偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ再開初戦は、ウェストハムに1-3で快勝。首位を走るアーセナルは、難敵ブライトンを敵地で下すことができるでしょうか。アルテタ監督のスタメンは、ティアニーをジンチェンコに入れ替えただけで、10人は前節と同じ顔ぶれです。ホームチームの左サイドには、三笘薫の名前があります。

GKラムズデール、DFベン・ホワイト、ウィリアム・サリバ、ガブリエウ、ジンチェンコ。センターにトーマスとジャカ、2列めはサカ、ウーデゴーア、マルティネッリ、ワントップにエンケティア。キックオフから間もなく、右からカットインしたウーデゴーアのパスが止められ、ランプティが中央からドリブルで上がります。

トーマスがカットしたのはちょうど1分。拾ったジンチェンコがすかさず左のマルティネッリに展開すると、強引なシュートがダンクとコルウィルに当たって右に流れ、サカの足元に入りました。今季プレミアリーグ6発めとなるワントラップのハーフボレーが決まり、いきなり0-1。ホームで負けるわけにはいかないブライトンは、当然のように反撃を開始します。

7分に左からパスを受けたエンケティアは、右足のシュートをアウトにかけてしまいました。ポゼッションはブライトン。アーセナルは全員が自陣に引いてカウンター狙いに徹しています。16分、右サイドを突破したのはランプティ。マイナスに折り返したボールをララナがトロサールに預け、11番が左足で叩くと、DFにヒットしたボールはファーポストの外を抜けていきました。

マルティネッリがボックス左でキープしたのは20分。ニアにいたウーデゴーアに預けると、2人にマークされた8番は、絶妙な股抜きのリターンをGKの前に送ります。ロベルト・サンチェスと1対1になったマルティネッリは、中央に入れたボールが味方に合わず、追加点はなりません。24分のCKから、こぼれ球を左足で叩いたトーマスは、左に逸れたボールを見て頭を抱えています。

25分にクロスのクリアをカットしたのはパスカル・グロス。ボックス右手前でパスを受けたトロサールのシュートは、ラムズデールが上に弾き出しました。単発のアタックはあるものの、引かされているアーセナルは、先制ゴールを決めたサカが消えています。

三笘、エストゥピニャン、ソリー・マーチ、ランプティが左右のサイドを制圧。38分にガナーズが仕掛けた右からのアタックは、ベン・ホワイトのクロスがブロックされてCKです。キッカーはサカ。クリアされたボールに走り込んだのはウーデゴーア。左足のダイレクトショットが通るコースはないように見えたのですが、DFの間を縫うようにして右のサイドネットに収まりました。

ブライトンサポーターにしてみれば、現実感がない0-2。プレミアリーグ首位チームの前半のポゼッションは33%です。後半が始まり、47分にアウェイチームがカウンター。サカ、ウーデゴーア、トーマス、マルティネッリと左につながり、ボックス左に入った11番はクロスかと思いきや、強引にシュートを放ちました。

ロベルト・サンチェスがファンブルしたボールをエンケティアがプッシュし、0-3。セーフティリードを築いたアーセナルは、相変わらず引いてクロスに対応しています。57分に左からウーデゴーアがFKを中央に上げると、ガブリエウのボレーはロベルト・サンチェスがセーブ。こぼれ球に走り込んだサリバのシュートは、右に外れました。

60分のベン・ホワイトを冨安健洋は、予定の交代でしょうか。左のジンチェンコも、ティアニーに後を譲っています。64分、冨安のパスを三笘がカット。中央にボールがまわり、パスカル・グロスに縦パスが出た瞬間、着いた冨安の裏で三笘が空きました。ラストパスを受けた日本代表FWのシュートが右隅に決まり、1-3。押しているホームチームが使える時間は、25分です。

しかし71分、ボックス左を突いたサルミエントのグラウンダーをトーマスがカットし、一瞬で世界が変わりました。左から持ち上がったジャカが中央のウーデゴーアに託すと、ラインの裏を狙った超絶スルーパスがマルティネッリへ。ランプティを振り切った11番がGKの足に当ててねじ込み、ギャップは再び3点になりました。

74分にトーマスが下がり、エルネニーが中盤に入っています。猛攻を仕掛けるブライトンが2点めを決めたのは78分、縦パスに対応したサリバが痛恨のトラップミス。奪ったファーガソンがラムズデールの股を抜き、希望をつなぎました。アルテタ監督は、87分にウーデゴーアをホールディングにスイッチし、逃げ切りを図っています。

89分のスローインからカットインし、素晴らしいシュートを右隅に突き刺した三笘は、VARでオフサイドを取られました。ひたすら攻めるブライトン。94分のファーガソンのシュートは、ラムズデールが左に反応してキャッチしました。最終ラインに枚数を揃えて守ったアーセナルが、2-4でフィニッシュ。2位マン・シティとの差を7ポイントに広げました。

凄い試合でした。まずはブライトンのアグレッシブなアタックを称えたいと思います。とりわけ0-3になってからの猛攻は脅威で、久々だった冨安は三笘とエストゥピニャンの仕掛けに苦しめられました。美しいゴールを決めた三笘がボールを持つと、サポーターのテンションが上がり、ガナーズの最終ラインはゴール前で掻き出すのが精一杯でした。

ガナーズの勝因は、決定機をすべてゴールにつなげたことでしょう。サカの冷静なハーフボレー、難易度が高いウーデゴーアのダイレクトショット。GKのファンブルを見逃さなかったエンケティア、1対1を強引に制したマルティネッリ。とりわけ凄かったのは、1ゴール1アシストでチャンスクリエイト3回のウーデゴーアです。

サカやマルティネッリが有利な態勢になった瞬間を見逃さないプレーメイカーによって、彼らがここぞというシーンで走り切るモチベーションが高まっているのだと思います。超絶スルーパスでマルティネッリが決めたシーンでは、オフサイドをケアしながらハーフラインの手前にいたサカが、8番が蹴った瞬間にスプリントを始めてゴール前に詰めていました。

エンケティアも2試合連続でゴールをゲット。ジェズスの不在を気にするグーナーは、今はいないでしょう。次節は、よりやっかいなニューカッスル。ヤングスターたちが絶好調の首位チームは、プレミアリーグ最少失点のダークホースを崩せるでしょうか。優勝争いに食い込みたいマンチェスター・ユナイテッドサポーターとしては、痛み分けがありがたいのですが…。