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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Tottenham】青から青へ。カウンターを炸裂させたチェルシーが決めたレスターの初優勝!

「トッテナムには優勝してほしくない」。セスク・ファブレガスがこう語ったのは、元アーセナル主将の血が騒いだのか、「ラニエリがいたクラブ」としてのスタンスか、ロンドンのライバルに対する純粋な意地か。プレミアリーグ最終節にレスターと当たるチームの選手が、こんな発言をして大丈夫なのかとハラハラしましたが、杞憂に終わりました。チェルシーVSトッテナムは、素晴らしい4本のゴールと、後味の悪いラフプレーの応酬でドロー。今季の優勝は、1992年のプレミアリーグ創設以来、6つめの優勝クラブとなるレスターに決まりました。

両者がライバル意識をむき出しにして戦うロンドンダービーは、ミケルとデンベレが一触即発のにらみ合いとなるなど、序盤から不穏な空気が漂っています。10分、ダニー・ローズの強烈な左足ミドルは微妙に浮いてしまい、枠の上。スパーズのスタメンは、出場停止のデル・アリの代わりにソン・フンミンが起用された以外はベストメンバー。ホームのチェルシーは、前節のボーンマス戦で今季プレミアリーグ初ゴールをようやく決めたアザールをベンチに置いています。20分過ぎまでは、互角の展開。21分、CKが流れてきたところをペドロが拾ってゴール前に浮かすと、ダニー・ローズがスリップしてしまいますが、セスクも足がもつれて転倒し、ゴールは生まれません。

前線で動くソン・フンミンやラメラに速いパスを通すトッテナムに対して、チェルシーはサイド攻撃で応戦。27分、ペドロが左サイドでうまくつないだボールからチェルシーが速攻。ジエゴ・コスタが右のセスクにラストパスを通すと、コントロールされたシュートは左のポストぎりぎりを抜けていきます。1分後、最前線に入ったラメラが倒れながら左足のアウトでつなぐと、ソン・フンミンが回り込みながら左足一閃。これも惜しくも左に外れますが、今日の韓国代表FWは動きがよく、危険な存在です。

プレミアリーグらしいスピーディーな攻防が続くなか、35分に最初の歓喜が訪れます。エリック・ダイアーの縦パスをエリクセンがラメラに落とすと、ラメラはアスピリクエタの裏に入ったハリー・ケインに見事なスルーパス。GKベゴヴィッチまで抜き去ったエースは、今季プレミアリーグ25発めとなる先制点を左足で転がします。クラブのプロモーション動画に使いたくなるような、彼ららしい攻撃。0-1となり、勢いづくアウェイチームの速攻が冴えます。39分にはカイル・ウォーカーの攻め上がりからグラウンダーが入り、フリーのラメラのボレーはケーヒルがカット。こぼれ球に反応したソン・フンミンは空振りしてしまい、追加点を奪えません。

しかし44分、トッテナムの7番が5分前の逸機を帳消しにします。ハリー・ケインが敵陣でインターセプトに成功し、天才エリクセンが完璧なスルーパスを繰り出したショートカウンター。右から飛び出したソン・フンミンには、右隅へのコースが見えていました。前半は0-2、完全なるトッテナムのゲームです。カイル・ウォーカー、フェルトンゲン、ダニー・ローズとイエローが3枚も出ている以外に、レスターを追うクラブに特段の懸念はないように見えました。

後半開始から、押しているのはチェルシー。プレミアリーグ9位に沈み、欧州への道がほぼ断たれたホームチームは勝負を諦めていません。50分、左に流れていたハリー・ケインは、オフサイドラインぎりぎりでラメラのパスを受けると、すかさずシュート。51分にドリブル突破からきわどいシュートを放ったのは、後半頭からペドロに代わって投入されていたアザールです。大きなピンチなく、勝ち点3に向かっていたスパーズは、58分に一瞬の隙を突かれて失点を喫してしまいます。エリック・ダイアーが軽い対応でケーヒルに競り負けてしまい、CBとは思えない素晴らしいワントラップボレーがゴール左に突き刺さります。1-2、勝負はわからなくなりました。次の1点がどちらに入るかで、レスター優勝のXデーが決まるのではないでしょうか。

