【MAN.CITY×Tottenham】シュート数30対3…マンチェスター・シティが勝てなかった理由。
7分、カイル・ウォーカーが快足を飛ばして右サイドを突破すると、ファーで待っていたスターリングのボレーはカイル・ウォーカー=ピータースがブロック。中に持ち込んだデブライネの左足ミドルは、力が入らずロリスが正面でキャッチします。昨季プレミアリーグで、2試合とも10分以内に失点を喫したスパーズは、最初の10分を耐えました。スパーズは前線に楔を打てず、15分のカウンターも、右からのクロスに合わせたラメラのヘッドが枠に届きません。
20分、右サイドのベルナルド・シウヴァが脇にいたデブライネに落とすと、完璧なクロスがファーサイドを襲います。走り込んだスターリングが、ヘディングシュートを右のサイドネットに落として1‐0。引いて我慢していたスパーズは、3分後に最初のシュートで同点に追いつきました。エンドンベレが前線に出したパスをラメラが収め、ラポルテの外を巻く左足ミドルにエデルソンは触れず。プレミアリーグ王者が完全に中盤を支配しているものの、スパーズのMFたちがボックス手前まで下がってスペースを消し、速攻のチャンスを窺っています。
36分、ベルナルド・シウヴァが斜めのパスでデブライネをボックス脇に走らせると、高速グラウンダーが炸裂。ニアで合わせたアグエロは、今季プレミアリーグ2ゴールめです。43分、ベルナルド・シウヴァが今度はデブライネを外に走らせ、3度めのスーパーパスがボックス中央にいたギョンドアンの足元へ。ロリスが1歩も動けなかったボレーは、右ポストをかすめて外に転がっていきました。スパーズのシュートは、ラメラが決めた1本のみ。戦慄のハーフコートマッチは、2‐1で後半に突入します。
スパーズの布陣は4‐4‐2。8人がコンパクトにまとまったブロックを構成し、ハリー・ケインとラメラが前から追う役割を担います。48分、ジンチェンコの豪快なミドルがDFに当たってゴールを襲うと、ロリスがプレミアリーグ屈指の瞬発力を披露して右にセーブ。セーフティリードを築きたいマン・シティは、無理めの突破が目立つようになっています。51分、スターリングの縦パスをアグエロがダイレクトで落とすと、デブライネの左足シュートはファーポストの外。2分後、スターリングが右に展開したパスをエンドンベレが触ってボックスに流れ、先着したベルナルド・シウヴァがダイレクトで合わせるも、ロリスがいるところに打ってしまいました。プレミアリーグの中堅クラブとチャンピオンシップのクラブが戦っても、これほどのワンサイドゲームにはならないでしょう。
56分、スパーズがCKをもらったタイミングで、ハリー・ウィンクスに代わってルーカス・モウラ。ピッチに入って3秒、最初のタッチが同点ヘッドとは…!昨季CL準々決勝のセカンドレグを見ているような錯覚に陥る緊張感の高い攻防。マン・シティは勝ち点3をめざし、スパーズはとにかく失点回避です。61分のロドリのミドルはロリスがパンチ。CKをオタメンディが競り、落下点にいたベルナルド・シウヴァが左足で浮かすと、バーを叩いたボールは守護神の懐に収まりました。66分にガブリエウ・ジェズスに代えられたアグエロは、ペップと口論をした後、ベンチで頭を抱えています。
ペップの誤算のひとつは、交代策が機能しなかったことでしょう。78分にロドリをダヴィド・シルヴァ、80分にベルナルド・シウヴァをマフレズにスイッチしたものの、ベンチで戦況を見つめていた選手たちはうまくゲームに入れませんでした。ラスト20分はシュート5本、オンターゲットゼロ。ゴール前で余裕がなかったガブリエウ・ジェズスは、92分にCKが流れてきたところを中に持ち込んで右隅に蹴り込みましたが、VARが直前にコースを変えたラポルテのハンドを見ていました。プレミアリーグデビューとなるロ・チェルソと18歳のオリヴァー・スキップで中盤を落ち着かせたポチェッティーノ監督が、望み通りの勝ち点1をゲットしました。
シュート数は30対3、オンターゲットは10対2。どう見ても、2‐2で引き分けたゲームのスタッツではありません。圧倒的に優位だったプレミアリーグ王者は、なぜ勝てなかったのでしょうか。「いくつかの決定機を逃したから」「後半のアタックが強引だったから」「2つの失点シーンで最終ラインの集中力が切れたから」。これらは、部分的には妥当な解なのかもしれません。最初の失点では、中盤のギュンドアンも後ろのラポルテもラメラへのチェックが曖昧になってしまい、CKからの2点めもルーカス・モウラへのチェックが後手に回りました。デブライネのスーパーアシストで2発決めるまではよかったのですが、後半は無理な体勢からシュートを放つシーンが目立ち、フィニッシュの精度も落ちてしまいました。
ハーフコートマッチで何度も繰り返されてきたそれらの理由よりも、私が強く感じたのは、「トッテナムが、あのときのチェルシーのように戦えたから」です。2011‐12シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグのバルサ戦と、ファイナルのバイエルン戦。2‐2のドローに持ち込んで最強バルサを屠った一戦ではシュート4本で枠内3本、1‐1でPK戦に持ち込んで初優勝を遂げたドイツの名門との激戦では3本中3本。4バックとフラットに並んだ4枚のMFでスペースを消していたチェルシーと、昨日のスパーズは同じ守り方でした。
圧倒的な強者に対するときの4‐4‐2のよさは、シンプルゆえにミスが起こりにくいことです。8人がカバーすべきエリアが決まっており、横にいる仲間との距離が近いため、崩されそうなエリアを容易にカバーすることもできます。ポチェッティーノ監督は確実に守れる戦術を選び、望外のゴールを2つも得ることができた。ペップのチームは2回も追いつかれてしまったために、1歩及ばなかった。明らかに力の差があったプレミアリーグのビッグ6対決は、そんな一戦だったのではないでしょうか。デル・アリやソン・フンミンを欠いたアウェイゲームで勝ち点をゲットしたチームを、あらためてリスペクトしたいと思います。
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シティの1失点目は一昨年のCLでチェンバレンに決められたゴールを思い出しました。
エデルソンはエリア内へのパスに備えた位置取りだったのでしょうが、またやったなって感想ですね。
悔しいドローでした。ルーカス・モウラのヘッドに天晴れ!
またしてものスパーズ戦VARでのゴール取り消し、なんか納得がいきませんが仕方なし、次戦以降でvARに救われるケースを期待するのみです。
交代で入ったプレーヤーではジェズスは取り消されたとはいえ素晴らしいゴールを決め、外されたアグエロも納得したのでは?残念だったのがマフレズで、機能せずボールロストも目立ちました。次戦はスッキリ勝ってもらいたいものです。
シティの強さには感服いたしました。
押し込まれるとは思いましたが、ここまでワンサイドゲームになるとは。
よく引き分けで済んだなと思います。
スパーズもなんとか耐えきりました。
どんなかたちにしろ勝ち点1を持ち帰れたことは大きいと思います。
しかし度重なるVAR判定はシティに対して気の毒に思いますね…
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これがCLじゃなくて良かった
リーグなら取り返せますからね
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