2024.12.16 プレミアリーグ観戦記2024-25プレミアリーグ観戦記
【MAN.CITY×MAN.UTD】凡庸な85分は1-0でリード…アマド・ディアロにやられた悪夢の2分。
カラバオカップ4回戦でトッテナムに敗れてから、公式戦1勝2分7敗と絶不調のマンチェスター・シティに対して、テン・ハフ解任後のマンチェスター・ユナイテッドは6勝2分2敗。ルーベン・アモリムの就任によって、深刻な得点力不足は改善しているものの、プレミアリーグではアーセナルとノッティンガム・フォレストに連敗中です。
両者ともに苦しい状況で迎えたマンチェスターダービー。ペップはリコ・ルイスを欠いており、ミスが目立つカイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、グヴァルディオルの3枚で戦うしかありません。コヴァチッチはベンチスタートで、2センターはギュンドアンとマテウス・ヌネス。2列めにはジェレミー・ドク、デブライネ、フォーデン、ベルナルド・シウヴァが並んでいます。
フォーデンが真価を発揮できれば、ハーランドが自由になるシーンが増えるでしょう。一方、マンチェスター・ユナイテッドは守備重視の人選です。GKオナナ、DFデ・リフト、マグワイア、リサンドロ・マルティネス。中盤にブルーノ・フェルナンデスとウガルテ、WBはマズラウィとダロト、前線はメイソン・マウント、アマド・ディアロ、ホイルンドです。
キックオフからの5分は、マン・シティの時間。アウェイチームは、中盤のせめぎ合いでファールを連発しています。6分に左から仕掛けたダロトのクロスは、エデルソンがキャッチ。勝負のキーとなりそうなアマド・ディアロとグヴァルディオラのマッチアップは、互角のバトルです。12分にピッチに座り込んだメイソン・マウントは、プレイを続けられる状態ではなさそうです。
ブルーノに肩を抱えられ、7番がアウト。代わって入ったのはメイヌーです。マズラウィのミスパスから始まった17分の波状攻撃は、左でラインの裏を狙うデブライネの縦パスが通りません。マン・ユナイテッドがボールを持つと、容赦ないブーイング。20分にドクがボックス左を突破すると、クロスのクリアを胸でトラップしたフォーデンの左足ボレーは、右に逸れていきました。
マン・ユナイテッドのパスワークは、正確だけどスロー。マン・シティは勝負のパスが通らず、いつもより引いて守る時間が多い印象です。ブルーノが右のアマド・ディアロに展開したカウンターは32分。レフティはシュートに持ち込めず、左にまわったボールをリサンドロ・マルティネスが遠めから狙うと、コースに入ってブロックしたのはカイル・ウォーカーでした。
37分、マン・シティのショートコーナー。デブライネのクロスは、アマド・ディアロのつま先にヒットしてゴール前に浮き上がりました。ダロトは触れず、グヴァルディオルのヘッドが左隅へ。カウンター頼みのマン・ユナイテッドにとっては重いビハインドです。追加タイム3分、ウガルテをかわして放ったフォーデンのミドルは、マグワイアが足に当ててCKです。
前半は1-0、ポゼッションは53%対47%、シュートは7対4、オンターゲットは3対0。マンチェスターに来る直前のCLで、プレミアリーグ王者に4-1で圧勝したアモリムは、同じ展開に持ち込めるでしょうか。後半開始からしばらくはアウェイチームのペースですが、再三の速攻はシュートを打つ直前でカットされています。
60分を過ぎても、ハーランドもホイルンドもシュートゼロ。62分の左サイドからのアタックは、ブルーノのクロスに合わせたアマド・ディアロのヘッドを、エデルソンが左に弾き出しました。67分のギュンドアンの中央突破はウガルテに止められ、クリアを拾ったデブライネの左足ミドルはクロスバーの上。ペップはここで、デブライネをコヴァチッチにスイッチしています。
