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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.UTD×Tottenham】またもホームで惨敗…「BBC」の記者が「テン・ハフの終わり」とレポート!

クリスタル・パレスとトゥエンテに連続ドローと停滞中のマンチェスター・ユナイテッドに対して、ELのカラバフ戦を3-0で快勝したトッテナム。直近の戦績を見ると、オールド・トラフォードのプレミアリーグ6節は、アウェイチームが優勢に見えます。テン・ハフ監督のチームは、自陣に引いて耐える時間が長くなりそうです。

さっそく、両チームの先発メンバーを紹介しましょう。マン・ユナイテッドは、現状のベストといっていいでしょう。GKオナナ、DFマズラウィ、デ・リフト、リサンドロ・マルティネス、ダロト。中盤センターはメイヌーとエリクセン、2列めはガルナチョ、ブルーノ・フェルナンデス、ラシュフォード、最前線はザークツィーの4-2-3-1です。

対するスパーズは、ソン・フンミンを欠いています。GKヴィカーリオ、DFペドロ・ポロ、ロメロ、ファン・デ・フェン、ウドジェ、MFベンタンクール、ジェームズ・マディソン、クルゼフスキ、FWブレナン・ジョンソン、ソランケ、ヴェルナー。ポステコグルー監督は、イヴ・ビスマとパペ・マタル・サールがベンチの攻撃的な布陣で、アドバンテージを得ようとしています。

キックオフから、ポゼッションはトッテナム。マンチェスター・ユナイテッドは、ボールを奪った後のミスが多く、波状攻撃に耐える時間が続いています。3分のカウンターは、右に持ち出そうとしたラシュフォードのタッチが長く、ファン・デ・フェンに奪われてしまいました。快足のCBはドリブルで上がり、マズラウィとデ・リフトの間を縫ってボックス左を突破しました。

高速のグラウンダーを押し込んだのは、ファーでダロトをちぎってフリーになったブレナン・ジョンソン。見事なカウンター返しを喰らったホームチームは、攻めなければなりません。ボックス手前のマズラウィのパスをジェームズ・マディソンがカットした6分のチャンスは、ソランケが打つ瞬間にリサンドロ・マルティネスが足を出し、追加点を阻んでいます。

スパーズの厳しいプレスに余裕を失ったマン・ユナイテッドは、自陣でのパスミスが止まりません。10分にオナナの素晴らしいフィードで左から抜けたラシュフォードは、左足のシュートをニアに外しています。ゴールの左に出したクルゼフスキの絶妙なヒールパスで、ジェームズ・マディソンがオナナと1対1になったのは11分。左足のフィニッシュは、GKの肩にヒットしました。

12分には、クルゼフスキのパスを左でもらったウドジェのシュートが、オナナの頭上を越えていきます。ザークツィーがバイタルエリアまで下がってクリアしているようでは、波状攻撃を受けるのもやむなしでしょう。ブルーノのロングフィードが、左サイドのラシュフォードに通ったのは15分。アーリークロスは、ヴィカーリオが難なく懐に収めています。

20分には、左サイドをスプリントしたウドジェからクルゼフスキ、ブレナン・ジョンソンと右につながり、22番の鋭い一撃が左のポストにヒット。対峙したダロトは、ファーのコースを切らなければなりません。22分にガルナチョが内側から上がったメイヌーにつなぎ、ボックス右から折り返しが入りますが、ザークツィーの左足のタッチは守護神がぎりぎりでセーブしました。

30分のジェームズ・マディソンのミドルは、オナナがキャッチ。前線で3人がプレスをかけているのに、最終ラインがあれだけ下がっていては、中盤に広大なスペースが空くのは当然です。33分、スパーズの左からのCKが逆サイドに流れ、ペドロ・ポロが中央に浮かすと、ロメロのバイシクルは右ポストすれすれを抜けていきました。

ラシュフォードのクロスがファーに上がったのは37分、待ち構えていたガルナチョの右足ボレーはニアポストを直撃。2分後、クルゼフスキのパスでハーフラインから独走したヴェルナーは、オナナとの1対1で左隅を狙ってカットされました。42分、ジェームズ・マディソンを止めようとしたブルーノはスリップし、右足のスパイクの裏が脛に入ってしまいました。

