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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Liverpool×Tottenham】組織はレッズ、個人力はスパーズ…両者譲らず悔しいドロー!

走る、走る、やはり走ります。プレミアリーグ32節、アンフィールドの大一番はリヴァプールVSトッテナム。レッズの最前線にはスタリッジ、トッテナムはプレミアリーグ得点王争いの頂点に立つハリー・ケイン。ミルナー、コウチーニョ、エムレ・ジャン、ヘンダーソン、ララナのレッズは、フィルミーノがいないのが不安材料。エリクセン、デンベレ、デル・アリ、エリック・ダイアー、ソン・フンミンが揃ったスパーズのほうは、ベストといっていいでしょう。クロップスタイルとポチェッティーノ戦術の激突は、予想通りのスピーディーな試合となりました。リヴァプールは前線から執拗にプレスをかけ、トッテナムはそれをかいくぐって速攻を仕掛けようとしています。

最初のチャンスは9分のスパーズ。右SBのカイル・ウォーカーがソン・フンミンとのパス交換から中に入り、落としをダイレクトで打ったエリクセンの強烈なシュートはGKミニョレの正面。この後、徐々にリヴァプールがペースをつかみ、アウェイチームを押し込み始めます。12分、左サイドに出たララナがアウトにかけたパスは絶品。ミルナーがダイレクトで打てていれば、多少コースが甘くても入ったのではないかと思われましたが、ワントラップが命取りとなり、ヴィマーのブロックでチャンスは潰えます。

20分にアルベルト・モレノが2発入れたクロスは、ソン・フンミンのクリアが枠に向かい、ロリスが慌てて外に掻き出します。26分、トッテナムがハーフライン際でボールを奪ってカウンター。右から上がったハリー・ケインが中に通したグラウンダーは危険なボールでしたが、スピードが乗りすぎて味方に合いません。2分後のカウンターは、今度は左から。ドリブルで持ち込んだエリクセンがソン・フンミンに通そうとするも、サコとデヤン・ロブレンが戻っており、またしてもトッテナムはシュートを打てません。

36分、エムレ・ジャンの敵陣でのインターセプトから、レッズが決定機を迎えます。コウチーニョのスルーパスで完全に抜け出したスタリッジは、もうひとつ持ってロリスをおびき出したほうがよかったと思います。やや遠めからのセーブは、余計な動きをせずにボールに集中していたロリスがブロックし、スパーズはピンチを脱します。38分にコウチーニョのパスをもらったララナのシュートもロリスがセーブ。40分に左からの長いボールをヘッドで競り、浮いたボールを反転しながら枠に打ったララナのボレーも、ロリスが右に飛んで指先で弾くビッグセーブでCKに逃れます。互いに前線から激しくプレスをかける両者の勝負は、「より前でボールを奪ったほうの勝ち」となるのではないでしょうか。前半は0-0。デンベレ、エリック・ダイアー、ヘンダーソン、エムレ・ジャンが、いかに奪い、いかにスペースをつぶすのかに注目しています。

49分、ハリー・ケインが左から出したゴールに向かうクロスに、ラインの裏に入ったデル・アリがフリーとなりますが、バックヘッドはうまく当たりません。主導権を握ったトッテナムは中央を崩すことにこだわり過ぎ、数で守るレッズの壁をこじ開けられません。すると50分、ワンチャンスを活かしたのはリヴァプールでした。左から中央に侵入したコウチーニョが前にいたスタリッジに渡すと、タメを創ったスタリッジから完璧なタイミングのリターン。コウチーニョがインサイドで冷静に右隅にコントロールすると、素晴らしいセーブを連発していたロリスもお手上げです。さすがはSASの片割れ、スアレスにプレミアリーグ得点王を獲らせた相棒。スタリッジの周囲を使うセンスが光った先制点でした。

1-0となり、右から上がるスタリッジがさらにチャンスをつかむも、トッテナムの最終ラインはコースを切ってシュートを打たせません。58分、スパーズにビッグチャンス。エリック・ダイアーが前線に浮かした素晴らしいパスは走り込んだソン・フンミンにぴったりでしたが、ボレーは左に外れてしまいます。63分の攻撃は、まさか決まるとは思いませんでした。アルデルヴァイレルトのロングフィードは厳しく、エリクセンは追いつくのが精一杯。ゴールキックかと思った瞬間。天才MFは右足のアウトでニアにいたハリー・ケインに通し、振り向きざまにデヤン・ロブレンをかわしたプレミアリーグ得点王がここしかないという右隅に完璧な一撃を突き刺しました。

