2025.04.25 プレミアリーグ観戦記2024-25プレミアリーグ観戦記
今季プレミアリーグでわずか3ゴール…ラスムス・ホイルンドがゴールを決められない理由。

得点力不足の象徴となっているラスムス・ホイルンドは、プレミアリーグ28試合でわずか3ゴール。消える時間があまりにも長いストライカーのスタッツを見ると、厳しい数字が並んでいます。シュート24本はファン・ダイクよりひとつ多いだけで、オンターゲット9本はデクラン・ライスより2つ少なく、トータルで3.6しかないxGはグヴァルディオルの4.4を下回っています。
1試合あたりのボールタッチは17.2回、パス成功は7.4本。「ゴールは少ないけど、チャンスメイクやポストプレーでチームに貢献している」といわれる選手がときどきいますが、アシストはゼロでチャンスクリエイトは128分に1回です。191cmの長身ながら、プレミアリーグにおけるヘディングでのゴールは入団以来ゼロで、今季の空中戦は21勝80敗と大きく負け越しています。
アモリム就任直後のELで、2戦連続で2ゴールを決めたのですが、その後はノッティンガム・フォレスト戦とレスター戦の2発のみ。プレミアリーグのフルタイム出場はウェストハム、フォレスト、ニューカッスル、スパーズの4戦で全敗です。タッチやパスの少なさから、周囲が彼を使えていないと見る向きもありそうですが、本人の問題のほうが大きいのではないかと思われます。
以前の観戦レポートでも書いたのですが、今のホイルンドに足りないのは判断力と明快さです。カウンターで左右から上がった選手が中央を見ると、ゴール前に走り込むはずのストライカーがブレーキを踏んでいたり、打てるアングルを取れていなかったりするシーンが目立ちます。使えていないというより、「出すのを思い留まることが多い」という表現が妥当でしょう。
リーグで10ゴールをゲットした昨シーズンは、38本のシュートの7割がボックス内のセンターからのフィニッシュでした。しかし今季はボックスの左右とミドルレンジからの比率が増えており、24本のうちセンターは11本、オンターゲットはたったの2本です。迷える9番は、打てるエリアを見極めるスピードも打つタイミングを判断する力も失っているように見えます。
ザークツィーがシーズンアウトとなった今、ヨーロッパリーグを制するには、ホイルンドが抱える課題解決は必須です。指揮官に策はあるのか。ベトを活かしたモイーズ、ウェルベックのモチベーションを高めたヒュルツェラー、クリス・ウッズにボールを集めたヌーノ・エスピーリト・サントのような仕事ができなければ、最悪のシーズンという評価を甘受することになります。
カイ・ハヴェルツの負傷を受けて、最前線にミケル・メリノを配したアルテタがレアル・マドリードを倒せたのは、新たなストライカーを起用した際の戦い方をチームにインストールしたからでしょう。就任から5ヵ月という時間がありながら、ホイルンドもザークツィーもチド・オビ=マルティンも活かせていない監督は、「3‐4‐2-1に適した9番がいない」などというのでしょうか。
ヨーロッパリーグの登録がないチド・オビ=マルティンは、アスレティック・ビルバオ戦のオプションにはなりえません。成功体験を得られなかった「最前線にメイヌー」は、単なるギャンブルです。ホイルンドは自ら意識を変える必要がありますが、周囲との連携のクオリティを上げるのは指揮官の仕事でしょう。ファーストレグは来週の木曜日。時間はありません。
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