【West Ham×Tottenham】縦を急ぎ過ぎたスパーズ…ランジーニの一撃に敗れ、ついに終戦!
開始4分、敵陣でインターセプトに成功し、GKアドリアンが前に出ているのを見て思い切って狙ったハリー・ケインのロングシュートは、スパーズの快進撃が続くことを予感させるプレイでした。「金曜の夜、僕らが先に戦って勝ち点3をゲットすれば、チェルシーとの差は1になる」。ライバルにプレッシャーをかけられればチャンスはあると語っていたエースストライカーは、いつも通り落ち着いて試合に入れたようです。
一方、堅守の最終ラインはいきなりピンチを迎えます。6分、バイラムとのパス交換で前を向いたアイェウが、左からスプリントしたランジーニにピタリと合わせる絶妙なパス。34節のエヴァートン戦からレギュラーに抜擢されたカジェリを捨てたアルデルヴァイレルトがハマーズの10番に寄せにいくと、フェルトンゲンの戻りが遅れてカジェリはフリー。ランジーニがシュートではなく浮き球のパスを選んでいれば、プレミアリーグ14試合でわずか1ゴールだったアルゼンチン人FWが先制ゴールを決めていたでしょう。11分にはクレスウェルが左サイドを突破し、ファーにふわりと浮かすクロス。バイラムがヘディングで勝つと思われた瞬間、ワニャマが間に合いクリアしたボールがゴールラインを越えていきます。
1月にディミトリ・パイェを失ったハマーズは、2月中旬から勝てなくなり、プレミアリーグ11戦で1勝5分5敗の絶不調。一時は降格が心配されましたが、復帰したウィンストン・リードと元エースGKのアドリアンが先発に入った最近2試合はクリーンシートでドローに持ち込んでおり、この日もスパーズのアタックに冷静に対応しています。21分、アルデルヴァイレルトの自陣からのロングフィードをソン・フンミンがハリー・ケインに落とすと、エースのシュートはアドリアンが前に弾き、フォローしたデル・アリのプッシュもDFがブロック。こぼれ球に反応したハリー・ケインの2発めはアドリアンの逆を突いた決定的な一撃でしたが、GKが左足を残してかろうじてクリアし、ハマーズは難を逃れます。CKでニアに走り込んで頭で合わせるのはエリック・ダイアーの得意技ですが、これもアドリアンが確実に弾き出して均衡は崩れません。
26分、スパーズ守備陣はまたもランジーニに裏を取られます。ノーブルのパスがボックス手前に届くと、飛び出したロリスが体に当ててボールはこぼれ、クヤテのループシュートはコースが合わず。29分に左のデル・アリからのパスを受けたアルデルヴァイレルトのミドルは、アウトにドライブがかかって右に外れます。36分のエリクセンの左足ミドルはポストの外。トッテナムは縦を急ぎ過ぎています。前半を0-0で折り返すと、後半開始早々のスパーズはサイドからの攻略をめざします。51分、カウンターを止めたコリンズがすかさず前線に長いボールを入れると、カジェリのクロスはアイェウに合わず。カジェリが左右に流れると、空いたスペースにアイェウとランジーニが入ってくるゼロトップのような戦術はうまく機能しています。
53分、攻め上がったフォンテが右のバイラムをボックス脇に走らせたスルーパスは完璧。マイナスのグラウンダーを叩いたアイェウのシュートはバーを越えますが、ロリスがヒヤリとさせられたシーンでした。アイェウは56分にもフェルトンゲンの背後から抜け出すチャンスを得ますが、カジェリのスルーパスが長くロリスにクリアされます。カイル・ウォーカーのパスでソン・フンミンが右サイドを破り、エリクセンに折り返したチャンスはボレーの当たりが弱すぎました。アルデルヴァイレルトの縦パスから始まった63分の速攻は、エリクセンのラストパスをもらったソン・フンミンが左隅を狙いますが、アドリアンが鋭い反応で外に弾き出します。
ハマーズのゴールが生まれたのは65分。左サイドで粘ったクレスウェルがファーに浮かすと、バイラムの折り返しをアウトでプッシュしようとしたアイェウが止められ、後ろに流れたボールの前にいたのはランジーニでした。至近距離から思い切り右足を振り抜かれては、名手ロリスもどうしようもありません。ポチェッティーノ監督は、すぐにフェルトンゲンを下げてデンベレ。73分にはワニャマをフィンセント・ヤンセンに代えて前がかりの布陣にスイッチすると、ヤンセンとのワンツーでデル・アリが左から抜け出すも、グラウンダーは中のハリー・ケインに合いません。アルデルヴァイレルトが自陣ボックス内でカジェリに奪われたのは76分。シュートはロリスが左に弾いて事なきをえましたが、リスキーすぎるドリブルこそが、プレミアリーグ2位チームの焦りを物語っています。
86分のエリクセンのミドルは左にアウト。ハマーズの守備陣がポジショニングを間違えるシーンは見られず、時間は刻一刻となくなっていきます。敗色濃厚となった96分、決定機はウェストハム。スノドグラスとのコンビでカウンターを仕掛けたアシュリー・フレッチャーがロリスと1対1になりますが、素晴らしい出足で足元に入った守護神のビッグセーブで2点めはなりません。いやー、残念です。プレミアリーグの優勝争いは、今度こそ終わりでしょう。マンデーナイトのスタンフォード・ブリッジでチェルシーと戦うのは、19位に低迷するミドルズブラ。首位が負けるとは考えづらく、勝ち点差を7に広げられれば残り3つを1勝2敗でもOKです。
先日、リヴァプールが負けるかもしれない相手は守備がよくなったウェストハムと書いたのですが、トッテナムが先にやられてしまうとは思いませんでした。3戦連続クリーンシートを達成したホームチームの素晴らしい守備をほめるべき試合でしたが、スパーズが縦を急ぎすぎたという面もあると思います。若さを武器にピッチを走りまくるサッカーで巻き返し、老獪なチェルシーを追い詰めたチームは、若さゆえか工夫のないサッカーに終始してしまいました。シーズンが終われば、スパーズの強さについて語れるようになるとは思うものの、今はただ無念さをかみしめるよりほかに、なせることが思い浮かびません。(トビー・アルデルヴァイレルト 写真著作者/Дмитрий Голубович)
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ゴール直前のランシーニが完全にフリーでしたね。アドリアンも神がかってました。
気が緩んでチェルシーが負けない事を祈りつつ(意外とありそう)、最終節まで白熱して欲しい気もします。
今日の試合はすごい戦略的でした
sky sportsの解説陣の解説が非常にわかりやすく、ぜひ見てもらいたいです。
彼らは ウェストハムのとった戦術は両RBと両WGによる同時のプレッシャーとスペースの作り方、自軍に入ってきた時ボールに必ず二人はプレスにいく この三点について解説していました、この戦術は、今までトッテナムに対するチームがどこも取らなかった戦術だとも解説していました。加えて、この試合はウェストハムがトッテナムの弱点をはっきりさせた試合とも受け取れます、非常に戦術的な試合でまだまだこの試合を見直せそうです。