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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Liverpool×Chelsea】主役は伏兵カーティス・ジョーンズ!堅守速攻のレッズが2-1で首位キープ!

ユルゲン・クロップがリヴァプールに来てから、最初の6シーズンは6勝4分4敗。ラファエル・ベニテスの時代に、チャンピオンズリーグのノックアウトラウンドで4回もぶつかったチェルシーとのバトルは、激戦という言葉がぴったりでした。潮目が変わったのは、2021年3月にアンフィールドの無観客試合でトゥヘルが0-1で勝ってからです。

2021-22シーズン以降、リヴァプールはチェルシーに9試合連続無敗。こう書くと、トゥヘルからポッター、ランパード、ポチェッティーノと目まぐるしく監督が代わったチームが、惨敗を繰り返しているように感じるかもしれません。しかし実際は4勝5分と接戦ばかりで、3勝はウェンブリー開催のFAカップとカラバオカップのファイナルです。

2021-22シーズンは0-0からのPK戦が2回で、昨季のカラバオカップは延長戦の終了間際にファン・ダイクが決めて1-0。プレミアリーグは、2024年1月のアンフィールドの4-1以外はすべてドローです。アルネ・スロットとエンツォ・マレスカの新時代は、これまでの流れが続くのか、チェルシーの逆襲が始まるのか。まずはアンフィールドのピッチに立つ22人を確認しましょう。

首位に立つリヴァプールは、アリソンが負傷欠場で、ルイス・ディアスとマック・アリスターはベンチスタート。GKケレハー、DFアーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ロバートソン、MFフラーフェンベルフ、ショボスライ、カーティス・ジョーンズ、フロントスリーにサラー、ジョッタ、ガクポという布陣です。

対するチェルシーは、フォファナとククレジャがサスペンデッド。右サイドにリース・ジェームズが戻ってきています。GKロベルト・サンチェス、DFリース・ジェームズ、アダラビオヨ、コルウィル、マロ・グスト。2センターはカイセドとラヴィア、2列めはノニ・マドゥエケ、コール・パルマー、ジェイドン・サンチョ、最前線にニコラス・ジャクソンの4-2-3-1です。

最注目ポイントは、今季プレミアリーグで最少失点のリヴァプールの堅陣と、破壊力が格段に高まったチェルシーの攻撃陣の激突でしょう。開始早々からレッズは激しいプレスを続け、青いシャツはサイドに活路を見出そうとしています。ジョッタが仕掛けた4分の速攻は、ボックス右手前でもらったサラーのラストパスが通りませんでした。

6分にサンチョがドリブルをカットされると、自陣ボックスまで引いていたサラーが最前線にロングフィード。ジョッタをつかんで倒したアダラビオヨは、昨日のサリバより露骨でしたが、イエローで済んだのは脇にコルウィルがいたからでしょうか。カイセドとラヴィアを包むように4人が動くレッズのプレスに対して、チェルシーはウインガーに長いボールを入れて対抗しています。

13分、ノニ・マドゥエケがロバートソンをかわしてゴールライン際を進み、ニアのカイセドに預けると、中央に浮かしたボールは味方に合わず。19分にバックパスを受けたロベルト・サンチェスが、詰めたガクポにキックをカットされるも、浮いたボールをキャッチして事なきを得ています。チェルシーが決定機をつかんだのは25分。仕掛け人はノニ・マドゥエケです。

ロバートソンをかわしたウインガーがグラウンダーを入れると、カーティス・ジョーンズがスライディングでタッチしたボールがコール・パルマーの足元へ。20番はうまくミートできず、クリアを拾ったカイセドのクロスはファン・ダイクがヘッドで外に出しました。ここからカウンターを仕掛けたサラーは、コルウィルに2回足を引っかけられますが、笛は鳴りませんでした。

サラーが再度、カットインしたのは26分。左足のシュートはコルウィルに当たってこぼれ、クリアしようとしたCBはカーティス・ジョーンズを蹴ってしまいました。今度はPK、キッカーはもちろんサラー。ロベルト・サンチェスの逆を突いたキックが、右に決まりました。序盤のトシンとの接触で肋骨を痛めたのか、ジョッタはここでダルウィン・ヌニェスに後を譲っています

33分、カイセドの鋭い縦のフィードが、右に流れたニコラス・ジャクソンへ。ニアを狙ったシュートは浮いてしまいました。左からガクポがスプリントした37分のカウンターは、ボックス右でラストパスを受けたショボスライが体勢を崩し、シュートはロベルト・サンチェスの正面です。追加タイム1分、サラーのパスを中央で受けたダルウィン・ヌニェスのスルーパスが絶妙でした。

