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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Ipswich×Liverpool】退屈な前半、熱狂の後半…勝負を決めたモー・サラーのトラップに絶句!

イプスウィッチの本拠地ポートマン・ロードに登場した11人は、昨季と変わらない顔ぶれですが、レッズサポーターのみなさんは新たな気持ちでこの日を迎えているのでしょう。私はといえば、オフシーズンに入ってからアルネ・スロットという名前を連呼してきたのに、「ユルゲン・クロップのいないプレミアリーグ」に慣れるまで、もうしばらく時間がかかるのかもしれません。

GKアリソン、DFアーノルド、クアンサー、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤センターにフラーフェンベルフとマック・アリスター、2列めにサラー、ショボスライ、ルイス・ディアス、最前線にジョッタ。キックオフから執拗にプレスを仕掛けていたイプスウィッチは、2分に最初のチャンスを迎えました。

ファン・ダイクのフィードをボックス手前でカットしたチャップリンは、右からのシュートをブロックされました。後方からの縦パスを狙われているリヴァプールは、10分を過ぎてもシュートチャンスはなく、プレミアリーグ昇格クラブのサイドアタックと速攻が目立っています。最初のシュートとなった16分のショボスライのミドルは、ルアンゴにブロックされました。

20分、右からのFKをゴール前に浮かしたのはモーシー。グリーヴスの打点の高いヘッダーは、アリソンの正面にいってしまいました。プレスで縦のコースを切られるレッズに対して、ハッチンソン、モーシー、ルアンゴが動いてプレスをかいくぐるイプスウィッチのほうが、前を向いて攻める形を創れています。

31分のCKで、ショボスライのシュートを足に当てたハッチンソンは、すかさずラインの裏に走ってカウンター発動。アーノルドとフラーフェンベルフをかわして放った左足シュートは、アリソンが左に反応してキャッチしました。37分には、ジョッタのドリブルを止めたモーシーのバックパスがルイス・ディアスの前に出ますが、GKウォルトンが鋭い飛び出しで先着しました。

45分に左サイドでキープしたロバートソンから、フラーフェンベルフ、ショボスライ、マック・アリスター、ルイス・デイアス、サラーとショートパスが右につながると、落としに走り込んだアーノルドのミドルはバーの上。前半のレッズのシュートがゴールに向かったのは、このシーンだけでした。

シュート数は4対3、オンターゲットは2対0。ハーフタイムを告げる笛が鳴った瞬間、イプスウィッチのサポーターは盛大な拍手で選手たちを称えました。前途多難の4-2-3-1。後方のビルドアップも前からのプレスも、機能しているとはいえません。後半頭から、クアンサーに代わってコナテ。スロット監督は、デュエルで劣勢だったチームを変えたかったようです。

47分のCKをウォルトンがパンチして混戦となり、サラーが左隅を狙うと、グリーヴスが足を伸ばしてクリア。1分後、左からカットインしたルイス・ディアスのシュートは、右に逸れていきました。明らかにペースアップしたレッズの最大の変化は、中盤の組み立てのなかでアーノルドが機能するようになったことです。

ロバートソンの縦パスでルイス・ディアスが左から抜けた58分のチャンスは、グラウンダーをもらったショボスライのダイレクトショットをグリーヴスがカットし、こぼれ球に走り込んだマック・アリスターのコントロールショットはウールフェンデンがクリア。二次攻撃からアーノルドのクロスがジョッタの頭に届きますが、決定的なヘッドは左に外れてしまいました。

しかし2分後、右サイドのアーノルドから、ラインを切り裂くロングスルーパスがサラーへ。フリーで上がったエースが中央のジョッタに完璧なラストパスを転がし、左足のフィニッシュがネットを揺らしました。先制した後もサイドを制圧し続けたリヴァプールは、65分に勝負を決める追加点をゲットしました。

ファン・ダイクが右サイドのリーフ・デイヴィスの裏に出したロングフィードが素晴らしかったのですが、当たり前のように足元に収めたサラーのトラップに震えました。ショボスライに預けて裏に抜けると、リターンがリーフ・デイヴィスの足に当たったのを見逃さず、GKの前に出てプッシュ。すべてのアクションがパーフェクトという月並みな言葉しか浮かびません。

71分には、フラーフェンベルフの楔のボールを受けたジョッタがショボスライに預け、中央にまわっていたサラーにスルーパス。0-3かと思いきや、左足のシュートはGKの正面でした。ルイス・ディアスとサラーがポジションを上げ、フラーフェンベルフとアーノルドがフリーでもらえるエリアに動くようになったことで、前線へのボールの精度が格段に上がりました。

77分にアーノルドが下がってブラッドリー、79分にはジョッタとロバートソンをガクポとツィミカス。勝負は見えたので、次に向けて準備しますと宣言するような交代策です。88分にショボスライが仕掛けたカウンターは、左を並走したルイス・ディアスのシュートがウールフェンデンにヒット。イプスウィッチは、レッズの左サイドを止められなくなっています

92分にガクポのクロスに走り込んだルイス・ディアスは、ラストタッチをグリーヴスにカットされてCK。ガクポとのワンツーでツィミカスが抜け出した93分の決定機は、ガクポのクロスのクリアを叩いたサラーのボレーをGKにセーブされ、こぼれ球をミートしたブラッドリーの一撃もブロックされました。0-2の一戦は、前半を忘れて「レッズ圧勝」といっても違和感はないでしょう。

モー・サラーの開幕戦9発と、ゴール&アシスト14はプレミアリーグレコード。退屈だった前半のチームを後半に活性化したスロット監督にとっては、手応えを感じられる船出だったのではないでしょうか。マージーサイドの経営ボードが得た最大の教訓は、サラー、ファン・ダイク、アーノルドとは一刻も早く契約延長すべしということです。

前半はレッズを圧倒したキーラン・マッケンナのチームも、収穫が多い一戦といえるでしょう。鋭いドリブルで守備陣を翻弄したハッチンソン、デュエルの強さを見せたルアンゴ&モーシーは、今後に期待できそうです。しかし次節はマンチェスター・シティ。0-0で終盤まで引っ張り、カウンター1発で逃げ切る以外に勝つ展開はなさそうですが…。

リヴァプールの2戦めは、アンフィールドでブレントフォード。ベンチにいた遠藤航に出番はあるのか、いなかったジョー・ゴメスは退団となるのか。未だ補強ゼロのクラブは、中盤と最終ラインの強化を進めるのではないかと思われます。引き続き、アルネ・スロットの采配とリチャード・ヒューズSDの巻き返し策に注目しましょう。(ディオゴ・ジョッタ 写真著作者/Tonispin)


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