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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×Sunderland】前線は動けず、交代策は空転…好調だったチェルシーが敗れた理由。

リアム・デラップ、コール・パルマー、レヴィ・コルウィル、バディアシル、マロ・グストらを欠いたチェルシーは、ターンオーバーを駆使して公式戦4連勝。土曜日のサンダーランド戦は、中盤センターにカイセドとエンソ・フェルナンデスを配し、前線にはマルク・ギウ、ペドロ・ネト、ジョアン・ペドロ、ガルナチョを揃えていました。

サンダーランドは好調ですが、4勝のうち3つはノッティンガム・フォレスト、ウェストハム、ウルヴスと降格ゾーンに落ちているチームでした。昇格初年度で7位は大健闘ではあるものの、序盤のドローに恵まれたジャンプアップともいえます。スタンフォード・ブリッジの一戦は、エンツォ・マレスカのチームが快勝すると見ていたのですが、まさかの結末となりました。

ポゼッションは68%、シュート16対10、オンターゲット7対4と優勢ながら、1-2のアップセット。チェルシーはなぜ、サポーターの後押しに応えられず、敗れてしまったのでしょうか。開始4分という早い時間に先制したときは、ゴールラッシュを期待したのですが…。キックオフから攻め込まれていたチームは、リードしてからは余裕をもって戦えていました。

まずは最初のゴールを振り返りましょう。ロベルト・サンチェスのロングフィードから、センターサークルでペドロ・ネトがキープ。左からスプリントしたガルナチョを見たレフティは、迷わず速いボールを足元に送りました。ムキエレと対峙したガルナチョは縦に突破を図り、左足でシュート。ニアを締めていたGKローフスは、股間を抜かれてしまいました。

10分のルフェのFKは、クロスバーをかすめてゴール裏へ。サンダーランドは、低いラインのビルドアップでもプレスをかけてきますが、カイセドにとってはブライトン時代から続く当たり前の光景です。13分のCKから、こぼれ球を叩いたククレジャのシュートはベルトラン・トラオレがブロック。チェルシーのアカデミー出身のFWは、30歳のベテランになっています。

後方でテンポよくつないだ後、カイセドやジョアン・ペドロが左右に展開。ペドロ・ネトとガルナチョが単独で仕掛けるアタックは単調ではあるものの、積極的に前線に出るククレジャや精度の高いクロスを出せるリース・ジェームズが絡めば、チャンスが増えそうです。順調に見えたチェルシーが追いつかれたのは20分。きっかけは、今やトレンドとなっているロングスローです。

右から放り込んだのはムキエレ。ニアのバラードが競り勝つと、こぼれ球に詰めたベルトラン・トラオレはフリーでした。左足のボレーがジョアン・ペドロに当たり、ゴール前に浮いた瞬間、イシドルとマンダーヴァはノーマーク。オフサイドかと思いきや、アチャンポンがゴールライン際に残っており、イシドルがプッシュしてネットを揺らしました。

リードを失ったものの、ホームの前半で1-1は慌てなくてもいい状況です。サンダーランドの布陣は、プレスを仕掛ける4枚と最終ラインの間にスペースが空くので、エンソ・フェルナンデスやジョアン・ペドロがそこでもらえればチャンスを創れそうです。33分、リース・ジェームズのパスでボックス右に流れたマルク・ギウは、グラウンダーをGKローフスに回収されています。

チェルシーの10人が全員敵陣に入ると、5-4-1のラインは緊密になり、横にまわす時間が増えてしまいます。40分の左からのCKをニアのエンソ・フェルナンデスが頭で逆サイドに流すと、フリーだったガルナチョのスライディングボレーは、コースに入ったローフスが右腕に当てるビッグセーブ。44分のトレヴォ・チャロバーのロングシュートも、ローフスが上に弾き出しました。

前半は1-1のままで終了。最後方でボールをまわしていたアチャンポン、トレヴォ・チャロバー、エンソ・フェルナンデスは縦のコースを見つけられず、やりにくそうでした。後半も、青い包囲網に対して紅白のストライプがスペースを消す図式は変わらず。守備重視のサンダーランドは、カウンター、CK、ロングスローに望みを託しているようです。

51分のCKのクリアから、左サイドをスプリントしたペドロ・ネトは、インから加速したガルナチョへのパスが遅れ、キープした49番は囲まれてしまいました。アーセナルと並んでリーグTOPの8ゴールを決めているセットピースも、アウェイチームの守備陣が的確にクリア。57分のミドルを打ち上げたガルナチョはアウトとなり、エステヴァン・ウィリアンがサイドに入っています。

68分からの4分でエンソ・フェルナンデスが見せた左足ボレー、ミドル、ヘッダーの3連発は、すべてローフスの正面。マレスカ監督の2度めのカードは76分で、最終ラインのアチャンポンと後半は消えていたマルク・ギウを下げ、トシンとバイノー=ギッテンスです。トップ下でうまく機能していなかったジョアン・ペドロは、最前線に上がってもシュートを打てませんでした。

85分、ジョアン・ペドロとペドロ・ネトに代わってアンドレイ・サントスとタイリーク・ジョージ。チェルシーの敗因のひとつは、交代策の狙いが不明確で、途中出場の選手を活用できなかったことでしょう。最終盤に差しかかるとイージーなパスミスが増え、後半は守り続けていたアウェイチームのFKを増やしてしまいました。

期待のエステヴァン・ウィリアンは、得意のドリブルが冴えず、リヴァプール戦やアヤックス戦とは別人のようです。18歳のウインガーがボックスに入って奪われたのは93分。ヘールトロイダがラインの裏にロングフィードを入れると、トシンと並走したブロビーがボックス右でキープしました。9番はCBを左腕で制し、後方から上がってくる選手を待っています。

トシンの脇でパスコースを塞ごうとしていたトレヴォ・チャロバーは、9番に詰めて奪いにいくべきでした。ヘールトロイダがゴール前に到着するまで5秒。リース・ジェームズが着いていたのですが、その後ろから上がってきたタイビはノーマークです。ブロビーが足元に転がし、コースが見えていた7番が右隅に流し込みました。

最終的にゴール前は3対3で、対応する時間は充分にあったのに、トレヴォ・チャロバーが何もしなければ、フリーで決められても仕方がありません。終了直前のCKでロベルト・サンチェスがゴール前に上がったのに、エステヴァン・ウィリアンのキックがニアポストの外に逸れていったのは、ちぐはぐだったチームを象徴しているように感じられました。

引いた相手に対して攻め手を見出せなかったチェルシーは、交代策も空回りし、最後は対応ミスで1ポイントを手離しました。ハーフコートマッチを見ていて気になったのは、ボックスの外でパスをまわしている間に、前線に張っている選手の動きが少なかったことです。誰かが上がったら誰かが引くというような連携があれば、チャンスを得られる可能性は高まったはずです。

76分までプレイしたマルク・ギウのタッチは、わずか10回。ペドロ・ネトは、ボックス内で1度も触っていません。負けた理由をまとめるなら、「持てる力を発揮する機会を得られない選手が多かった一戦」。次節のスパーズ戦では、連動性があるサイドアタックや、ダイレクトパスを効果的に使った中央突破など、この日はなかったプレイを見せてもらえればと思います。(マルク・ギウ/写真著作者/The White House トレヴォ・チャロバー/写真著作者/Timmy96)


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