偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグは5勝1分。全体のTOPの戦績でラウンド16に進んだトッテナムは、プレミアリーグでは直近6試合を1勝2分3敗と停滞中です。ウェンブリーで行われる本日のストーク戦は、年内復帰は難しいと報じられたアルデルヴァイレルトと前節のワトフォード戦でレッドカードのダヴィンソン・サンチェスが欠場。3バックが組めなかったポチェッティーノ監督は、GKロリスの前にトリッピアー、ベン・デイヴィス、エリック・ダイアー、フェルトンゲンを並べました。デンベレとハリー・ウインクスがセントラルMFに入り、デル・アリ、エリクセン、ソン・フンミンが2列め。トップはもちろんプレミアリーグ10ゴールのハリー・ケインです。

ウェストハムVSチェルシーのロンドンダービーとは打って変わって、静かな立ち上がり。6分、ハリー・ウィンクスの素晴らしいパスで右サイドから上がったエリクセンは、ファーを狙ったクロスをエドワーズにクリアされます。12分、デル・アリのパスを受けて中に斬り込んだソン・フンミンのシュートはGKバトランドの正面。スパーズの攻撃は、前線へのパスの精度が低く、ストーク守備陣にことごとくカットされます。エリクセンがたびたびアンカーの位置まで下がってくるのを見ても、いい状態とはいえません。

ところが20分、ソン・フンミンのクロスがズマの足に当たって跳ねると、ゴール前に戻ろうとしたショークロスが自らのゴールにヘディングを突き刺してしまいます。1-0となった25分、スパーズのカウンター。4対2のシーンで味方に出さず、遠めからGKの正面に打ったソン・フンミンはいただけません。28分、右足でカーブをかけたエリクセンの素晴らしいFKは、読んでいたバトランドがビッグセーブ。ストークは、左から仕掛けてくるソン・フンミンに手こずっています。31分にデンベレがわざとバウンドさせた一撃は、バートランドが慎重に体に当てて左にクリア。クロスがDFにヒットし、ラインの裏に出たハリー・ケインの頭上に落ちてきたチャンスは、左隅を狙ったヘッドが枠にいきません。

37分のソン・フンミンのスルーパスは秀逸。元同僚のヴィマーの裏を取ったハリー・ケインは、バトランドとの1対1を左に外してしまいました。昨季プレミアリーグ得点王は、いつもなら決められるシュートが狙ったコースに飛びません。41分の波状攻撃は、トリッピアーのクロスのクリアをダイレクトで叩いたソン・フンミンが打ち上げてしまいました。前半は1-0、ストークのシュートはわずか1本。ワンサイドゲームを展開していたスパーズは、オウンゴール1発に終わりました。

後半もスパーズが一方的に攻める展開。52分、ハリー・ウインクスの縦パスでノーマークになったデル・アリが縦に転がしたスルーパスは見事でした。左からラインの裏に走ったのはソン・フンミン。ズマは振り切られ、GKのポジションを見てニアに打ったシュートが決まります。その1分後、エリクセンとのワンツーで左から上がったベン・デイヴィスがハイクロスを入れると、ゴールの真ん前にいたハリー・ケインが容赦ないヘディングシュートをバトランドの股間に叩きつけました。あっという間の3-0。60分にようやくカウンターに持ち込んだシャキリは、左足に持ち替えられずに打ったシュートをロリスに弾かれてしまいました。

4点めは65分。右からドリブルで突破を図ったエリクセンのアーリークロスがソン・フンミンへ。エドワーズのチェックでチャンスは潰えたかに思われた瞬間、こぼれ球をフォローしたハリー・ケインが左隅に完璧なシュートを流し込みました。66分、デル・アリが下がってラメラ登場。マーク・ヒューズ監督は18歳のエドワーズを下げ、キャメロンを投入します。74分、スパーズがまたもカウンター開始。ソン・フンミンがドリブルで上がり、左のエリクセンにきれいなラストパスを通すと、バトランドの前に躍り出たプレーメイカーが悠々と左足でクロスに蹴り込み、ボールはゴール右隅に刺さりました。

80分、CKに飛び出したロリスがかぶり、ショークロスのヘッドが無人のゴールに吸い込まれるも時すでに遅し。ボックス右を崩したソン・フンミンが、中で空いていたエリクセンに打たせたチャンスは、右に飛んだバトランドのビッグセーブでCKです。90分にラメラの絶妙な浮き球が前線に届き、ハリー・ケインが抜け出すとバトランドの飛び出しが速く、シュートは体に当ててストップします。試合は5-1でタイムアップ。スパーズは、プレミアリーグでは1ヵ月ぶりの勝ち点3を文句なしの大勝でゲットしました。

MVPは、文句なしでソン・フンミン！彼とデル・アリ、エリクセンからいいボールが出てくれば、トッテナムは強いのだとあらためて教えられたゲームでした。ストークが元気がなかったのは確かですが、ハリー・ケインとソン・フンミンの個人力でしかゴールを奪えなくなっていたチームが、久しぶりに彼ららしさを取り戻しました。ミッドウイークのブライトン戦を経て、来週末はいよいよマンチェスター・シティとの直接対決です。キラーパス1発で世界を変えるカウンターを炸裂させて、CB2人を欠いた最終ラインをカバーしていただければと期待しています。前半にあれだけミスがあっても結局2ゴールのハリー・ケインは、やはりプレミアリーグNo.1ストライカーです。素晴らしい！