偏愛的プレミアリーグ見聞録

宿敵マンチェスター・シティと難敵ウェストハムをクリーンシートで撃破したリヴァプール。プレミアリーグ最下位に沈むノッティンガム・フォレストとのアウェイゲームは、ゴールラッシュを期待したい一戦でした。

クロップ監督の最終ラインは、マン・シティ戦と同じ顔ぶれ。ダルウィン・ヌニェスは大事をとって遠征不参加で、チアゴを欠いた中盤にはヤングスターが配されています。GKアリソン、最終ラインはミルナー、ジョー・ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はエリオット、ファビーニョ、カーティス・ジョーンズ、フロントスリーはサラー、フィルミーノ、ファビオ・カルヴァーリョです。

静かに立ち上がったリヴァプールに対して、リンガード、ギブス＝ホワイト、アウォニイ、クヤテを擁するクラブは、ドリブルで積極的に仕掛けています。7分にアフォニイに出た縦1本は、ファン・ダイクが冷静にカット。レッズのアタックは、ボックスに入るパスが通りません。

9分、右にいたエリオットのロングフィードがボックス左に落ち、カーティス・ジョーンズがディーン・ヘンダーソンと1対1。右足アウトのフィニッシュは、読んでいたGKが足でブロックしました。直後のCKは、フィルミーノのヘッドが左にアウト。レッズのラインはいつもより深く、カウンターへの対応はスピーディーです。

19分に敵陣で奪ったホームチームが、すかさず速攻。ギブス＝ホワイトが斜めに入れたボールを、ボックス右のアウォニイが中央に戻すと、走り込んだクヤテのシュートはアリソンががっちりキャッチしました。

23分、ミルナーの鋭い縦パスがエリオットへ。19歳が右足でニアに浮かすと、ファビオ・カルヴァーリョのヘッドは右に逸れていきます。レッズのアタックがスローなのは、狙いがあるのか、やりにくいのか。31分にアウォニイがドリブルで突進したカウンターは、左でパスをもらったリンガードの左足シュートがGKの正面です。

前線に残っていたファン・ダイクが、右からのミルナーのクロスで競り勝った38分のチャンスは、折り返したボールがフィルミーノに合わず。前半をシュート5本で終えたリヴァプールは、カーティス・ジョーンズのプレイの遅さと、ファビーニョの縦パスのブレが気になります。

後半開始直後のピンチをしのいだレッズは、徐々に主導権を掌握。51分にミルナーが右から蹴ったFKは、サラーの空振りの後、左のファビオ・カルヴァーリョが打ち上げました。55分、後方からのFKを右で受けたスティーヴ・クックはフリー。高速クロスに反応したアウォニイの一撃をアリソンが弾くと、ポストに当たったボールが9番の足元に戻り、2発めがネットを揺らしました。

プレミアリーグ最下位が、1-0でリード！57分にニアを狙ったエリオットのシュートは、ディーン・ヘンダーソンが外に弾き出しました。直後、右からのカウンターでクロスが中央に入り、ギブス＝ホワイトがフリー。右足の決定的なフィニッシュは、ミルナーのスライディングでバーを越えていきました。

62分、ミルナーとファビオ・カルヴァーリョが下がり、ヘンダーソンとアーノルド。68分に左のクヤテがスプリントしたチャンスは、ニアに入ったブレナン・ジョンソンのダイレクトショットをアリソンがセーブしました。76分にフィルミーノに代わって入ったのは、今季プレミアリーグ初出場のチェンバレンです。

85分、ロバートソンのクロスを叩いたアーノルドのヘッドは、ディーン・ヘンダーソンがセーブ。1分後、ギブス・ホワイトの縦パスでラインの裏に出たイエーツは、アリソンと1対1という絶好機をビッグセーブに阻まれます。89分、アーノルドが右から上げたFKがファーのファン・ダイクに届きますが、左足のボレーは右に流れていきました。

92分のCKをミートしたファン・ダイクのヘッドは、左に反応したディーン・ヘンダーソンが超絶セーブ！最強王者に勝ったばかりのリヴァプールが、最下位に敗れるとは思いませんでした。最大の誤算は、サラーのローテンションでしょう。シュートは4本打ったものの、消えている時間が長く、パス成功はたったの4本でした。

左のファビオ・カルヴァーリョも、攻撃の組み立てに参加できず、フィルミーノの負担が増大。デュエル7戦全勝のミルナーと、クロス10本のロバートソンの奮闘は、ウインガーの停滞によって帳消しになった感があります。カーティス・ジョーンズはチェンジオブペースがなく、チアゴの存在の大きさを証明するようなプレイに終始してしまいました。

「目いっぱい、ローだね。正直いって、どうしたらこの試合に負けるのか見当もつかない」。3ポイントを取りに来たクロップ監督にとって、敗戦のダメージはとてつもなく大きかったようです。

「最近の6試合は、限られたメンバーで、1週間に3試合も激しい試合をこなさなければならなかった。それが現実であり、変えることはできない。戦い抜かなければならない。結果論だけど、われわれは一貫性を示すべきだった。セットピースで6回もチャンスを与えてしまった。正直言って、どこを褒めればいいのかわからない」

ルイス・ディアス、ディオゴ・ジョッタ、ジョエル・マティプ、ナビ・ケイタ、イブラヒマ・コナテ、ダルウィン・ヌニェス、チアゴ・アルカンタラ。誰かが復帰すれば、別の誰かがいなくなるチームは、アヤックス、リーズ、ナポリ、トッテナムという難敵との連戦を乗り切れるのでしょうか。最初にやるべきは、ショッキングな結果を忘れて前を向くことです。