63分、チェルシーの3人のカウンターは、左のジエゴ・コスタがファーにラストパスを通すも、ウィリアンの左足シュートが弱くロリスがキャッチ。72分のホームチームのアタックは、ウィリアンの落としをアザールにつないだセスクのダイレクトパスが秀逸でした。ロリスの前でジエゴ・コスタに勝負させたシュート性の高速クロスは流れてしまいましたが、チェルシーに鮮やかなパスワークが戻りつつあります。76分、トッテナムに久々に訪れた決定機は、彼ららしい展開です。最後方のアルデルヴァイレルトがオーバーラップしたカイル・ウォーカーに一発でロングパスを通すと、中に入ったボールを狙ったのは途中出場のライアン・メイソン。ベゴヴィッチがこれを弾くと、最後はエリクセンが左足を振り抜きますが、DFに当たってCKです。

ダニー・ローズが痛み、ベン・デイヴィスに代わった後の83分、今季プレミアリーグの優勝争いを終わらせる素晴らしいゴールが決まりました。アザールとジエゴ・コスタ、たった2人の鮮やかな速攻。ジエゴ・コスタのラストパスを受け、デンベレが寄せきる前に右隅を陥れたのはアザール!遅かった。あまりにも遅かった10番の覚醒。後半のチェルシーは、昨季プレミアリーグ王者のサッカーを披露してくれました。美しいゴールの後、タイムアップまでの10数分は、決して美しい時間ではありませんでした。エリック・ダイアー、ミケル、ハリー・ケイン、デンベレ、ライアン・メイソンとイエロー5枚。ジエゴ・コスタの足が入って転倒したアルデルヴァイレルトは、今季プレミアリーグのフルタイム出場が途絶えました。クラッテンバーグさんが赤いカードを出すシーンが、2~3回あってもおかしくなかったように思います。後ろからのタックルが繰り返されるのを見て、スパーズがプレミアリーグで最も若いチームだということを思い出しました。2-2、ドロー。首位の青いチームが、昨季頂点に立ったもうひとつの青いチームのバトンタッチを受けて、クラブ創設133年めの初優勝を遂げました。

今季最もゴールを奪い、最も失点が少なかったのはトッテナムだと誇示するような前半。昨季最も敗戦が少なかったチームが、お家芸だったカウンターを炸裂させた後半。最終盤、ヒートアップしたまま終わったのは残念でしたが、それでもスパーズには、「ここまでよく戦った!」と、拍手を送りたいと思います。私がいちばん心を動かされたのは、セスク、ジエゴ・コスタ、アザールが織りなす後半のチェルシーの攻撃でした。モウリーニョ監督の下で研ぎ澄まされたカウンターが決まった瞬間、昨季の優勝監督から新しい優勝監督へとトロフィーが受け渡されたのを見届けた気分になりました。レスターのみなさん、おめでとうございます。運や勢いだけでは、長い長いプレミアリーグを3敗しかせずに走ることはできません。チェルシーが最後に意地をみせた、ちょっぴりせつない優勝決定は、さまざまな事件があった今季のプレミアリーグにふさわしいフィナーレだったのかもしれないなと思いながら、必死に感情を押し殺すかのようにただ立ち尽くすポチェッティーノ監督の横顔をずっと見続けていました。

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“【Chelsea×Tottenham】青から青へ。カウンターを炸裂させたチェルシーが決めたレスターの初優勝!” への9件のフィードバック

  1. ガナユ より:

    アザールの素晴らしいゴールで今年のプレミアも幕引きされましたね。今年のレスターとトッテナムは両チーム共に優勝にふさわしい戦いをしていたと思います。レスターはサッカーの神様に愛されてるとしか思えないシーンが多かったですが、チームとして一貫性を持って戦うことで自ら運を手繰り寄せたのかなと今は思います。今後語り継がれるであろうこの物語に岡崎が深く関わっている事に同じ日本人としてとても誇らしく思います。

  2. スパーズ推し より:

    レスターとの差が明確に現れた、そんな試合だったように思います
    シーズンを通して若さの強みを生かして戦ってきたスパーズですが、最後で悪い面が出てしまいました
    正直、この試合の最後の流れだと、もしアリがいたら一発レッドや長期の出場停止になるような行動をしてしまったような気がして、この試合に関しては逆にいなくて良かったと思ってしまいました……

    今期多くの経験をした若いチームが、残り試合を良い形で締めくくり
    来季、更に成長したチームを見られることを望みます

    最後になりますが、レスター優勝おめでとうございます!