74分にハーフライン付近で奪取したマズラウィが攻め上がり、パスを受けたホイルンドが右に流れたブルーノに絶妙な縦のラストパス。飛び出したエデルソンを避けたチップキックは、左に流れてしまいました。少ないチャンスを活かしたいマン・ユナイテッドにとって、確実に決めなければならないシーンでした。
2分後、ドクのパスでボックス左に出たフォーデンがクロスを入れ、クリアのこぼれ球がハーランドの足元に届きますが、シュートはリサンドロ・マルティネスがブロックしました。アモリム監督の3枚代えは79分。マズラウィ、デ・リフト、ホイルンドが下がり、アントニー、レニー・ヨロ、ザークツィーです。
84分のリサンドロ・マルティネスのクロスに反応したメイヌーは、体が伸び切ってしまい、ヘッダーはバーを越えていきました。直後、マテウス・ヌネスが痛恨のバックパスミス。アマド・ディアロの脇にいたルベン・ディアスはパスに気づいておらず、左に流れた16番とエデルソンは1対1です。冷静な守護神はコースを切って遅らせており、ゴールは難しい状況だったのですが…。
後ろに戻して何とかシュートと思った瞬間、猛然とダッシュしたマテウス・ヌネスが足を払ってしまいました。どこからどう見てもPK…!大音量のブーイングに包まれたブルーノ・フェルナンデスは、エデルソンの逆を取って右に収めました。まさかの同点、しかし勝負が決まったのはその2分後です。89分にラインの裏に浮かしたのは、リサンドロ・マルティネスでした。
落下点に入れそうだったのは、ルベン・ディアス、マテウス、ヌネス、グヴァルディオル。誰かがクリアして終わるはずの状況で、魅入られたように誰も動かず、必死に追ったアマド・ディアロがエデルソンの前でつま先で浮かし、左足で右のサイドネットに流し込みました。大音量のチャントは、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターです。
ジョン・ストーンズに準備させていたペップは、サヴィーニョへのプラン変更を強いられています。逆転してから、シュートを打たせなかったアウェイチームが1-2で勝利。「痛恨のミス」と書かれる寸前だったブルーノ・フェルナンデスは、「プレッシャーに負けず同点のPKを決めたキャプテン」に変身し、アマド・ディアロはクラブの歴史に名を残すヒーローになりました。
「BBC」のレポートをチェックし終えた今でも、リアリティはありません。大興奮のガリー・ネビルは、「光り輝くアマド、マンチェスター・ユナイテッドらしい唯一の選手」と22歳のスターを絶賛。「実にひどい試合だった。しかし慌ただしい2分がそれを覆い隠した」というサイモン・ストーン記者の言葉には、うなずくしかありません。
「BBC」のファン投票で、マテウス・ヌネスが9.22というハイスコアでMVPに推されています。シティズンの皮肉か、マン・ユナイテッドサポーターのいじりか。あのシーンは、CKからボールをキープしたのに、さほど強くないプレスを嫌がって後方に戻したために起こった悲劇です。トリガーは彼ですが、消極的なムードが蔓延していたチームの問題でもあるというべきでしょう。
幸運な勝利を手にしたアモリムは、勝っても負けても、どれほど退屈な試合だったとしても、「やるべきことはやった」といえるでしょう。ラシュフォードとガルナチョをベンチからも外し、ラスト10分の勝負どころで「アントニーとアマドで右サイドを崩せ」という明確なメッセージを発信しました。
一方、ペップに何ができたのか。何かが足りなかったのか。ジョン・ストーンズを早く入れればよかったと非難されるべきなのか。結果から逆引きすれば、デブライネやドクの交代にツッコミを入れられますが、ラスト5分までは勝ち試合だったのです。打開策を問われても、レスターでラニエリが企画したピザパーティー以外に、これといったアイデアは思い浮かびません。
