偏愛的プレミアリーグ見聞録

2016-17シーズン以降のプレミアリーグ5試合は3勝2分、失点は何とゼロ！チェルシーにとって近年はお得意様のエヴァートンとの一戦は、アウェイといえども落とせません。サッリ監督は、スタンフォード・ブリッジでドローに終わったウルヴス戦を意に介さず、マルコス・アロンソとロス・バークリー以外は同じ顔ぶれを並べてきました。GKケパ、DFアスピリクエタ、リュディガー、ダヴィド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤はジョルジーニョ、カンテ、ロス・バークリー、最前線にはペドロ、アザール、イグアインです。

キックオフから5分を過ぎ、自分たちのペースをつかんだのはチェルシーでした。左から仕掛けたアザールが、マイケル・キーンをかわして放ったシュートはピックフォードが右に弾き出すビッグセーブ。2分後にもマイケル・キーンがアザールに振り切られ、ファーを狙った一撃がポストを叩きます。さらに8分、ジョルジーニョが得意の浮き球をラインの裏に通し、抜け出したイグアインがクロスに打つと、ミナが体を投げ出してセーブ。エヴァートンは、いつ崩壊してもおかしくない状態に追い込まれていました。プレミアリーグ11位がようやく攻めに転じたのは、15分を過ぎてから。インターセプトに成功したディーニュが中央のカルヴァート＝ルーウィンに縦パスを通すと、左足のミドルは左のポストの外に切れていきました。

ブーイングが止まないロス・バークリーは、16分にボックス左を完全に崩しますが、ラストパスを味方に通せず。ワンツーから右足を振り抜いたジョルジーニョのミドルは、ピックフォードが冷静にストップします。スコアレスドローに持ち込んだスタンフォードブリッジでは、ジョルジーニョ封じが功を奏しましたが、エヴァートンはホームゲームでも5番を消そうとしています。26分、アンドレ・ゴメスが遠めから左足で狙いますが、ケパが前に落としながらも懐に収めました。アザールは、序盤のようにドリブルを許されなくなっています。

ロス・バークリー、アザール、ペドロ、マルコス・アロンソとつながった31分の左からのアタックは、SBのラストパスをニアで受けたペドロのシュートが当たり損ね。2分後、ロングフィードが左のアザールに通り、縦に走ったロス・バークリーに斜めのパスが出ると、折り返しをニアで叩いたイグアインのボレーが浮いてしまいます。41分に左から蹴ったロス・バークリーのFKは壁にヒット。直後に右から斬り込んだペドロが左足を振り抜くと、ボールは右ポストの脇を抜けていきます。前半は0-0ながら、完全なるチェルシーペース。彼らがいつ決めるかと思いながら後半の立ち上がりを観ていたのですが、先制したのはエヴァートンでした。

49分、右からのCK。競り勝ったカルヴァート＝ルーウィンのヘッドはケパがセーブしますが、こぼれ球に先着したのはリシャルリソンでした。前半は守備に忙殺されていたブラジル人アタッカーが頭でプッシュすると、グディソン・パークは歓喜爆発。早い時間に追いつきたいチェルシーは、相変わらずポゼッションを主張しているものの、ラストパスが前線にうまくつながりません。55分、ロス・バークリーのサイドチェンジが右のペドロに渡り、クロスがファーに流れると、マルコス・アロンソのハーフボレーはニアに外れてしまいました。

60分、ダヴィド・ルイスのロングフィードをカンテが落とすと、イグアインがニアに打ったボレーは左に飛んだピックフォードがビッグセーブ！サッリ監督は65分にイグアインとロス・バークリーを諦め、ジルーとロフタス＝チークで勝負です。マルコ・シウヴァ監督は、68分にアンドレ・ゴメスをシュナイデルラン。スコアはこのままで構わないと主張するような采配でしたが、72分にゴールを決めたのはまたもエヴァートンでした。

右からのコールマンの突進をカンテが止め、マルコス・アロンソがこぼれたボールを処理しようとしますが、彼がタッチしたのはボールではなく、脇から飛び出してきたリシャルリソンの足でした。見えていなかったSBがペナルティを宣告され、スポットにはシグルズソン。左隅に蹴ったPKはケパがストップしますが、ボールはシグルズソンの足元に戻り、ダイレクトで蹴った2発めがネットを揺らしました。74分、ジョルジーニョが下がってカラム・ハドソン＝オドイ。この展開で2点は絶望的なギャップです。80分、ベルナルジと代わったばかりのウォルコットが左から放ったシュートは、ケパがセーブ。82分にドリブルでシュートレンジに突入したハドソン＝オドイは、渾身の一撃を上に弾かれてしまいます。

チェルシーの敗因を挙げるとすれば、序盤のチャンスを活かせなかったことと、攻撃が中央に寄り過ぎてミドルレンジからのシュートに終始してしまったことでしょうか。93分にダヴィド・ルイスが頭で折り返したボールをジルーがプッシュするも、アスピリクエタに当たってゴールならず。プレミアリーグ後半戦で5勝2分4敗と停滞しているチームは、セットピースからの失点を抱えたまま、クリーンシートで散りました。リヴァプール、マンチェスター・ユナイテッドと厳しいアウェイゲームが2つ残っているチームは、これ以上落とせば来季のステージもELとなりそうです。