イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Saints×Chelsea】復活ジルーと崩壊セインツ…明暗分かれた上演時間10分の大逆転劇!

負ければチャンピオンズリーグ出場権獲得が絶望的となるチェルシーと、プレミアリーグ残留のために何としても勝ち点3が必要なサウサンプトン。この季節ならではの一戦は、残り30分でセインツの2点リードというエキサイティングな展開になりました。セント・メアリーズのピッチに立ったコンテ監督の11人を見てみましょう。GKクルトワ、DFアスピリクエタ、クリステンセン、ケーヒル。セントラルMFはセスクとカンテ、WBにザッパコスタとマルコス・アロンソ。ウィリアンとアザールが左右に入り、トップはプレミアリーグ11ゴールのモラタです。円陣を組んで試合に臨んだセインツは、気合い充分。5分を過ぎて、徐々に押し始めたチェルシーですが、セインツ守備陣は集中して守れています。セスクやウィリアンがサイドから上げるクロスは味方に通らず、シュートシーンを創ることができません。

セインツが先制したのは21分。自陣からのスルーパスに走り込んだバートランドがアスピリクエタを振り切り、倒れ込みながらグラウンダーを入れると、ニアに入ってきたタディッチが冷静にボレーで流し込みました。チェルシーのチャンスは27分。カンテがボックス右に浮かしたボールをザッパコスタが頭で折り返すと、余裕がなかったモラタのヘッドはクロスバーを越えていきます。29分に左から蹴ったウィリアンの絶妙なCKは、GKマッカーシーの頭上を越えてファーのザッパコスタに届きますが、WBはボレーを空振り。36分にシェーン・ロングが仕掛けたカウンターは、遠目からのシュートが右に逸れていきます。

38分、GKマッカーシーのキックがシェーン・ロングに通り、パスを受けたウォード=プラウズが左に蹴ったボールはクリステンセンがカット。リバウンドをキープしたウォード=プラウズの強烈なミドルはクルトワがセーブし、フォローしたタディッチの右足シュートは力がありません。セインツの中盤のチェックが厳しく、チェルシーは何もできないまま、前半は1-0で終了。エンドが変わった48分、左からのCKで吉田麻也とクルトワが激しく接触してボールがこぼれますが、日本代表CBは打ち切れませんでした。54分、縦パス1本で抜け出したシェーン・ロングは、ボックスに入ってクリステンセンとケーヒルをかわし、左足でカーブをかけたシュート。コースは申し分なかったものの、クルトワが右手を伸ばして外に弾き出します

55分、チェルシーの波状攻撃。ボックス右に流れたアザールが切り返しから左足を振り抜くも、フィニッシュを警戒していたマッカーシーが冷静にセーブします。直後にウィリアンが中央から放った右足のシュートも、フレイザー・フォースターからポジションを奪った新守護神がビッグセーブ。セインツの追加点は、60分でした。右からファーに上げたウォード=プラウズのFKは完璧。いちばん外から走り込んだベドナレクをマルコス・アロンソが見失い、フリーのボレーがクルトワの脇を抜きました。勝利に近づいたセインツ。プレミアリーグで3戦連続3失点3連敗のチームが、同じ失敗を繰り返さなければ、後半戦2勝めを飾ることができます。コンテ監督はすぐさま2枚代えを敢行。ザッパコスタとモラタが下がり、ペドロとジルーが前線に入ります。

絶体絶命だったチェルシーの鮮やかなゴールショーが始まったのは、70分でした。左サイドのマルコス・アロンソが、中に放り込んだボールをジルーがヘディングで左隅へ。こんな簡単なことにどうして気づかなかったのかといいたくなるようなゴールは、後ろからのボールに強いストライカーの真骨頂です。勢いに乗ったチェルシーの猛攻がスタート。72分過ぎからの包囲網は、パスが何本つながったことか。75分、ウィリアンが左から上げたクロスがアザールに通り、ワントラップの左足シュートがゴールのど真ん中に突き刺さります。セインツ守備陣は、最も自由にしてはいけない選手にスペースと時間を与えてしまいました。

2-2となった78分、FKキッカーのウィリアンが左のアザールに預けると、逆サイドへのクロスに跳んだクリステンセンのヘディングは、ゴール前に高く上がります。競り合ったボールがこぼれたところにいたのは、移籍後のプレミアリーグ初ゴールに気をよくしているストライカーでした。ジルー、左足一閃。右隅に抜けてくるボールに、マッカーシーは反応できませんでした。87分のCKを叩いたホイビュルグのヘッドはクルトワがキャッチ。91分にクルトワと1対1になったシムズは、シュートをGKにぶつけてしまいました。2-3で勝ったチェルシーはプレミアリーグ4位以内フィニッシュに望みをつなぎ、4連敗のセインツは残り5戦で2勝以上が必要となりました。

ようやくジルーを活かすことができたチェルシーの逆転劇にテンションが上がると同時に、ひと頃は堅守と称されていたセインツの崩壊を見て無性に寂しくなりました。ロナルド・クーマンが指揮を執っていた2年前は、18勝9分11敗という素晴らしい戦績でプレミアリーグ6位。クロード・ピュエルが招聘された昨季は、12勝10分16敗と苦しみながらも8位に粘り、EFLカップで準優勝という結果を残しています。今季は、まさかの18位。ストライカーたちの沈黙、レドモンドとフォースターの不振、フィットしなかった新戦力、ファン・ダイクの移籍、吉田麻也の長期離脱とネガティブな要素が重なり、彼ららしい堅実なフットボールを披露することはほとんどありませんでした。

セインツはこのまま、意地を見せることなくチャンピオンシップに転落してしまうのでしょうか。チェルシーの猛攻を人数をかけて耐えていたのに、アザールのマークを外してしまうとは…。彼らに最も足りないものは、自信と落ち着きなのではないでしょうか。就任してからの3試合がすべて3失点完敗のマーク・ヒューズ監督が、最後の5試合でチームを復活させられるとは思えません。いやー、せつないです。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【Saints×Chelsea】復活ジルーと崩壊セインツ…明暗分かれた上演時間10分の大逆転劇!” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    セインツにしてみれば衝撃の8分間でしょう。昨シーズンまで嫌なチームだったのが今シーズンは勝点3を計算できるチームになってしまい、、、。ポチェッティーノ〜クーマン〜ピュエルと繋いできたチームが今年は残念な形となり、今更ながらピュエル更迭が失敗だったと思います。なんとか踏ん張って欲しいのですが、、、、

  2. グーナーです より:

    チェルシーに勝ってもらっては困るグーナーですが、
    ジルーが活躍したのであれば仕方のないことです。

    ちょっと先の話になりますが、W杯では密かにフランス代表の優勝を期待しています。
    (我らが王子、エジルは前回タイトルをとったのでほどほどに頑張っていただくとして)
    ジルーという男が偉大なタイトルを勝ち取る瞬間というのを見てみたいなと思うのです。
    もちろんコシェルニーやラカゼットなど、アーセナル選手が複数いるのですからフランスを応援してしまうのは当然なのですが。
    サッカーの楽しさをたくさん経験させてくれたジルーに、
    何か神さまからご褒美があってもいいよな、と願っています。

    (ということで、グリーズマンにはW杯に向けてELでは少々手を抜いていただきたいと思う所存です)

コメントを残す