イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Arsenal×Burnley】MERCI ARSENE…最後のエミレーツで見せてくれた、心浮き立つ快勝劇。

アーセン・ヴェンゲル、最後のエミレーツ。プレミアリーグ37節のバーンリー戦は、何としても勝ちたいゲームです。両チームの選手たちが作った花道を手を振りながら颯爽と歩き、ショーン・ダイチェ監督と握手するヴェンゲル監督。これを見ているだけでも、センチメンタルな気分に支配されます。とうとう、この日が来てしまいました。エミレーツとスタンフォード・ブリッジでホームチームが両方勝てば、アーセナルのプレミアリーグ6位が確定します。

メスト・エジル不在のガナーズは、ラカゼットがトップに入り、オーバメヤンが左、イオビが中央、ムヒタリアンが右の4-2-3-1でしょうか。セントラルにはジャカとウィルシャー。コシールニーを欠いた最終ラインはベジェリン、マヴロパノス、チャンバース、コラシナツ。GKは3試合ぶりのペトル・チェフです。アトレティコ・マドリード戦では見られなかった、最終ラインの裏への走り込みが目立つガナーズ。ミキやジャカのパスが通れば、即座に決定機です。ジャカの再三のサイドチェンジがコラシナツに通るも、ストライカーにはつながりません。しかし14分、右サイドを攻略したガナーズが、あっさり先制します。ベジェリンからパスをもらったラカゼットが、イオビとのワンツーでボックス右を突破。高速のグラウンダーがゴール前に入ると、走り込んだオーバメヤンがプッシュしました。

22分、ジャカと激突して肩を痛めたアシュリー・バーンズがリタイアし、サム・ヴォークスがピッチへ。アウェイチームのアタックが若い最終ラインを脅かすシーンはほとんどなく、ガナーズがボールを支配しています。33分、ラカゼットのクロスをニアで叩いたミキのボレーはクロスバー越え。ゴール前でラカゼットがタルコフスキから奪ったチャンスは、GKポープの飛び出しに阻まれます。

43分、ジャカの縦パスをダイレクトでラカゼットに預けたミキは、リターンをもらうと強烈なミドルシュート。これはポープに阻まれますが、オーバメヤンとミキがいる試合は速い中央突破が楽しみです。48分、2点めはイオビが右に出したスルーパスから。ベジェリンがダイレクトで折り返すと、ニアに入ったラカゼットが左足のボレーを巧みに流し込みました。前半は2-0。残りの時間は、安心してヴェンゲルサッカーを堪能できそうです。

後半開始直後の46分、左サイドを崩したオーバメヤンがゴールライン際を進んでニアに折り返すと、ウィルシャーのボレーは右に大きくアウト。49分にフリーで打ったサム・ヴォークスのヘッドは、チェフの正面に飛んでしまいます。3点めは、コラシナツの強烈な一撃。ウィルシャーのラストパスをボックス左でトラップした左SBは、迷わず左足を振り抜き、逆サイドのネットに突き刺しました。55分に右から上がったミキは、切り返しを入れて左足のコントロールショット。ボールは曲がり切らず、左のポストの外を抜けていきます。

グーナーのチャントが響くエミレーツ。64分、中央からドリブルで上がったイオビが左のオーバメヤンに預けると、リターンをワントラップで叩いた素晴らしいシュートがゴール左上に決まります。71分、バーンリーはアーロン・レノンが下がってエンクドゥ。ヴェンゲル監督の交代策は、ウィルシャーとラカゼットに代わってウェルベックとラムジーです。ゴールラッシュを締める1発は、ドルトムントから来たストライカーのこの日2発めでした。75分、ベジェリンがウォードの股間を通すアーリークロス。オーバメヤンは右足のボレーを確実にゴールに送り込み、プレミアリーグ11試合で8ゴールです。

77分、チャンバースがベンチに退き、ペア・メルテザッカーが最後の挨拶。88分、ミキのパスを受けたウェルベックが、右足で放ったシュートがポストを叩きます。相変わらず、チャントが聞こえるエミレーツ。試合の終わりを告げるホイッスルは、感傷を断ち切るかのように90分ちょうどに鳴り響きました。

「私の人生の一部として、そこにいてくれてありがとう」。試合後のセレモニーで、パット・ライスさんからトロフィーを受け取り、マイクを握ったアーセン・ヴェンゲル。サー・アレックス・ファーガソンに対するお見舞いの言葉の後、シンプルな表現でグーナーへの感謝の気持ちを語りました。「bye-bye」。スピーチを終え、センターサークルでスタンドの声援に応えると、最初に握手したのはアーロン・ラムジー。選手たちと健闘を称え合ったボスは、西日が差し込むスタンドに向かって手を振りながら、ピッチを1周します。「P38 W26 D12 L0」。無敗優勝をリスペクトするバナーを見ると、涙腺が緩くなります。素晴らしい時代でした。プレミアリーグに革命を起こした稀代の名将がいなければ、私たちがこれほどまでにアーセナルについて語ることはなかったでしょう。