1-1となると、ポチェッティーノ監督はソン・フンミンに代えてシャドリ。エリクセンの強烈なミドルはミニョレがセーブし、69分にCKのクリアを狙ったヘンダーソンのシュートはDFに当たります。直後に左サイドを攻略したコウチーニョの高速グラウンダーは、ゴール前を横切るボールにサコが足を出せませんでした。72分、クロップ監督の1枚めはスタリッジをオリギです。78分のエリクセンの絶妙な浮き球は、デル・アリのトラップをミニョレがカット。速攻からオリギが右サイドを走り、ニアを狙ったシュートはロリスがキャッチします。85分、ララナに代わったジョー・アレンが左を上がり、コウチーニョに打たせたシーンはDFの股間を狙ったシュートがわずかにポストの左です。チームとしての崩しのアイデアがあるのはリヴァプールで、ペナルティエリアの脇を崩してグラウンダーで勝負という攻撃を徹底するものの、フィニッシュが決まらず時間が過ぎていきます。

エリクセンのFKは左に逸れ、デンベレの左足ミドルはミニョレが左に押し出し、CKを狙ったアルデルヴァイレルトのヘディングは右にアウト。スパーズ最後の猛攻は実りませんでした。1-1は、両者にとって残念なドロー。ララナやヘンダーソンにアイデアがあったリヴァプールのほうが組織的に戦えており、堅守のトッテナムの両サイドを脅かしていたのですが、トッテナムはハリー・ケイン、エリクセン、エリック・ダイアーらが個人力の高さを見せつけ、一発のパスとミドルで勝負に持ち込めていました。プレミアリーグ優勝に向けて引き分けでは足りなかったスパーズは、ダニー・ローズとカイル・ウォーカーの攻撃参加の機会を増やし、サイドに厚みを築ければ、勝ち点3を得ることができたかもしれません。

期待通りのおもしろい試合でした。追加タイムに入ってから攻撃を止めなかったトッテナムの選手たちの執念と、ピッチを叩いて悔しがるポチェッティーノ監督の姿が印象的でした。本日夜、セインツと戦うレスターは、勝てば2位との差を7に広げられるチャンスです。(ウーゴ・ロリス 写真著作者/Дмитрий Неймырок)

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“【Liverpool×Tottenham】組織はレッズ、個人力はスパーズ…両者譲らず悔しいドロー!” への8件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    面白いゲームでした。両チームがとにかく走り、ボールの奪い合い、中盤の潰しなど見応えありました。スタリッジからコウチーニョへのパスそしてゴールは美しかったです。スパーズケインのゴールはもう素晴らしいの一言です。これぞエースの仕事ですね。レッズは僅かながらの可能性がある4位が少し見えなくなりつつありますが、納得の勝ち点1です。スパーズの方が悔しかったかもしれませんね。いいゲームでした。ELドルトムント戦が今から楽しみです。

  2. KEISUKE より:

    いつも記事楽しみに読ませていただいています。ハリーケインも以前レスターにいたのですね。この試合引き分けで今日のレスター戦楽しみになりました(レスター推し)トットナムはいいチームですね。優勝に値すると思います。ソンフンミンはなんだかパクチソンとイメージ重なります。アジアのライバル国ですが日本代表には居ないパワフルなオールラウンダーでなんで日本には出てこないのか不思議(豊田では役不足,釜本邦茂?)です。岡崎居なければ間違いなくトットナム応援してます。