「私はマネージャーであり、解決策を見つけなければならないが、今のところ見出せていない。これが真実だ」。自分の力が足りないと繰り返したペップは、久々の中5日をうまく活用できるのか。今の彼らに必要なのは、心のゆとりとポジティブなマインドでしょう。次のヴィラ・パークは1年前に敗れた鬼門ですが、開き直れる絶好の舞台と捉えて攻めに集中するしかありません。
両者ともに苦しい状況で迎えたマンチェスターダービー。ペップはリコ・ルイスを欠いており、ミスが目立つカイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、グヴァルディオルの3枚で戦うしかありません。コヴァチッチはベンチスタートで、2センターはギュンドアンとマテウス・ヌネス。2列めにはジェレミー・ドク、デブライネ、フォーデン、ベルナルド・シウヴァが並んでいます。
フォーデンが真価を発揮できれば、ハーランドが自由になるシーンが増えるでしょう。一方、マンチェスター・ユナイテッドは守備重視の人選です。GKオナナ、DFデ・リフト、マグワイア、リサンドロ・マルティネス。中盤にブルーノ・フェルナンデスとウガルテ、WBはマズラウィとダロト、前線はメイソン・マウント、アマド・ディアロ、ホイルンドです。
キックオフからの5分は、マン・シティの時間。アウェイチームは、中盤のせめぎ合いでファールを連発しています。6分に左から仕掛けたダロトのクロスは、エデルソンがキャッチ。勝負のキーとなりそうなアマド・ディアロとグヴァルディオラのマッチアップは、互角のバトルです。12分にピッチに座り込んだメイソン・マウントは、プレイを続けられる状態ではなさそうです。
ブルーノに肩を抱えられ、7番がアウト。代わって入ったのはメイヌーです。マズラウィのミスパスから始まった17分の波状攻撃は、左でラインの裏を狙うデブライネの縦パスが通りません。マン・ユナイテッドがボールを持つと、容赦ないブーイング。20分にドクがボックス左を突破すると、クロスのクリアを胸でトラップしたフォーデンの左足ボレーは、右に逸れていきました。
マン・ユナイテッドのパスワークは、正確だけどスロー。マン・シティは勝負のパスが通らず、いつもより引いて守る時間が多い印象です。ブルーノが右のアマド・ディアロに展開したカウンターは32分。レフティはシュートに持ち込めず、左にまわったボールをリサンドロ・マルティネスが遠めから狙うと、コースに入ってブロックしたのはカイル・ウォーカーでした。
37分、マン・シティのショートコーナー。デブライネのクロスは、アマド・ディアロのつま先にヒットしてゴール前に浮き上がりました。ダロトは触れず、グヴァルディオルのヘッドが左隅へ。カウンター頼みのマン・ユナイテッドにとっては重いビハインドです。追加タイム3分、ウガルテをかわして放ったフォーデンのミドルは、マグワイアが足に当ててCKです。
前半は1-0、ポゼッションは53%対47%、シュートは7対4、オンターゲットは3対0。マンチェスターに来る直前のCLで、プレミアリーグ王者に4-1で圧勝したアモリムは、同じ展開に持ち込めるでしょうか。後半開始からしばらくはアウェイチームのペースですが、再三の速攻はシュートを打つ直前でカットされています。
60分を過ぎても、ハーランドもホイルンドもシュートゼロ。62分の左サイドからのアタックは、ブルーノのクロスに合わせたアマド・ディアロのヘッドを、エデルソンが左に弾き出しました。67分のギュンドアンの中央突破はウガルテに止められ、クリアを拾ったデブライネの左足ミドルはクロスバーの上。ペップはここで、デブライネをコヴァチッチにスイッチしています。
74分にハーフライン付近で奪取したマズラウィが攻め上がり、パスを受けたホイルンドが右に流れたブルーノに絶妙な縦のラストパス。飛び出したエデルソンを避けたチップキックは、左に流れてしまいました。少ないチャンスを活かしたいマン・ユナイテッドにとって、確実に決めなければならないシーンでした。