  3. 新米グーナー より:

    今季のプレミアも決まりましたね

    アザール宣言通りの優勝アシストで本来の力も戻ってきました。来季のチェルシーには残ると思うのでグーナーとしては厄介なのが戻ってきたって感じです(笑)

    レスターの業績は未来永劫(言い過ぎかな)語られるでしょう。ほぼマネーゲームと化しているプレミアで優勝まで辿り着くなんてまさにシンデレラストーリーです!その中に岡ちゃんがいるなんていう奇跡も合わさって感動ものです!!

    残るはウチ、マンチェスター両雄のcl争いですかね。ウチとしてはマンCが天王山なので、まだ終わった気になれません(笑)

    カソルラ見れるかなぁ…

  4. おハム より:

    よくやってくれました チェルシー!
    トッテナムの優勝だけは絶対避けたかったので、心からうれしいです。
    優勝したレスターにはプレミア王者としてCLにまたレスター旋風を起こしてもらわないと困ります。

    残り3節はニューカッスル有利な残留争いと4位争いに注目ですね。
    ウェストハムとマンユーの直接対決 非常に楽しみでございます。

  5. トマト より:

    スパーズはラフでしたね…さすがに若さが出すぎましたね。追いつかれてから目に見えるようにイライラし出し、試合終了後にヒディンクがローズか誰かに倒されていたので何かしら処分が下ることを願います。デンベレの目潰しやラメラの手を踏んだことなどあまり気分は良くない試合でした。ただアザールは素晴らしかったです!!

  6. nori より:

    更新お疲れ様です。
    非常に後味の悪い試合になってしまいましたが、まずはレスター優勝おめでとうございます。
    今シーズンのスパーズは素晴らしいサッカーをしてましたが、リードした展開での試合のたたみ方に問題があって、そこが優勝に届かなかった一番の要因かなと思います。
    その辺は若さなのか、采配なのか、ベンチの層なのかわかりませんが、ポチェなら来シーズンは改善してくれると信じてます。
    まぁ今日に関してはアザールに脱帽ですが。。

  7. より:

    スパーズは品のない、ただの暴力チームですね。
    まるで韓国や中国のサッカーをしてるようでした。
    若さなんて理由にならないし、最低のチームです。

  8. mufc7 より:

    ポチェッティーノ監督も選手を上手くコントロール出来なかったのがこの引き分けに結びついたのでしょう。試合中は仕方ないにしろ、通路前でヒディング監督にまで手を出したのは、あまりに敬意に欠けた行動です。彼らの躍進は見ていて楽しかったのに残念ですね。彼らのプレー一つ一つがクラブの品に関わるという事を理解し、怒るべきは2-0をイーブンにされた自分達自身だという事を理解する必要があります。

  9. makoto より:

    ファンではなくとも感動する結果でしたね。
    ヨーロッパも降格もかかっていないチェルシーがこれだけ魂のこもった試合をみせてくれたのはいつぶりでしょうか。
    ラニエリはモウにタイトルが少ないと口撃されていたことがありますが、この結果はタイトル10個分ほどに該当するのではないでしょうか。

    —–
    ガナユさん>
    そうですね。勝負強さでレスターが1枚上だった、という印象です。

    スパーズ推しさん>
    ポチェッティーノさんは長くいてくれそうですし、来季が楽しみなチームですね。

    新米グーナーさん>
    マンチェスター・ユナイテッドファンとしては、週末はぜひ勝ち点3を獲ってください!と申し上げたいです。楽しみですね。

    おハムさん>
    CLの椅子争いですね。お手柔らかにお願いします。

    トマトさん>
    最後の10数分を冷静に戦い、再度勝ち越していれば優勝の可能性が残っていただけに余計に残念です。

    noriさん>
    アグレッシブで魅力的なのですが、チェンジオブペースができるチームではなかったですね。来季の課題のひとつです。

    か さん mufc7さん>
    誰も言い訳も擁護もしておらず、ポチェッティーノ監督が選手たちに厳しいコメントを残していますので、改善していただきましょう。

    —–
    queenさん>
    そうですね。ヨーロッパの監督の誰もができないことを、ラニエリさんはやり遂げたということで、伝説となる優勝だと思います。われわれは、リアルタイムで見ることができて幸せですね。

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