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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Sunderland×Chelsea】ビッグセーブ2発とエースの一撃!逆転サンダーランドが、残留にリーチ!

ニューカッスルは、アウェイとはいえ最下位のアストン・ヴィラ戦。サンダーランドは、スタジアム・オブ・ライトでチェルシー戦。プレミアリーグ残留争いは、対戦カードを見れば、ベニテス監督のニューカッスルが有利に見えます。ところが…。サッカーは何が起こるかわかりません。ニューカッスルは、目標のないヴィラからゴールを奪えず、まさかのスコアレスドロー。そしてサンダーランドは…!1点のビハインドを背負ってハーフタイムを迎えたときは、ひっくり返せるとは思いませんでした。

チェルシーの中盤には、セスク、ミケル、マティッチ、ウィリアン、アザールが揃っており、トップにはジエゴ・コスタ。プレミアリーグ34節までノーゴールだったアザールは、ボーンマス戦で2ゴールを決めると、トッテナム戦ではカーブをかけて右隅におさめる素晴らしいゴールでレスターに優勝をプレゼントしており、10番が復活したチェルシーは負けないだろうと予想していました。ところが、キックオフ直後からサンダーランドが戦う姿勢を前面に出してチェルシーにプレッシャーをかけ、ヒディンク監督のチームにとって難しい試合になりそうな予感が漂います。カズリのFKは壁にヒット。サンダーランドが主導権を握るかと思われたゲームは、10分にアザールの突破からウィリアンが左足のシュートを放ったあたりから、アウェイチームのペースに傾きます。

先制は14分、チェルシー。決めたのは、後半戦不発のジルーよりも少ないプレミアリーグ11ゴールに留まっていたジエゴ・コスタでした。アザールからのパスをペナルティエリア左で受けたのは、セットプレーの流れで残っていたケーヒル。アザールに戻そうとしたキックがイェドリンに当たってこぼれると、これをさらったジエゴ・コスタが、角度のないところからわざと浮かしてマンノーネの読みを外し、逆のサイドネットを陥れます。19分、ロングクロスに反応したデフォーが、ヘディングシュートを右のポストに当てますが、これはオフサイド。いかにもアラダイス監督らしいシンプルな攻撃は、実は最も有効なのかもしれません。

早く追いつきたいサンダーランドは、24分にも左からのパスに走り込んだエムヴィラが思い切りのいいミドル。その2分後にはデフォーのクロスに反応したファーサイドのイェドリンがヘッドを叩きつけるも、クルトワが冷静にセーブ。両者イーブンの攻防のなか、ホームチームの必死の攻撃が実ったのは、41分でした。これはカズリのスーパーゴール。ファン・アーンホルトのロングボールからヘディングの応酬となり、ケーヒルがクリアしたボールに右足を振り抜いた強烈なボレーは、ケーヒルの頭をかすめてクルトワの指先を抜けていきます。これだけ強烈なシュートを右隅に叩き込まれては、GKはノーチャンス。1-1となり、サンダーランドはこのまま終わりたいところでしたが、48分に痛恨の2点めを喫してしまいました。

ジエゴ・コスタに上がる気が見られなかったぐらいの何でもない状況で、なぜかアスピリクエタとマティッチが前線に飛び出し、セスクのパスを受けた左SBがラインの裏に落とすと、マティッチが完全にフリー。マンノーネと1対1になった守備的なMFは、GKの動きを冷静に見て股間を抜きました。サンダーランドは、ハーフタイムをイーブンで迎えかったなら、意志統一を図ってしっかり中を固めなければなりませんでした。昨季、プレミアリーグを制覇したときのチェルシーなら、これで勝負ありです。トッテナム戦の後半に、強かった昨季を思い出させるサッカーを見せていたチームが、このまま押し切るだろうとばかり思っていました。

48分、アザールのパスを右に流れながら受けたジエゴ・コスタは、フリーの一撃をマンノーネに止められ、追加点を奪えず。ピンチを切り抜けたサンダーランドが必死に攻めるものの、クロスの精度が低く、チェルシーの守備陣は冷静に対応しています。左サイドをアザールがドリブルで上がり、ニアのセスクから右にいたジエゴ・コスタにラストパスが通った62分の決定機に、ノーマークだったエースがマンノーネにシュートをぶち当ててなければ、勝負は決していたはずです。コネをオシェイに代えていたアラダイス監督の2枚めは、キルヒホフをワトモアという攻撃的なチョイス。何としても勝ちたいという采配が結果につながったのは、3分後の67分でした。

