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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Brentford×Chelsea】痛恨のオウンゴール、またもノーゴール…5連敗のランパードはこのまま続行?

最初の失点は37分。左からのCKにニアのヨルゲンセンが触り、後ろにいたアスピリクエタの肩に当たったボールがゴールに飛び込んでしまいました。スタンフォード・ブリッジのビーズサポーターは、「Who Are Ya?」の大合唱。レジェンドの就任以降、4試合で1ゴールのチームにとっては重いビハインドです。

プレミアリーグ33節、チェルシーVSブレントフォード。20分までシュートを打てなかったホームチームは、カンテのミドルをきっかけに、チャンスを創れるようになっていました。23分、カンテの右からのクロスに合わせたチアゴ・シウヴァのヘッドは、GKラヤの正面。ボックス右でカンテ、フォファナ、カンテとつながった31分のアタックは、落としを叩いたエンソ・フェルナンデスのシュートをラヤが上に弾き出しました。

33分に右サイドでキープしたスターリングは、左足に持ち替えて放ったミドルが左にアウト。ランパード監督が来てから、5試合中4試合で先発のイングランド代表FWは、笑顔でプレイしています。決定機は創れていなかったものの、勝てる展開だと思ったのですが…。ブレントフォードは、先制するまでシュートを1本しか打っておらず、前半をオンターゲットゼロで終えています。

エヴァートン時代から通算すると、直近の18試合は1勝2分15敗で、CL準々決勝セカンドレグのレアル・マドリード戦までで8連敗。何としても勝ちたかったランパード監督は、ハーフタイムにアスピリクエタとコナー・ギャラガ―を諦め、オーバメヤンとムドリクを投入しました。

ポッター監督の下でプレミアリーグ12戦ノーゴールだったオーバメヤンは、ラストパスが出るエリアを先読みし、何度も惜しいシーンを創っています。55分に左からのクロスをファーのスターリングが頭で折り返すと、ラヤと競ったヘッドは枠にいかず。コヴァチッチのスルーパスで左から抜けた61分の決定機は、ラストタッチが足元に入ってしまい、強く打てませんでした。

ブレントフォードが最初のオンターゲットを放ったのは78分。右からドリブルで上がったエンベウモが切り返しでフォファナをかわすと、左足のシュートはチアゴ・シウヴァの足でコースが変わり、ニアポストの内側を抜けていきました。0-2になった瞬間、警備員が一斉にスタンドの前に並び、パブで1杯引っかけるであろうサポーターが続々と出口に向かっています。

今のチェルシーにとって、2点は致命的なギャップです。最後までゴールを決められず、フランク・ランパードは5連敗。彼の最大の失敗は、ウルヴスとの緒戦で戦い方を間違えたことでしょう。

企業の人事異動もフットボールも、新任のマネージャーが手っ取り早く組織を束ねたければ、「前任者否定」が効果的です。マンチェスター・ユナイテッドでモウリーニョの後を継いだスールシャールは、「前の指揮官と確執があった選手のモチベート」「クラブOBだからできる名門のプライド訴求」「規律に厳しかった前任者と打って変わった自由なスタイル」といった打ち出しで、解任ブーストを起こしました

ランパード解任後のトゥヘルも、前任者が起用しなかったリュディガー、マルコス・アロンソ、ケパらにチャンスを与え、フェアな競争環境があることを理解させてチームを活性化しています。前任者否定をうまくやる鉄則は、「いいところは変えず、現場が不満に思っていたことを変える」「くすぶっていた人材を引き上げる」ことです。

ところが今回のランパードは、ウルヴス戦で4-3-3にフォーメーションを変更しました。ただし、ポッター時代とメンバーは変えず。うまくいっていた最終ラインの枚数と戦い方を変え、選手はほとんどそのままだったため、現場は混乱し、控え選手をモチベートできず、しかも敗れるという最悪のスタートを切ってしまいました。

次の試合で3-5-2に変えたのですが…。2戦めは、いわば「本番」のレアル・マドリード戦。2試合連続でフォーメーションを変えたチームは、チルウェルのレッドカードもあり、2-0で完敗しました。シーズン終わりまでの短期で引き受けた監督は、布陣をいじらず、調子のいい選手を抜擢するなどモチベートに徹すれば、ここまで苦しまなくても済んだのではないでしょうか。

ブレントフォード戦の完敗で、TOP4フィニッシュの可能性がゼロになりました。5連敗という泥沼にはまった指揮官とクラブは、双方ともに関係を継続するメリットがないように見えます。渦中の栗を拾ってくれた労をねぎらいつつ、静かに袂を分かつというわけにはいかないのでしょうか。アーセナル、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、ニューカッスル…残り試合も厳しい組み合わせばかりです。


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