偏愛的プレミアリーグ見聞録

ラニエリ監督のチームは、勝てばプレミアリーグ優勝です。オールド・トラフォードで開催されるプレミアリーグ36節、マンチェスター・ユナイテッドVSレスター。ホームチームは予想通り、エヴァートンに勝ったFAカップ準決勝のメンバーがベースです。GKデ・ヘア、DFスモーリング、ブリント、ロホ、バレンシア。ルーニー、フェライニ、キャリックの3センターに、リンガード、マルシアル、ラシュフォード。対するアウェイのレスターは、ウジョアのケガは癒えて岡崎慎司と2トップを組めるようです。マフレズ、カンテ、ドリンクウォーターといういつもの顔ぶれに、左サイドはシュラップ。立ち上がりからしばらくは、マンチェスター・ユナイテッドが攻勢です。

開始からわずか8分、4連勝中のマンチェスター・ユナイテッドがさっそく先制しました。右サイドで切り返しを入れ、アウトにかけたラストパスをファーに出したバレンシアが秀逸でした。フリーでもらったマルシアルは、こういうチャンスを外しません。今季プレミアリーグ9ゴールめは、シュマイケルのニアを抜く文句なしの一撃。オールド・トラフォードのサポーターは大合唱で、復調したチームを盛り上げています。

12分、マフレズの柔らかいクロスに合わせた岡崎慎司のヘッドは右にアウト。2分後、右サイドのバレンシアの落としに迷いなく右足を振り抜いたリンガードの一撃は、シュマイケルがぎりぎりで左手に当ててセーブします。17分、レスターがあっさり同点に追いつきました。ドリンクウォーターのFKがゴール前に上がると、ロホはウェズ・モーガンについていけませんでした。叩きつけた基本通りのヘディングに、デ・ヘアはノーチャンスです。同点になって、すかさず攻めるのはマンチェスター・ユナイテッド。フェライニをターゲットとして使い、落としをアタッカーが狙う攻撃に、ウェズ・モーガンとフートはやりにくそうに対応しています。

23分のルーニーの直接FKは壁がブロック。30分、マフレズからシュラップにつながったチャンスは、左足のシュートをスモーリングがブロックして事なきをえます。この直後、センターサークル付近でインターセプトに成功したリンガードが独走態勢に入ったチャンスは、追いすがったシンプソンが体を寄せて突破を許しませんでした。マフレズと岡崎慎司は彼ららしいプレイができず、ルーニーやマルシアルもカンテとドリンクウォーターに手を焼いています。43分のバレンシアのミドルはフートにカットされ、前半は1-1。ここまでは、どちらが勝ってもおかしくない展開です。

岡崎慎司に惜しいチャンスがあったのは50分。マフレズ、シンプソンとつながった速攻で、右からのラストパスにスライディングで触ろうとした日本代表FWは、一歩足りませんでした。54分に久しぶりにシュートを放ったウジョアは、ブリントの足に当ててゴールを奪えません。61分の右サイドからの攻撃が、ルーニーのループシュートが枠に落ちずに終わると、ファン・ハール監督はリンガードを下げてファン・マタ。65分にDFを背負いながら、縦パスをトラップして振り向きざまにボレーを放った岡崎慎司の見せ場はこれが最後。67分、今季プレミアリーグで24回めとなる交代の相手はデマライ・グレイです。71分、マフレズがマン・ユナイテッドの守備陣を翻弄し、左足を振り抜いた強烈なミドルはデ・ヘアが弾いて勝ち越しを許しません。

74分、左サイドからマルシアルが突破したチャンスはシュートをブロックされ、ロホのクロスにフェライニはハンド。ファン・ハール監督はフェライニの高さを諦め、エレーラの攻撃センスに勝利を託します。ラニエリ監督は、シュラップをオルブライトン。78分にルーニーが上げた正確なロングフィードは、スモーリングのヘッドがポストの外を叩きます。

ラシュフォードに代わったデパイは、クラブのチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献できるでしょうか。87分にデパイの突破をシャツを引っ張って止めたドリンクウォーターは、2枚めのカードで退場。これでレスターの勝利は厳しくなりました。ルーニーの直接FKはシュマイケルがセーブ。追加タイムは4分です。92分、マルシアルが右サイドで競ったこぼれ球が中央に出ると、デパイとシュマイケルの駆けっことなりますが、GKが先に触ってスコアは動きません。結局、1-1のドロー。レスターのプレミアリーグ優勝は、明日のチェルシーVSトッテナムに持ち越しとなりました。

おもしろい試合でした。レスターには勝つまでのチャンスはなく、マンチェスター・ユナイテッドのほうはラストパスのズレで勝てるゲームを落としたという評価が妥当ではないでしょうか。リンガードの決定的なシュートを、左手を伸ばして止めたシュマイケルが素晴らしかったです。ラニエリ監督が築き上げた守備網の堅さを、あらためてリスペクトしたいと思います。来週勝てばいいレスターに対して、チャンピオンズリーグ出場権を獲得するためには1試合も落とせなかったマン・ユナイテッドは激痛です。この後のサウサンプトンVSマン・シティで、アウェイチームが勝てば、4位までの顔ぶれは決まりでしょう。最近7試合を6勝1敗と好調だっただけに、勝つと信じていたのですが…。とにかく、無念です。