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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ウルヴスに次ぐ9失点!マンチェスター・ユナイテッドのセットピースからの失点が減らない5つの理由。

スタジアムのリニューアル、ウイメンズチームの創立、スポーツディレクターの導入…フットボールシーンのトレンドにことごとく乗り遅れたマンチェスター・ユナイテッドは、ピッチの上でも取り残されている感があります。目下の課題はセットピース。今季プレミアリーグでCKから9失点は、ウルヴスの10失点に次ぐ下から2番めです。

ユルゲン・クロップが、スローインの専門コーチとしてトマス・グラネマークを招聘したのは2018年。ミケル・アルテタが、セットピースのスペシャリストであるニコラ・ジョヴァーを引き入れたのは2021年。補強の決裁など全権を掌握したがっていたモウリーニョや、古き良き時代の再現をめざしていたスールシャールに、最先端の戦術の導入という発想はなかったようです。

今やCKの分析にAIを活用しているリヴァプールは、今季の失点はゼロ。アーセナルのCK100本あたりの5失点は17位ですが、10ゴールはリーグTOPです。対してマンチェスター・ユナイテッドは、100本あたりで10.6失点。19位のウルヴスは7.2失点で、決められる率はぶっちぎりのワーストです。テン・ハフの後を継いだアモリムは、開幕当初からの課題を解決できていません。

カラバオカップ準々決勝のトッテナム戦では、ソン・フンミンのCKにバユンドゥルがお手上げ。ウルヴス戦では、ドハーティーに体をぶつけられたオナナがマテウス・クーニャのキックを弾き切れず、「1週間でオリンピコ2回」という不名誉な記録を作ってしまいました。問題点は明確で、「戦術の不徹底」「コーチングの欠如」「ニアポスト対応」「GKの苦手意識」です。

「戦術の不徹底」は、テン・ハフの頃から抱えている弱点です。開幕当初は、「ショートコーナー対応が1人、ボックスの外から打つサインプレー対応が1人、マンツーマン4人、ゾーンディフェンス4人」だったのですが、スパーズ戦でソランケに決められた際は、途中出場のメイソン・マウントがボックスの右脇に立つ謎のポジショニングで中央の人数を減らしていました。

「コーチングの欠如」は、プレミアリーグの9失点のうち3つが10人で戦っていた時間だったことを指しています。トッテナム戦とウルヴス戦はブルーノ・フェルナンデスのレッドカード、ブレントフォード戦は負傷したデ・リフトがピッチから出ていました。こういうときは、GKかCBが仕切って対応方法を確認する必要があります。

CKからの失点や、ピンチを招いたシーンをチェックすると、その多くは「インスイングのボールがニアポスト付近」です。オナナは目の前に相手がいると集中力を失いがちで、アーセナル戦ではサリバとボールを同時に目で追ったために対応が遅れました。ウルヴス戦でドハーティーとブエノに挟まれたときも目測を誤り、ジャンプのタイミングも遅れてしまいました。

テン・ハフの下でセットピースを担当していたアンドレアス・ゲオルグソンコーチは結果を出せず。マン・ユナイテッドのCK対応を分析した「アスレティック」のアフメド・ワリド記者によると、ルーベン・アモリムに改善を託されたカルロス・フェルナンデスコーチは、ゾーン6人とマンマーカー2人にスイッチしたものの、トレーニングの時間を確保できていないようです。

5つめの問題点として、「過密スケジュールによる練習不足」を付け加える必要があるなら、解決するまでに時間がかかりそうです。厳しい状況ですが、ひとつだけポジティブな情報を添えておきましょう。年明け初戦のリヴァプールは、セットピースから2ゴールのみ。フラムの1ゴールに次ぐワースト2です。いや、「だから大丈夫。勝てる!」というわけではないのですが…。


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