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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【West Ham×MAN.CITY】わずかなミスからハーランドに3発喰らったウェストハムの逆襲に期待!

ウェストハムの選手たちにとっては、ショッキングな一戦だったのではないでしょうか。本拠地ロンドンスタジアムでマンチェスター・シティに許した3ゴール…いや、ハーランドの凄さを見せつけられた3発は、あまりにも鋭利な刃物で斬られたため、痛みを感じられないような失点ばかりでした。激痛だったのは、10分に喫した最初の失点です。

キックオフからの5分は、完全なるハマーズペース。慎重に立ち上がった昨季プレミアリーグ王者は、ホームチームのプレスを嫌がり、サイドで主導権を明け渡しています。1分のマイケル・アントニオのクロスは、リコ・ルイスが必死にクリア。直後、左サイドのクドゥスが上げたクロスは、リコ・ルイスの足に当たってゴール前に落下しました。

マイケル・アントニオを体で押さえていたグヴァルディオルが、処理を誤れば決定機になっていたはずです。何とかクリアしたボールが左に流れると、ギド・ロドリゲスがデブライネから奪取し、ニアにグラウンダー。これも跳ね返されると、ワン=ビサカがキープし、ビルドアップからサイドアタックを仕掛けるタイミングを窺います。

アーロン・ワン=ビサカは、マンチェスター・ユナイテッドでプレイしていたときとは別人で、3分にはボックス手前まで上がっていました。コヴァチッチから奪ったボールを右のボーウェンに預けると、左足で巻いたミドルはエデルソンがパンチ。戦況を見守るフレン・ロペテギ監督は、手応えを感じていたはずです。

マン・シティのエンジン音が一段上がったのは5分過ぎから。ボックス左に流れたデブライネにグリーリッシュが縦パスを通すと、そこからはアカンジ、ルベン・ディアス、グヴァルディオルの3枚がハイラインをキープするようになりました。グリーリッシュが左から仕掛け、外からフォローしたベルナルド・シウヴァがファーに浮かしたのは6分。ハーランドのヘッドは枠の上です。

9分には、何度も左からドリブルでチャレンジしていたグリーリッシュが、左足アウトで中央にラストパス。ボックスの入り口にいたデブライネのシュートは、マヴロパノスが冷静にブロックしています。ホームサポーターを震撼させたゴールシーンは、CKを競ったグヴァルディオルのヘッドがゴールラインを割った直後でした。

右からのサイドチェンジを胸で落としたのは、ハーフライン手前に下りてきたマイケル・アントニオ。落としを受けたルーカス・パケタが左サイドのエメルソンに預け、リターンをもらうまでは何でもないシーンでした。左足で止めようとしたルーカス・パケタのトラップが流れたのは一瞬だったのですが、ベルナルド・シウヴァが奪うと同時に彼は走り出していました

アーリング・ブラウト・ハーランドのスプリントは、初動の速さもコースもパーフェクト。キルマンとマヴロパノスの間は、ベルナルド・シウヴァがパスを出しやすく、簡単にフリーになれるスペースでした。直前まで9番をケアしていたマヴロパノスが気づいて追いつく前に、ラストタッチを前方に流したストライカーは、悠々と左のサイドネットに収めました。

ダメージが大きい失点ではあったものの、ハマーズは19分に幸運なゴールでイーブンに戻しています。右から仕掛けたボーウェンが縦に持って速いグラウンダーを入れると、ルベン・ディアスにヒットしたボールがエデルソンの脇を抜いてオウンゴール。ここから立て直せば、チャンスを得られたのかもしれませんが、30分の失点で再びビハインドを背負ってしまいました。

左からドリブルでボックスに入ったグリーリッシュが中央に預けると、ベルナルド・シウヴァがコヴァチッチに落とし、リコ・ルイス、ハーランドと右に展開します。ストライカーの強烈な一撃は、ニアに打たせたエメルソンの責任というべきか。外でトラップされた瞬間にマーカーの重心が左に移るのは普通で、止めてから打つまでが速すぎると得点者を称えるべきか…

何とか前半を1-2で終えたハマーズは、いいハーフタイムを過ごしたのではないでしょうか。後半の立ち上がりは、クドゥス、マイケル・アントニオ、ボーウェンがプレスの位置を高め、押し込まれても前に出てカットする姿勢を見せています。最大のハイライトは52分。カウンターを仕掛けたのは、その前から奪ったボールを何とかつなごうとしていたクドゥスでした。

自陣でデブライネとジェレミー・ドクを抜き去り、ハーフラインを越えた瞬間は2対1。その後3対3となったカウンターで、右のボーウェンからリターンをもらったクドゥスは、左からエデルソンの前に躍り出ました。GKの肩越しを狙ってニアポスト際に打つのはセオリーのひとつ。しかしボールは左のポストを叩き、倒れ込んだ14番は頭を抱えています。

これで元気になったハマーズは、4-5-1の3本のラインの幅を狭め、カットしたボールをつなげるようになりました。後半の8本のシュートのうち、半分はこの時間帯に集中しています。マン・ユナイテッド時代より積極性が増したワン=ビサカは、あらためていいSBだなと思いました。彼らに足りなかったのは、クロスの精度だけでした。

58分にボーウェンのグラウンダーをニアで受けたマイケル・アントニオは、アカンジにコースを消されました。ポゼッションを取り戻そうとしているマン・シティは、追加点をゲットすれば冷静にゲームを畳めるはずです。64分、グリーリッシュのパスに左足で合わせたベルナルド・シウヴァのダイレクトショットは、後半からアレオラと代わったファビアンスキがセーブしました。

ハマーズの野望が打ち砕かれたのは83分。失点の要因をひとことで表現すると、「マテウス・ヌネスがドリブルでハーフラインを越えた瞬間、キルマンが前に1歩踏み出してしまった」。直前までオフサイドポジションにいたハーランドが、スルーパスのタイミングお見極めてオンサイドに戻り、入れ替わって裏に抜け出しました。左足のループシュートに、GKはノーチャンスです。

結局、ハーランド。イプスウィッチ戦に続く2試合連続のハットトリックで、プレミアリーグにおける戦績は69試合70ゴールとなっています。ハマーズの守備陣はコンマ数秒、50センチほどのミスの積み重ねが3失点という致命的な数字になってしまいました。「BBC」のガリー・ローズ記者は、彼がこのペースで決め続ければ、89ゴールでシーズンを終えるといっていますが…。

デヴィッド・モイーズからフレン・ロペテギにスイッチし、ギド・ロドリゲスやキルマン、ワン=ビサカ、トディボ、サマーヴィル、フェルクルクらが加わったばかりのウェストハムは、発展途上のチームです。この段階で、継続性が高いプレミアリーグ王者に敗れたことは気にしなくていいでしょう。プレスからのサイドアタックやカウンターなど、収穫もあった一戦でした。

次節からフラム、チェルシー、ブレントフォードとロンドンダービー3連発。気持ちを切り替え、新たなスタイルを構築していただければと思います。新戦力がフィットし、ボーウェン、クドゥス、マイケル・アントニオ、ルーカス・パケタが本領を発揮できるようになれば、ビッグ6を脅か存在になるはずです。ウナイ・エメリの背中を追うロペテギ監督のチーム作りに注目しましょう。


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