左サイドを突破したファン・アーンホルトの1回めのクロスはクリアされるものの、拾ったエムヴィラが再度左SBを走らせると、2回めのボールはボリーニの足元へ。強烈なシュートは、クルトワの真ん前にいたテリーの足でコースが変わり、さすがの守護神もどうしようもありません。チェルシー守備陣は、「ファン・アーンホルトに出たらオフサイド」と見切っていました。きわどいジャッジでしたが、ここで旗が上がらなかったのは想定外だったでしょう。

勢いに乗ったサンダーランドは、即座に決勝点をもぎ取ります。70分、イェドリンが右から上げたクロスは、苦し紛れのボールでしたが、ミケルがクリアしようと触ったボールは軌道を変え、最悪のところに落ちてしまいました。ワントラップで右足を振り抜いたのは、ジャーメイン・デフォー!絶対的エースの今季プレミアリーグ15ゴールめは、容赦なく左隅に刺さる完璧な一撃でした。

ここからの20分を、サンダーランドはひるむことなく体を張って戦い、抑えきりました。終了間際にテリーが2枚めのイエローで退場となり、ミケルに代わったトラオレのシュートをマンノーネがキャッチすると、そのままタイムアップ。ジエゴ・コスタの2発をストップした殊勲のGKにカブールが駆け寄り、スタジアム・オブ・ライトは優勝が決まったかのような熱狂です。ニューカッスルが残り1試合で勝ち点34、マンチェスター・ユナイテッドに敗れたノリッジは、残り2試合で勝ち点31。35まで伸ばしたサンダーランドはエヴァートン戦とワトフォード戦を残しており、どちらかに勝てば残留決定です。大きな大きな1勝でした。ロングボール主体の攻撃と当たりの強さで組織の不安定さをカバーする無骨なサッカーながら、最後までアグレッシブに戦ったフィールドプレイヤーと、最高のセービングでチームを救った元アーセナルの守護神に、拍手を送りたいと思います。(ヴィト・マンノーネ 写真著作者/CFCUnofficial (Chelsea Debs))

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“【Sunderland×Chelsea】ビッグセーブ2発とエースの一撃!逆転サンダーランドが、残留にリーチ!” への5件のフィードバック

  1. グローリーグローリー より:

    昨季の途中にデフォーを大金叩いて獲得した時は、気でも触れたかサンダーランドと思いましたが、デフォー素晴らしいですね。ルーニーの倍以上決めてる彼はユーロ行きに値するんじゃないですかね

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    サンダーランドやりましたね。戦う姿勢が最後まできれなかったのがよかったですね。デフォーって今シーズン出場するとコンスタントに得点をあげてますよね。

  3. yuto より:

    今シーズンのデフォーはいいところで決めますね。
    残留争いはまだまだわかりませんが、個人的には苦しい1年となったベニテス監督の意地がみたいです。

  4. queen より:

    デフォーのキャリアは不遇でしたよね。代表では常にルーニーが前にいて、間違いなく行けそうだったドイツ大会ではなぜかプロデビューもしていないウォルコットが選ばれて。特にファンというわけではないですが、彼が活躍するとうれしいです。
    マンノーネも元アーセナルということで、活躍はうれしいですね。できればアーセナル戦では手を抜いて欲しかったですが(笑)

  5. makoto より:

    グローリーグローリーさん>
    決定力が高いですよね。あのチームで15は素晴らしいです。

    Mackiさん>
    おっしゃるとおり、最後まで切れなかったですね。いかにも中堅以下のクラブのサッカーでしたが、徹底度が素晴らしかったです。

    yutoさん>
    「他力×2」ですからね…。コンセプトの浸透に時間がかかりすぎましたね。

    queenさん>
    私もデフォーの活躍はうれしいです。ゴールセレブレーションが絵になるんですよね。

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