2025.09.28 プレミアリーグ観戦記2025-26プレミアリーグ観戦記
【Brentford×MAN.UTD】カウンターから3失点…アモリムのチームはなぜ判断ミスを繰り返すのか?

VARのチェックと2枚代えで5分待たされたキャプテンは、コースも速度も甘いキックをケレハーに読まれ、セーブされてしまいました。プレミアリーグでのPKは47本中41本が成功で、過去3シーズンの17本のうち、ミスは1本のみ。右に蹴れば100%決まっていたのですが…。集中力をキープするのが難しかったのでしょうか。アウェイチームは2-1のまま、最終盤に突入しました。
前節のチェルシー戦は、開始5分のロベルト・サンチェスの1発レッドで11対10になったのですが、終わってみれば2-1のきわどい勝利。得点力不足という課題が解決する兆しは未だないと見たほうがいいでしょう。Gtechコミュニティ・スタジアムでの敗因は、PK失敗もさることながら、「ボールの奪われ方と最終ラインの対応が悪く、カウンターを3つも決められた」ことです。
崖っぷちのアモリム監督は、前節から3枚を代えて必勝の一戦に臨みました。GKバユンドゥル、DFデ・リフト、マグワイア、ルーク・ショー。WBはダロトとドルグ、2センターはブルーノ・フェルナンデスとウガルテ、前線はエンベウモ、マテウス・クーニャとシェシュコ。膝を痛めたマズラウィと、個人的な事情で欠場となったアマド・ディアロがいれば違ったのでしょうか。
開始5分にマグワイア、マテウス・クーニャ、シェシュコと縦につながり、ストライカーのシュートがブロックされたシーンは期待を抱かせたのですが、8分に先制したのはブレントフォードでした。左サイドで奪った後、ウガルテが中央に絞ったダロトに預けてカウンターが発動。マテウス・クーニャがフリーになると見たシェシュコは、左から中に入ってパスコースを作りました。
ダロトが速いパスを足元に通していれば、10番は左から打てていたでしょう。緩いパスは後ろに出てしまい、必死に戻ったカヨデに奪われました。こぼれ球を回収したジョーダン・ヘンダーソンがすかさずラインの裏にフィード。マグワイアが一瞬下がったのが致命傷で、慌てて前に出てオフサイドを主張したのですが、どう見てもセーフです。
ボックス手前でボールに追いついたイゴール・チアゴは、頭で打てる位置に落とし、左のポストの内側に当たる完璧なハーフボレーを決めて1-0。リードされたマンチェスター・ユナイテッドは、シェシュコやウガルテが前を向ける縦パスが通っていたのですが、マテウス・クーニャが強引なシュートやパスを繰り返し、チャンスを活かせません。
17分の左からのCKをファーにいたワッタラが頭で折り返し、ファン・デン・ベルフが頭でプッシュすると、バユンドゥルがかろうじて手に当てて追加点はならず。直後にヘンダーソンが右サイドを突破し、ネイサン・コリンズの決定的なヘッダーが左隅を襲いますが、これもバユンドゥルがビッグセーブでCKに逃れました。
2点めが決まったのは20分。きっかけはヤルモリュクのロングフィードでした。左サイドに流れていたイゴール・チアゴがシャーデに胸で落とし、7番がボックス左に出たときは、中央には誰もいませんでした。普通ならシュートにつながらない形ですが、速いクロスをGKが弾くと、走り込んできたイゴール・チアゴの足元に出てしまいました。難なくプッシュして2‐0。最悪の展開です。
早い時間に追いつきたいマン・ユナイテッドは、攻めるしかありません。この日の唯一の収穫は、ノーゴールだったシェシュコが決めたことです。バユンドゥルのパントをシェシュコが頭で触り、ファン・デン・ベルフのクリアを拾ったウガルテが上がったのは26分。左に出したパスが流れ、ドルグが右ポスト際に高く上げたクロスは、ケレハーがキャッチすべきボールでした。

強引なミドルシュートは、ネイサン・コリンズが足に当ててCKに逃れました。前半のポゼッションは51%対49%、オンターゲットは4対4、ビッグチャンスは4対3。セットピースからのフィニッシュとミドルが多かったマン・ユナイテッドが、シュート数は4対10でリードしていたものの、その他の主要スタッツはイーブンです。
後半の最初のシュートは52分、右から仕掛けたエンベウモのパスをニアで受けたマテウス・クーニャは、右足のミドルがケレハーの正面でした。この後、マンチェスター・ユナイテッドがオープンプレーから放ったシュートは、92分にダロトのクロスを頭で合わせたザークツィーのみ。ルーベン・アモリムの無策も、敗因のひとつにカウントすべきでしょう。
66分になってから、マグワイアをレニー・ヨロ、ウガルテをメイヌー。得意のCBチェンジとMFのスイッチは、戦い方を変えるカードではありません。後半に入ってから、最終ラインと中盤の間のスペースを消しにいったキース・アンドリュース監督は、サイドの守備も強化しており、エンベウモが左足に持ち替えて上げるクロス以外にゴールに迫る手段がなくなっていました。
ブルーノがPKを失敗した後、81分にルーク・ショーをメイソン・マウント。2点が必要な展開で、残り時間が10分を切ってからの前線の強化は遅いといわざるを得ません。85分にドルグを下げ、ザークツィー。シェシュコにハイクロスを合わせようとしなかったチームが、ザークツィーやメイソン・マウントに空中戦を求めたのはちぐはぐに見えます。
勝負を決めた3点めは95分。タッチミスをしたメイヌーが慌てて前に出したパスを奪われ、エンベウモの無謀なスライディングはヤルモリュクにあっさりかわされてしまいました。2対2のカウンター。ヤルモリュクからパスをもらい、カットインしたイエンセンのミドルには、デ・リフトとレニー・ヨロが足を出しています。
ミドルシュートがほぼど真ん中に決まったのは、バユンドゥルが打たれる間際に2歩下がり、冷静に対応できなかったからでしょう。後半のシュートは6対4。ハーフタイムに守り方を修正したチームと、個人力への依存度が高まったチームの3-1は、妥当な結末といえるでしょう。3失点はすべて、冷静に対応すれば防げたはずです。
先制ゴールのシーンは、後方に4枚を残していたのに、軽率なオフサイドトラップが空振り。2点めは、ロングフィードに対して目測を誤ったデ・リフトと、イゴール・チアゴしか中央に入ってこないのに見ていなかったダロトとルーク・ショーが原因です。最後のゴールは、メイヌー、エンベウモ、バユンドゥルが落ち着いて対処していれば、どこかで止められた失点でした。
「われわれは本来のプレイができなかった。コントロールできたのはいくつかの瞬間だけだった。でもそれは、結局は同じようなことなのだろう。相手のゲームではなく、自分たちのゲームを展開すべきだったが、向こうが上回っていた」。アモリムのこの言葉こそが、マンチェスター・ユナイテッドの判断ミスが減らない理由になっているのではないでしょうか。
自分たちのフットボールの実現に頭を使いすぎて相手が見えておらず、うまく対応されたときにオプションがないため、思考停止、イージーミス、判断の遅れ、曖昧なプレイが頻発しているように感じられます。自分たちのスタイルという呪縛を蔓延させている張本人が、この状況を打開できるとは思えないのですが…。次節はサンダーランド。2勝2分1敗と好調の難敵です。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す