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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Fulham】狙いはSBの裏のスペース…絶好調フラム、ラスト10分からの鮮やかな逆転劇!

年末のプレミアリーグは、ビッグ6との連戦を無敗で切り抜けた曲者たちが注目を集めています。最大のサプライズは、5位に食い込んだボーンマス。アーセナルとマンチェスター・シティに競り勝った後、12月に入ってからトッテナムとマンチェスター・ユナイテッドを連破し、4連勝となっています。そして15位のエヴァートンも、2024年の10大ニュースに入れたくなる大健闘です。

リヴァプール、アーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティというスケジュールを見たサポーターの多くは、降格ゾーンへの転落を覚悟したのではないでしょうか。ところが、いざ蓋を開けてみると、無敗でクリア。マージーサイドダービーを強風で中止という珍事で回避すると、アーセナルとチェルシーは0-0、マン・シティは1-1と3連続ドローで切り抜けました。

ドローといえば、12月のトッテナム、アーセナル、リヴァプールをすべて1ポイントで終えたフラムもやっかいなチームです。アンフィールドのリヴァプール戦は、ラスト5分まで1-2。9試合連続無敗の首位チームを、アップセット寸前に追い込んでいます。さらに昨夜のチェルシー戦は、どちらが2位かわからない激戦を繰り広げ、ドラマティックな展開でポイントをゲットしました。

ロベルト・サンチェス、マロ・グスト、アダラビオヨ、コルウィル、ククレジャ。カイセド、エンソ・フェルナンデス、サンチョ、コール・パルマー、ペドロ・ネト、ニコラス・ジャクソン。ウェストロンドンダービーに臨むチェルシーの前線はベストの布陣で、フォファナとバディアシルを欠く最終ラインも、トシンとコルウィルなら問題なしでしょう。

サイドアタックが脅威のフラムは、序盤からイオビとアダマ・トラオレが元気で、クロスの精度が上がれば決められそうな勢いです。しかし先制はチェルシー。コール・パルマーが空いたのに気づいたコルウィルが、斜めのパスを中央に通したのは16分でした。アンドレアス・ペレイラとルキッチをツータッチで抜いた20番は、ゴールへのプロセスをイメージできていたようです。

ボックス手前でコースが空いた瞬間に打たず、わざわざディオプがいる左に運んだのは、股間を抜くと決めていたからでしょう。CBがニアを切る前提でポジションを取るGKは、左隅に打たれたらノーチャンスです。リードされたフラムは、すかさず反撃スタート。19分にイオビのパスを右サイドで受けたラウル・ヒメネスは、カットインからのシュートが左に切れていきました。

圧巻だったのは、26分のバッシーの攻め上がりです。自陣左からドリブルを始めたCBは、ボックス前に持ち込んでマロ・グストとトシンを一気に抜き去り、左足を振り抜きました。角度がなかったため、コースを読みやすかったロベルト・サンチェスがキャッチしましたが、イオビとアントニー・ロビンソンも仕掛けてくるマロ・グストのサイドは要注意です。

35分に右からFKを浮かしたのはエンソ・フェルナンデス。外から詰めてきたククレジャのダイビングヘッドは、レノのビッグセーブに阻まれました。前半は1-0、シュート数は5対5で、チェルシーのポゼッションは44%。ゲームをコントロールしたいマレスカ監督は、劣勢と捉えていたのではないでしょうか。ニコラス・ジャクソン、サンチョ、ペドロ・ネトはシュートゼロです。

後半の立ち上がりはチェルシーペース。49分にククレジャのパスが中央のエンソ・フェルナンデスに入ると、ワンステップで放ったミドルはレノが上に弾き出しました。52分のイオビのミドルが右に外れた後、フラムのサイドアタックが活性化し、マロ・グストとククレジャは背後に入ってくるボールに苦しんでいます

5-4-1のフラムに対してチェルシーはサイドを崩せず、インサイドから加勢しようとするククレジャの動きは、カウンターを喰らう理由にもなりえます。アンドレアス・ペレイラが右に展開したのは62分。ククレジャが上がっていた左サイドに、コルウィルが引っ張り出されています。ファーにクロスが上がると、外からゴール前に入ったアントニー・ロビンソンはフリーです。

右足でプッシュし、プレミアリーグ初ゴールかと思いきや、ロベルト・サンチェスが体を張ってセーブ。マレスカ監督が切ったカードは、73分のニコラス・ジャクソンからエンクンクのみでした。ベンチにはラヴィアやデューズバリー=ホールがおらず、リードをキープしたい状況で使える策がなかったのかもしれません。

イオビとアントニー・ロビンソンが左から仕掛けたのは81分。ペドロ・ネトを抜いたイオビがボックス左に斜めのボールを転がすと、SBのクロスがファーのカスターニュに届きました。ヘディングで左に浮かすと、詰めてきたハリー・ウィルソンが頭でプッシュ。追いついたフラムは、ドローで終えるつもりはなさそうです。

クイックリスタートから、右のペドロ・ネトがクロスを入れたのは90分。走り込んできたククレジャのヘッドはディオプに当たり、こぼれ球を叩いたサンチョの一撃はレノの必死のセービングに阻まれました。ロベルト・サンチェスのロングフィードをカットしたカスターニュが、右のハリー・ウィルソンに預けたのは95分。ククレジャがいないエリアに出た縦パスが決め手でした。

コルウィルの背後に走ったルキッチが中を見ると、起点となったカスターニュはゴール前に入ろうとしています。20番のジャッジは、エンソ・フェルナンデスを出し抜いたファーのムニス。アーリークロスを右足アウトで足元に収めた9番は、左足で右隅に転がしました。97分にコール・パルマーのクロスを右足で捉えたエンクンクのボレーも、絶好調レノが外に弾き出しています。

1-2でウェストロンドンダービーを制したのは、スタンフォード・ブリッジのプレミアリーグで勝ったことがなかったフラムでした。チェルシーの無敗記録は、12試合でストップ。途中出場のハリー・ウィルソンとムニスは、SBの背後を突くサイドアタックを徹底しろと指示を受けていたのでしょう。決勝ゴールとなったカウンターに、迷いは感じられませんでした。

中央にボールが入ると9人でスペースを埋め、左右に展開するとSB、CB、MFで囲もうとする収縮自在の5-4-1に、チェルシーの攻撃陣は絡め取られてしまいました。コール・パルマーは疲れていたのか、後半は精彩を欠きました。エンクンクと同時にジョアン・フェリックスを投入し、ボックスの左右を突くという選択肢もあったのではないかと思います。

1試合消化が少ないリヴァプールとの差は7ポイント。これ以上引き離されると、目標はTOP4キープに切り替わります。次節はイプスウィッチ。気持ちを切り替え、今までの戦い方を貫くしかありませんが、ニコラス・ジャクソンとコール・パルマーを休ませるならここでしょう。エンクンクはチャンスをもらえるのか?マレスカ監督の采配に注目しましょう。


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