偏愛的プレミアリーグ見聞録

2023年12月9日、オールド・トラフォードで0-3の完敗。当時のボーンマスは15位で、現在は8位とパワーアップしているのに、何を根拠に勝てると思っていたのか、自分でもよくわかりません。2024年12月22日、オールド・トラフォードで0-3の完敗。まさか、同じスコアで返り討ちにされるとは…！

アウェイチームのスカッドを1年前と比べてみると、アダム・スミス、ザバルディ、ケルケズ、クリスティ、クライファート、セメンヨの6人が重なっています。敵地で快勝の後、ホームで2-2のドローだったマンチェスター・ユナイテッドは、与しやすしと思われていたのかもしれません。一方、こちらで苦い記憶が残っているのは、オナナ、ダロト、マグワイア、ブルーノの4人です。

テン・ハフからアモリムとモデルチェンジし、メンバーの大半が入れ替わったのに、またも3失点。1年前にゴールを決めたソランケとセネシはおらず、ビリングが出てきたのは3点差になった後です。マン・ユナイテッドはなぜ、教訓を活かせなかったのでしょうか。ゲームの流れを振り返ってみましょう。立ち上がりは、悪くありませんでした。最初のチャンスは6分です。

左サイドでザークツィー、マラシア、ブルーノ、メイヌーが絡み、ボックス左に出たメイヌーに詰めたアダム・スミスの足に当たったボールが、ニアに流れました。アマド・ディアロの左足のシュートは、ケパが右に反応してキャッチ。18分に左からカットインしたブルーノ・フェルナンデスのミドルは、ケパの正面です。

ボーンマスが先制したのは23分、右からFKを蹴ったのはクリスティ。ニアのハイセンに着いていたザークツィーはプレッシャーをかけられず、バックヘッドが左隅に決まってしまいました。ティンバー、サリバ、ミレンコヴィッチ、グヴァルディオル、ハイセン…直近4試合の8失点のうち、4つはセットピースでやられています。

今季プレミアリーグでセットピースから9発も決められているのは、ウルヴスとわれわれだけです。4戦連続で先制されたチームは、40分からのチャンスを活かせませんでした。ダロトがボックス右に出したボールをアマド・ディアロがキープし、後ろにいたブルーノの足元に転がしたのは41分。右足のダイレクトショットは、左に逸れていきました。

直後、ハイセンのパスを敵陣でカットしたメイヌーが一気に上がり、左のブルーノにラストパス。フリーの一撃は、左手を伸ばしたケパのビッグセーブに阻まれました。悔しがるキャプテンは、44分のロングシュートも左に外しています。この時間帯にイーブンに戻していれば、後半は優位に立てていたかもしれません。

55分の右からのCKも、中央で競ったボールがファーに流れますが、リサンドロ・マルティネスが押し込む寸前でルイス・クックがクリア。痛恨の失点は61分、ボックス左に入ってきたクライファートのドリブルに、スライディングはあまりにもリスキーでした。ボールに触れなかったマズラウィの足が脛にかかってしまい、どこからどう見てもPKです。

ウルヴス戦でPKを3発決めているクライファートは、オナナの逆を取って左に蹴りました。0-2となった2分後、エヴァニウソンが左にまわり込んで縦のスルーパス。レニー・ヨロは当たるか引くかをジャッジできないまま、裏を取られてワッタラのグラウンダーを許してしまいます。中央で待っていたセメンヨに対して、リサンドロ・マルティネスは足を出せませんでした。

終盤の猛攻は結果につながらず、シュート数23対10と圧倒しながら、結局ノーゴール。プレスのタイミングや連動の仕方を指示し続けているアモリム監督は、四角い穴に丸い釘を打ち込もうとしているように見えます。2月のウインターブレイクまでは、頻繁にメンバーを代えながら手探りで戦う日々が続きそうです。

アンドニ・イラオラが率いるチームが、アーセナル、マン・シティ、トッテナムを撃破した強者であることを軽視していたようです。アウェイのマンチェスターダービーを制しただけで、勝てる気分になっていたところに、冷や水を浴びせられました。直近5試合で4勝1分は、チェルシーと並ぶTOP。少なくとも今は、オールド・トラフォードの結果は「順当」というべきでしょう。