最前線にいたのはカーティス・ジョーンズ。アダラビオヨを体で押さえながらGKの前に出たMFは、先に触られてしまいました。PKと守護神へのイエローは、オンフィールドレビューで取り消し。ハーフタイムは1-0、ポゼッションは45%対55%、シュート数は3対3、オンターゲットは2対0で、次のゴールが勝負の分かれ目となりそうです。

逆転をめざすマレスカ監督は、サンチョに代えてペドロ・ネトを投入。立ち上がりから攻めているのはチェルシーです。48分、カイセドの縦のスルーパスで抜け出したニコラス・ジャクソンが、ケレハーの脇を抜いて右隅に決めると、即座にオフサイドを示す笛が鳴りました。しかしVARは、コナテの左足が残っているのを映し出しています。ジャッジは覆り、1-1のイーブンです。

すぐさま攻めに転じたリヴァプールは、3分で勝ち越しゴールをゲットします。右サイドでキープしたサラーは、カーティス・ジョーンズの飛び出しをよく見ていました。クロスが上がり、ラインと入れ替わったMFは、巧みなトラップから右足アウトでGKをかわしました。またも劣勢となったマレスカ監督は、53分という早い時間に3枚代えを敢行しています。

リース・ジェームズ、アダラビオヨ、ラヴィアが下がり、レナト・ヴェイガ、バディアシル、エンソ・フェルナンデス。60分にサラーのサイドチェンジを受けたガクポは、右足のコントロールショットを打ち上げてしまいました。62分、左からファーに浮かしたのはペドロ・ネト。ノニ・マドゥエケの右足ボレーはケレハーの正面です。

64分のコール・パルマーのFKは、壁にヒット。ここでガクポに代わって左サイドに入ったのは、好調のルイス・ディアスです。71分、中央に斬り込んでマークを集めたペドロ・ネトが右脇のコール・パルマーに流すと、打つのが遅れた20番のシュートはショボスライがブロック。73分にショボスライのミスパスを拾ったペドロ・ネトが右足で放ったミドルは、左に切れていきました。

76分、ノニ・マドゥエケが下がってエンクンク。80分のルイス・ディアスのミドルは、ロベルト・サンチェスが難なくキャッチしています。殊勲のカーティス・ジョーンズは、81分に拍手を浴びながらマック・アリスターとチェンジ。サンチョとペドロ・ネトにしっかり対応していたアーノルドも、ジョー・ゴメスに後を託しています。

追加タイムは7分。93分にコール・パルマーのFKを叩いたレナト・ヴェイガのヘッダーは、クロスバーを越えていきました。96分、2人をかわしたルイス・ディアスのシュートは右にアウト。中盤の素早いチェックで相手のプレイを遅らせ、決定的なパスを出させなかったリヴァプールがリードを守り切りました。

リヴァプールの守備の徹底度が目を引いた一戦。アーノルド、ロバートソン、フラーフェンベルフは上がらず、コール・パルマ―へのパスコースを消し、ウインガーにドリブルは許してもクロスのコースをカットし続けました。中央から侵入してくる選手は前線とインサイドMFが体を張って押さえ込み、ボックスの手前まで辿り着いてもアンカーとCBがつぶしました。

ミスといえるのは、カイセドをフリーにして、ニコラス・ジャクソンに裏を取られたゴールシーンのみ。これ以外のオンターゲットは、ノニ・マドゥエケのボレーだけです。攻撃は人数をかけず、クロップの頃から強力な武器だった長短のカウンターがメイン。サラーへのチェックが甘くなった時間帯に2発をゲットし、逃げ切りました。

マン・シティには0-2の完敗だったマレスカ監督は、首位との接戦で手応えを得たのではないでしょうか。チームの課題は明確で、自陣でのボールロストと2列めからの飛び出しのケアを徹底すれば、ハイレベルな相手とも互角に戦えるでしょう。ニューカッスル、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルと厳しい相手が続きますが、上位進出のチャンスでもあります。

あらためて、タイミングのいい飛び出しで2ゴールを生んだカーティス・ジョーンズを称えたいと思います。マック・アリスターの代役以上の仕事で、首位キープの原動力となりました。次節はアーセナル。マン・ユナイテッドとチェルシーをプレスでつぶしにいったスロット監督は、トーマス、デクラン・ライス、ミケル・メリノからいかに奪うかを考えているはずです。(カーティス・ジョーンズ 写真著作者/Werner100359)


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