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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Bournemouth×Chelsea】3人に囲まれたエンクンク、チームを救った驚愕のスリータッチ!

0-0の86分、ハーフラインの手前にいたコルウィルのパスが、左サイドのジェイドン・サンチョへ。アラウホを抜きにいく素振りを見せたウインガーは、すぐに断念し、ボックスの左手前にいたエンクンクの足元に転がしました。戻ってきたアレックス・スコットが体を寄せようとし、前にはザバルニーとセネシがいます。

右にいたジョアン・フェリックスに出すか、後ろで呼んでいるククレジャに戻すか、それとも強引に打って紛れを起こすか。三択と思われたシーンで、エンクンクは4つめの解を導き出しました。アレックス・スコットがカットできないように、右足でブロックしながら腕で押さえ、2人のCBの間…両者とも触れない唯一のコースにボールを転がします。

体で弾き飛ばそうとしたセンシの横をすり抜け、ザバルニーは背中と左腕で外に押し出し、右足インサイドのラストタッチは右のサイドネットへ。危ないとみて走り寄ったルイス・クックのスライディングは間に合わず、GKのトラヴァースはノーチャンスでした。7分前に入ったばかりだったストライカーは、絶対決めるという強い意志をもって前線に張っていたようです。

フツーの選手は、プレイする時間が15分もない状況で、ストッキングに風船を仕込んだりしないでしょう。自らを指差しながら、熱狂するアウェイサポーターに駆け寄った18番は、チームメイトが自陣に戻った後、ブルーの風船を膨らませて両手を広げました。スタンドに投げ込まず、ストッキングにしまったのは、追加タイムにもう1度使おうと思ったからでしょうか。

劣勢だったチェルシーを救った脅威の3人抜きと、冷静なフィニッシュ。ハーフタイムにペドロ・ネトと代わって登場し、左サイドを活性化したサンチョがマン・オブ・ザ・マッチだそうですが、とにかくエンクンクを称えたい一戦です。そしてもうひとり、弱小高校のサッカー部でゴールマウスに立っていた者としては、ロベルト・サンチェスにも盛大な拍手を送りたくなります。

はっきりいいましょう。ボーンマスの勝ち試合でした。開始4分、左から上がったタヴァーニアの強烈なミドルがバーにヒット。8分にフォファナがクライファートに奪われ、左に流れたボールをタヴァーニアが中央に浮かすと、エヴァニウソンのヘッドは右に逸れていきます。積極的に遠めから打ってくるボーンマス。チェルシーはウインガーが引いており、打てる形を創れません。

ロベルト・サンチェスの最初のビッグセーブは23分。タヴァーニアのアーリークロスをエヴァニウソンがゴール左に落とすと、ニアを狙ったクライファートのボレーを外に弾き出しました。チェルシーの前線と中盤は運動量が足りず、ペドロ・ネトとノニ・マドゥエケはハーフライン付近まで下がってパスをさばいています。

34分にコルウィルの縦パスを受け、左足で打ったニコラス・ジャクソンのシュートは、前半唯一のオンターゲット。絶体絶命のピンチは36分、フォファナのバックパスをさらったエヴァニウソンがロベルト・サンチェスと絡んで転倒すると、やはりジャッジはPKです。自ら蹴った9番のキックは右隅。ぎりぎりまで見て飛んだセービングは、素晴らしいのひとことです。

前半の決定機を活かせなかったボーンマスは、52分のチャンスも阻まれてしまいました。左サイドを突破したタヴァーニアが切り返しでカイセドをかわし、体勢を崩しながら放ったシュートも守護神がセーブ。セメンヨの折り返しがククレジャに当たり、走り込んだクリスティが左隅に流し込もうとした59分のアタックも、ボールはポストを叩いて外に転がっていきました。

後半頭からサンチョを投入したマレスカ監督が、61分にディサシとノニ・マドゥエケを下げ、ジョアン・フェリックスとアダラビオヨを入れると、ペースはチェルシーに傾いていきました。それでも集中力が高かった守備陣は、ジョアン・フェリックスとコール・パルマ―を封じていたのですが…。最終盤に、あまりにも完璧だったエンクンクのスリータッチに屈してしまいました。

シュート数は19対10、オンターゲットは7対3。残り30分まで押していたホームチームが先制していれば、チェルシーは引っくり返せなかったでしょう。主導権を握っていたリヴァプールは、カウンターに屈して痛恨の0-1。苦しい展開が続いていたチェルシーは、ワンチャンスを活かして貴重な0-1。フットボールは、プレミアリーグは何が起こるかわかりません。


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