2分後、ドクのパスでボックス左に出たフォーデンがクロスを入れ、クリアのこぼれ球がハーランドの足元に届きますが、シュートはリサンドロ・マルティネスがブロックしました。アモリム監督の3枚代えは79分。マズラウィ、デ・リフト、ホイルンドが下がり、アントニー、レニー・ヨロ、ザークツィーです。
84分のリサンドロ・マルティネスのクロスに反応したメイヌーは、体が伸び切ってしまい、ヘッダーはバーを越えていきました。直後、マテウス・ヌネスが痛恨のバックパスミス。アマド・ディアロの脇にいたルベン・ディアスはパスに気づいておらず、左に流れた16番とエデルソンは1対1です。冷静な守護神はコースを切って遅らせており、ゴールは難しい状況だったのですが…。
後ろに戻して何とかシュートと思った瞬間、猛然とダッシュしたマテウス・ヌネスが足を払ってしまいました。どこからどう見てもPK…!大音量のブーイングに包まれたブルーノ・フェルナンデスは、エデルソンの逆を取って右に収めました。まさかの同点、しかし勝負が決まったのはその2分後です。89分にラインの裏に浮かしたのは、リサンドロ・マルティネスでした。
落下点に入れそうだったのは、ルベン・ディアス、マテウス、ヌネス、グヴァルディオル。誰かがクリアして終わるはずの状況で、魅入られたように誰も動かず、必死に追ったアマド・ディアロがエデルソンの前でつま先で浮かし、左足で右のサイドネットに流し込みました。大音量のチャントは、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターです。
ジョン・ストーンズに準備させていたペップは、サヴィーニョへのプラン変更を強いられています。逆転してから、シュートを打たせなかったアウェイチームが1-2で勝利。「痛恨のミス」と書かれる寸前だったブルーノ・フェルナンデスは、「プレッシャーに負けず同点のPKを決めたキャプテン」に変身し、アマド・ディアロはクラブの歴史に名を残すヒーローになりました。
「BBC」のレポートをチェックし終えた今でも、リアリティはありません。大興奮のガリー・ネビルは、「光り輝くアマド、マンチェスター・ユナイテッドらしい唯一の選手」と22歳のスターを絶賛。「実にひどい試合だった。しかし慌ただしい2分がそれを覆い隠した」というサイモン・ストーン記者の言葉には、うなずくしかありません。
「BBC」のファン投票で、マテウス・ヌネスが9.22というハイスコアでMVPに推されています。シティズンの皮肉か、マン・ユナイテッドサポーターのいじりか。あのシーンは、CKからボールをキープしたのに、さほど強くないプレスを嫌がって後方に戻したために起こった悲劇です。トリガーは彼ですが、消極的なムードが蔓延していたチームの問題でもあるというべきでしょう。
幸運な勝利を手にしたアモリムは、勝っても負けても、どれほど退屈な試合だったとしても、「やるべきことはやった」といえるでしょう。ラシュフォードとガルナチョをベンチからも外し、ラスト10分の勝負どころで「アントニーとアマドで右サイドを崩せ」という明確なメッセージを発信しました。
一方、ペップに何ができたのか。何かが足りなかったのか。ジョン・ストーンズを早く入れればよかったと非難されるべきなのか。結果から逆引きすれば、デブライネやドクの交代にツッコミを入れられますが、ラスト5分までは勝ち試合だったのです。打開策を問われても、レスターでラニエリが企画したピザパーティー以外に、これといったアイデアは思い浮かびません。
「私はマネージャーであり、解決策を見つけなければならないが、今のところ見出せていない。これが真実だ」。自分の力が足りないと繰り返したペップは、久々の中5日をうまく活用できるのか。今の彼らに必要なのは、心のゆとりとポジティブなマインドでしょう。次のヴィラ・パークは1年前に敗れた鬼門ですが、開き直れる絶好の舞台と捉えて攻めに集中するしかありません。
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