Sometimes, to make people happy you have to go somewhere else! I want to make people happy because I have a certain idea of how football is to be played. My ambition was always to win with style. When you’re a big club I think you have that responsibility and for the supporters to have a special experience when they come to the club. That was always my target, and that’s what I mean by making people happy.(人々を幸せにするために、どこかへ行かなければならないことがある。確たるフットボールの方法論を以て、みんなを幸せにしたかった。野望は、常にスタイルをもって勝つことだった。ビッグクラブには、訪れたサポーターに特別な経験をもたらす責任があると思う。それが私の目標だったし、人々を幸せにするという意味でもあった/アーセナル公式サイトより引用・翻訳筆者)」

MERCI ARSENE…心からの感謝を込めて。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【Arsenal×Burnley】MERCI ARSENE…最後のエミレーツで見せてくれた、心浮き立つ快勝劇。” への4件のフィードバック

  1. むん より:

    こんな時に何ですが、今日の全得点はレベルが高かったですね。バーンリー側の心理的な影響も少なからずあると思いますが、まぁそこは目をつぶって、と。

    オーバメヤンの2点目なんて、右からの高速グラウンダーのクロスを(しかも前にDFがいて見にくかったはずなのに)右足アウトに"当てて"流し込んでましたが、あれをふかしたり、当てられずに空振ったりするのを今まで何度見てきたことか…!と、驚いているのは私だけでしょうか笑
    ワールドクラスとはこういうことかと感嘆させられました。彼がアトレチコ戦にいてくれたらと全グーナー及びヴェンゲル監督が思ったはずです。

    リーグタイトルに必要な一貫性や継続性といったものには縁がないヴェンゲル監督の後年でしたが、ハマった時の美しさと高揚感がたまりませんでした。本当に幸せでした。

  2. グーナーです より:

    真っ赤な真っ赤なエミレーツスタジアム。
    この数年は辛辣なブーイングも多かったこのスタジアムですが、今日ばかりはとてもあたたかい空気を感じました。
    アトレチコ戦の悲しみも癒えていないファンも多いのでしょうが、ボスの花道にふさわしい雰囲気を用意するあたりは、とても良いファンだなと思うところでもあり、それこそがボスの功績でもあるのだと思います。

    このゲームについて語るべきことはさほどありません。
    ただただこの幸福な時間を噛みしめていた気がします。

    それよりも、マンチェスターユナイテッドのファンである筆者様に御指南いただきたいことがあるのです。
    「僕たち、これからどうしていったらいいですか?」笑

    次期監督のことや選手の選別などはチームの役割なのですが、ファン心理をどう保ったらいいのやら情けないことにさっぱり分からないんですよね笑
    それはもうとても単純に「ヴェンゲルのいないアーセナルを知らない」からです。
    ファーガソンさんが去った後、ユナイテッドを支えたファンの方には頭が下がります。もちろん、それと同時にファンをやめた方も一定数いるのだとは思いますが、今でもバルサマドリーと並ぶ世界最高人気クラブであるのは素晴らしいと思います。

    そして、アーセナルもまたそうでなければならないのだと思います。
    さてさて、僕たちファンはこれからどうやってアーセナルと向き合っていきましょうか。

  3. B より:

    やっぱ良いクラブ
    ブルーズの自分から見てもやっぱりアーセナルは良いクラブ

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    ガードオブオナーを進んだ際にダイクと審判団に握手を求めた姿。
    試合後のスピーチの冒頭にまずファーガソンへの見舞いを口にした姿。
    試合後のプレカンで記者団からの記念品贈呈にユーモアをもって接していた姿。

    最後まで誇り高くふるまってくれたボスに改めて感謝ですね。

    ELがどうだ、リーグ6位がどうだ、なんてとるに足らないことです。

    One Arsene Wenger … 試合中バーンリーのサポーターが歌っていた時はさすがにグッときました。

    最後まで金銭でタイトルを買うことを良しとしなかった、それに対する批判を頑なに受け付けなかった、勇気と信念の人だったと思います。

    後任はこれだけのクオリティを持ったチームを受け継ぎます。希望はジャルディム。ないかな?他の”ビッグチーム”の色のついた監督だけはやめてほしい。

    アーセナルのアイデンティティを引き継ぎ、発展させられる人物に長期政権を任せたいものです。

    —–
    偉大なる我等がボス、アーセン・ヴェンゲル。
    ホームでの最後の試合は、まさにボスが求め続けたものだったと思います。

    —–
    他サポだけど素晴らしかった

コメントを残す