線にいるイガロとディーニーへの供給源であるエティエンヌ・カプエをケアしなければなりません。ヴィカレージ・ロードのピッチでは、10分過ぎまで中盤でのせめぎ合いが続いています。

15分、右にいたジエゴ・コスタが自ら持ち込んでシュート。DFを突き飛ばすなど余計なプレイがあるのは、スペイン代表のストライカーが好調であることの状況証拠なのかもしれません。イヴァノヴィッチにアグレッシブな攻め上がりが増えたのが、最近のチェルシーの攻撃に厚みをもたらしています。ワトフォードは、プレミアリーグ14ゴールのイガロ、6ゴールのディーニーの個人技とセットプレー頼み。チェルシーの冷静な守備に、単純なクロスは通用しそうもありません。

しかし20分を過ぎると、ホームのワトフォードの猛攻がスタート。24分、ホレバスの左からのクロスに、ここまで適切な対応をしていたテリーがかぶってしまいますが、イガロのヘッドは当たらず。チェルシーのDFに再三囲まれるイガロには、数的不利をなきものにする馬車馬のようなドリブルがあり、アスピリクエタが手を焼いています。26分のCKは、プレドールのヘッドがクルトワの正面。さらに2分後、フラドのパスでフリーになったカプェが強烈なシュートを放つも、クルトワが冷静に弾き返します。

32分、ようやくチェルシーにチャンス。カウンターから左を抜け出したジエゴ・コスタのフィニッシュは、うまくミートできずにGKゴメスの前を横切ります。前半終了間際には、ジエゴ・コスタとパレデスの小競り合いがあり、両者にイエローカード。互いにアグレッシブに攻めるシーンが多い好ゲームだけに、最後まで11人対11人で戦ってほしいものです。ジエゴ・コスタをなだめているのは、敵のエース・イガロ。前半は、0-0のまま終わりました。

後半、最初にチャンスをつかんだのはチェルシーでした。セスクの浮き球からオスカル、ウィリアンと連発するも、いずれもワトフォードの守備陣がコースに入っています。51分、左サイドを完全に崩したワトフォードのホレバスが放った左足シュートは、サイドネットです。ジエゴ・コスタにサイドから突破を許すようになったワトフォードの守備は中央は堅く、60分にカプェのクリアを直接叩いたマティッチのボレーは、強さは充分だったもののGKゴメスの正面です。

64分にプラドをアブディ、68分にパレデスをニョム。2枚代えて守備を整備したキケ・フローレス監督に対して、ヒディンク監督は動きません。70分、調子を上げてきたオスカルが、ひとりかわして強烈なシュート。アザールがマティッチに代わって入ったのは、残り15分からでした。78分、チェルシーに決定機。ウィリアンのスルーパスで裏に抜けたアザールの折り返しはイヴァノヴィッチにぴったりでしたが、至近距離からの強烈な一撃は、GKゴメスが左手に当てるビッグセーブで阻みます。82分、右サイドから持ち込んだウィリアンが中をよく見て転がしたラストパスは、フリーだったアザールのトラップが大きくゴメスがキャッチ。昨季プレミアリーグMVPは、依然として今季プレミアリーグでノーゴールです。

ワトフォードの敵は、チェルシーだけでなく自らの疲労です。87分には中盤で追えなくなっていたカプェが下がり、フィオレンティーナから加わった期待のマリオ・スアレスがプレミアリーグデビューを飾りました。1分後、クロスを肩に当てて左隅に飛ばしたジエゴ・コスタのシュートは、またしてもゴメスがセーブ。3分の追加タイムはホームチームがうまく時間を遣い、後半のチャンスを決めきれなかったチェルシーは無念のドローに終わりました。

ここは意見が分かれるところかもしれませんが、勝ちにいくなら、アザールの投入は15分ほど遅かったのではないかと思いました。後半に入ってからは、ワトフォードのサイドは目に見えて脆くなっており、ジエゴ・コスタにやられ続けていた右サイドは確実にネックとなっていました。ストライカーが左に流れるより、アザールに左を崩させて、ジエゴ・コスタに中で勝負させたほうがゴールの可能性は高かったでしょう。74分の交代は、先に手を打ったキケ・フローレス監督のチームが、途中交代の選手をなじませた後です。「負けないことが重要」だとすれば守備のリスクをとるアザール投入をぎりぎりまで引っ張ったのは納得で、両監督とも采配は適切だったと思うものの、キケ・フローレスは勝ち点1でよくても、フース・ヒディンクは…⁉アーセナルをのぞくプレミアリーグ上位クラブがすべて勝った今節のドローは痛恨です。

日曜日、5位マンチェスター・ユナイテッドとの「シックスポインター」に敗れれば、その差は14。来季の欧州への希望は、リーグ・アンを無敗で独走するパリ・サンジェルマンと戦うチャンピオンズリーグか、プレミアリーグの優勝候補筆頭であるマンチェスター・シティと当たるFAカップに絞られそうです。3つの道は、いずれも茨の道。ここから先は、ヒディンク監督に取りこぼしは許されません。

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“【Watford×Chelsea】遅かったサイド攻略、逃した決定機…チェルシー、痛恨のドロー!” への2件のフィードバック

  1. chelさぽ より:

    自分もアザールの投入は遅かったと感じています。レミーやパトがいないのもあるかもしれませんが、交代枠をひとつしか使わない采配は疑問が残ります。やはり後半戦に入ってしまってるのでここからは兎に角結果、3ポイントが大事です。イガロとディーニーを抑えたところは良かったと思いますが、いかんせん攻撃では不得手の遅攻を強いられてしまい、ゴメスのビッグセーブはあったものの無得点で終わってしまいました。エースに重荷を背負わせたくはありませんが、チームの完全復活はアザールの復調なくして訪れはしないでしょう。

  2. makoto より:

    chelさぽさん>
    同感です。時間があるうちに、サイド攻略を仕掛けていれば先制できていたのではないかと思いました。ヒディンク監督のアザールに対する評価が低くみえるのは気になりますね。

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