  3. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    期待通りの好ゲームだったのではないでしょうか。
    自力のあるスパーズにアン・フィールドではあるものの主導権をにぎりよく戦えていたと思います。
    欲をいえば勝つチャンスもありましたが、サコーの日ではなくまたスパーズの重圧も強く負ける可能性もあり、引き分けが妥当だった試合かと思います。
    なんにせよ、堅守のスパーズにフィルミーノなしであれだけ攻めることができたのは自信になるのではないでしょうか。
    しかし、トップ4は厳しくなりELもドルトムントなるとやはり目線は来季にいってしまい、今季のメンバーで来季のスタメンにいるのは誰だろうと考えてしまいます。
    ちょっと厳しい見方をすると、当確なのはコウチ(移籍を阻止できれば)とフィルミーノだけなのでは?と思ってしまいます。
    しかし、来季ヨーロッパを考えないのではあれば、中盤と前線はあまりいじる必要はなく、今日の試合のようなパフォーマンスができれば十分戦えると思います。
    特に、得点シーンの3人の絡みはまさに絶品で、SASの時代を思い起こすものでした。
    クロップ監督が来季のための激しいチーム内競争を活性化させることができれば、今季もまだまだ見所はたくさんで勝ち点にも繋がると思います。
    そういった見方をすれば、次のドルトムント戦はよい試金石となりますね。
    盛り上がることは間違いないので、今からかなり楽しみです。

  4. makoto より:

    Mackiさん>
    ゴールシーンのスタリッジは完璧でしたね。今日はレッズかなと思ったのですが、エリクセンとハリー・ケインにあんなプレイをされては…。中身の濃いいい試合でした。

    KEISUKEさん>
    セインツは調子を上げているので、レスターは要注意ですね。勝てばそのまま走れそうですが、負けるとプレッシャーがかかってきそうです。

    nyonsukeさん>
    おっしゃるとおり、大型補強は必要なさそうですね。今季のトッテナムが弱点だったCBを補強して、あとは継続性と若手を重視したように、レッズもクロップさん好みの選手を要所にいれるだけでいいと思います。GKは要補強ですが。

  5. ヤンガナ大好き より:

    いやー、中盤のガチンコゲーム、見ごたえありましたね。おっしゃるとおり個のスパーズと組織力のレッズの戦いでしたね。中でもレッズの組織力の中心を担うヘンダーソンのキャプテンシーが効いていたと思います。両チームともイングランド代表で多い中、中盤を締めて戦ってました!クロップ采配はビッグゲームほど冴えますね。

    それにしてもケインのスペシャルな一発、度肝を抜かれました!本当に勝負強いストライカーですね!眠い中、見て損のないナイスゲームで、引き分けは妥当かと思いました。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    来季のリバプールは強そうですね。4位は狙えるし、優勝のダークホースはここかも?EL優勝してCLに出て欲しい笑
    ロジャーズ時代には一向に改善されなかった守備がかなりマシになってるのが素晴らしいですね。特にバイタルをぽっかり開けるのが多かったんですが、ジャンがよく埋めてますね。
    ただサコは相変わらず下手くそですね笑
    ここは補強すべきですが、マティプが入るのかな

  7. NA28 より:

    両者のチャンスの数を考えると、引き分けは妥当と思える内容でした。
    ただ、決めるべき所をしっかり決めてお互いに勝ちたい試合だったですね。
    レッズサポとしては、内容ももちろん良かったのですが、ここ最近、スタリッジが怪我がなく継続してチームに入れているのが嬉しいです。
    今後も、この調子を維持してベストパフォーマンスを取り戻して、来期はチームの核として活躍して欲しいです。

    —–
    ヘンダーソン、ロブレン、コウチーニョ。この3人が良ければチームとして一定の軸ができるようですね。欠点はクラインとロブレン以外安定感のない守備陣と中盤の軸二人に似たプレーヤーが多いので、彼らが悪いと他プレーヤーも引きずられて流れを一気に持ってかれること。

    チームプレーヤーのマリオ・ゲッツェの噂もありますが案外個人技と決定力に定評のあるアンドリー・ヤルモレンコなんかが面白いかもしれません。活躍が期待できるユーロが終われば更にバカ高い値段になるとおもいますが。

  8. にわかスパーズファン より:

    更新おつかれさまです。
    この試合、デンベレの所に狙いを定めてボールを奪いにくるシーンが多かったのですが、レッズはその意識がよく浸透していましたね。70分くらいまでうまくしてやられていました。ただデンベレのすごいのはラスト15分は相手が疲れていたのもあり強さを見せていました。その時間にもう1点取りたかったのですが、ドローが妥当だったでしょう。
    ソンフンミンはまだまだチームにフィットしきれていない印象で、前に管理者様おっしゃられていたようにサイドの選手がほしいなと思いました。

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