レフェリーのジャッジは1発レッド。スリップはアクシデントだとしても、足を高く上げたのは軽率でした。テン・ハフ監督は足を痛めていたメイヌーを下げ、メイソン・マウントを投入。劣勢だったチームは10人になり、ゴール前に引いて耐えるのでしょうか。スパーズの追加点が決まったら、大量失点を覚悟しなければなりません。

前半のポゼッションは37対63、シュートは3対12…!テン・ハフ監督はハーフタイムにザークツィーを下げ、カゼミーロを投入しています。リードを得たポステコグルー監督も、足を痛めたウドジェに代えてジェド・スペンス。マン・ユナイテッドが攻めていた47分、右サイドから抜け出したのはブレナン・ジョンソンです。

ラストパスはデ・リフトに当たって浮き上がり、ニアでフリーだったクルゼフスキのジャンピングボレーがゴール左に決まりました。絶望的な0-2。ゲームの興味は勝負ではなく、スパーズのゴール数です。ジェームズ・マディソンの絶品スルーパスで、ヴェルナーがオナナと1対1になったのは56分。シュートを左手で止めたGKは、詰めたソランケのコースも腕でブロックしました。

60分過ぎから攻め続けたマン・ユナイテッド。63分のCKにカゼミーロが合わせたヘッドは、右に逸れていきました。69分、リサンドロ・マルティネスがボックス右に浮かすと、走り込んだカゼミーロのボレーはゴール前を横切り、ファーポストの外に流れていきます。テン・ハフ監督は、73分にラシュフォードとウガルテを下げ、エリクセンとホイルンドを送り出しました。

ポチェッティーノ監督の77分の3枚代えは、勝利宣言のようです。ジェームズ・マディソン、ヴェルナー、ブレナン・ジョンソンが下がり、ムーア、ベリヴァル、パペ・マタル・サール。直後、ベリヴァルが左から蹴ったCKをニアのパペ・マタル・サールが頭で後ろに逸らすと、ソランケがスライディングでゴールに流し込みました。

81分にヘディングで競ったメイソン・マウントが後頭部を押さえて倒れてしまい、大事をとってアマド・ディアロにチェンジ。リヴァプールにホームで0-3で敗れたチームは、スパーズにも同じスコアで完敗です。シュート数は11対24、オンターゲット2対10、ビッグチャンス0対9というスタッツを突き付けられれば、10人になったからという言い訳は呑み込むしかありません。

This felt like the end for Ten Hag – if not now, very soon(これはテン・ハフの終わりを意味する。今じゃなくても、もうすぐだ)」。ついに「BBC」のフィル・マクナルティ記者が、指揮官の解任について記事にしました。「在任中のどの試合より、無秩序、無能、規律のないパフォーマンス」。オナナが1対1を4つ止めても3失点の惨敗を伝える表現は、辛辣です。

「テン・ハフは、ハーフタイムの3分前にキャプテンのブルーノ・フェルナンデスに提示されたレッドカードが試合の流れを変えたと主張している。 そんなことはない。 もしそう信じているなら、ユナイテッドの監督は自身を欺いているだけだ。あのカードはユナイテッドの仕事を困難にしたが、フェルナンデスが退場になる前からスパーズは暴れまわり、脅威となっていた」

クルゼフスキのチャンスメイク9回は、スタッツの測定が始まった2003-04シーズン以降、オールド・トラフォードでのプレミアリーグでアウェーチームの選手が作ったレコード。指揮官のなかに、彼を止めるアイデアはなかったのでしょう。6節を終えて7ポイントは過去最少で、6戦5ゴールを下回ったのは2007-08シーズンの4ゴールのみです。

この試合のピッチにいなかった新戦力は、18歳のレニー・ヨロだけでした。打ち手が尽きたように見えるエリック・テン・ハフは、ヨーロッパリーグのポルト戦と次節のアストン・ヴィラ戦に巻き返しプランを用意できるのでしょうか。スパーズとのクオリティの差は歴然としており、「選手にも責任がある」といった言葉で曖昧にできるものではなかったと思います。


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