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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Nottingham Forest×MAN.UTD】狙われた左サイド。アモリムは守備の課題を解決できるのか?

「昨シーズンまでなら負けていただろう。4月のボーンマス戦以来、ユナイテッドがビハインドから1ポイントを獲得したことはなかった」。そうですね。その通りです。「テレグラフ」のジェームズ・ダッカ―記者のようなポジティブな論調は大変ありがたいのですが、「オタクの子は、逆上がりができるようになったんですね!」といわれたような気分です。みんな、できますがな…。

そこにある事実は、「降格候補に何とかドロー」であって、マンチェスター・ユナイテッドが強くなった証とはいえません。ノッティンガム・フォレストは、直近のプレミアリーグ6試合で1ゴールしか決めておらず、現在のイングランドで最長となる18試合連続失点を続けているチームです。アンフィールドで勝ったチームなら、0-3とか0-4で楽勝だろうと高をくくっていました。

アンジェ・ポステコグルーの後を継いだショーン・ダイク監督は、ボーンマスとの初戦は2-0で完敗。どこをどう見ても、われわれが勝つ理由ばかりが転がっている一戦でした。キックオフからしばらくは、マンチェスター・ユナイテッドのペース。3分に右から突破を図ったエンベウモが折り返すと、シェシュコのダイレクトショットは惜しくも右に外れました。

8分に右からカットインしたエンドイェの強烈なミドルは、ラメンスが上に弾き出してCK。新たな守護神の堅実なセービングも、マンチェスター・ユナイテッドの戦績が好転した理由のひとつです。ドゥグラス・ルイスがムリーリョに異変を告げたのは11分。どうやら左足を痛めたようで、プレー続行不可能となり、イエーツが中盤に入りました。コイツです。やりやがったのは。

15分にドリブルで上がったマテウス・クーニャは、ボックス手前のシェシュコが空いたのを見て右足アウトで優しいパスを通しました。ストライカーの振り向きざまのミドルは、左にアウト。マンチェスター・ユナイテッドの前線は、シェシュコにボールを集められるようになっており、ブライトン戦のようなラッシュの期待感が高まった時間帯でした。

28分のアマド・ディアロのミドルは、セルスが右に飛んでセーブ。先制は34分、サヴォーナのドリブルがラインを割ったかどうかで物議を醸したCKからのゴールでした。ブルーノ・フェルナンデスが入れた柔らかいボールがファーに上がると、頭で合わせたのはカゼミーロ。シティ・グラウンドには、直前のジャッジに抗議するブーイングが鳴り響いています。

前半のマンチェスター・ユナイテッドは、シュート数は7対5で劣勢だったものの、まずまずの折り返しでした。問題は、後半の立ち上がりの守備です。フォレストの戦術はシンプルで、右サイドに展開してクロスを入れようとしています。48分、エリオット・アンダーソンが2本めのロングフィード。エンドイェが後ろにいたイエーツに預けると、クロスがファーに上がりました。

アマド・ディアロがギブス=ホワイトに競り負けてしまい、ヘディングシュートが右のサイドネットへ。1-1となった直後、右サイドのエンドイェからサヴォーナ、イエーツと後ろにつながり、2分前にクロスを入れたイエーツはエンドイェに戻しました。クロスはマテウス・クーニャの足に当たり、高く浮いて中央に落下しました。

イゴール・ジェズスと競ったのはデ・リフト、レニー・ヨロ、カゼミーロ。ボールはゴール前にこぼれ、ダロトより早く反応したサヴォーナが右足で押し込みました。あっという間に逆転されたマンチェスター・ユナイテッドには時間があったのですが、ヌーノが率いていたノッティンガム・フォレストは、自陣に引いてリードを守る展開に慣れているチームです。

56分に左から打ったダロトはブロックされ、流れてきたボールを直接叩いたエンベウモの一撃は、セルスの正面。60分にブルーノ・フェルナンデスのミドルが左のポストにヒットすると、詰めたカゼミーロのトーキックは右のポストすれすれに外れました。68分のカウンターで、ハドソン=オドイが中央から打てたのは、3バックの前に大きなスペースが空いていたからです。

アモリム監督は、ここでダロトに代えてドルグ。74分からのカゼミーロ、ブルーノ、マテウス・クーニャのミドル連打は、すべてブロックされています。ようやく追いついたのは81分。エンベウモのCKがファーに入り、カゼミーロの折り返しをミレンコヴィッチがクリアすると、ボックスの入り口にいたアマド・ディアロのスーパーボレーがネットに突き刺さりました。

2-2となった87分、右のアマドが中央のブルーノに預けると、ダイレクトの縦パスがマテウス・クーニャへ。狭いシュートコースの先には、セルスが待ち構えていました。1分後、左からカットインしたマテウス・クーニャがボックス左に転がすと、シェシュコの左足シュートはムリーリョに当たり、逆サイドに流れていきました。

アモリム監督が使った交代カードはドルグとマズラウィのみで、メイソン・マウントとザークツィーは追加タイムになってもベンチにいます。ラストチャンスは94分、左からのショートコーナー。ファーに出たボールをデ・リフトが頭で折り返すと、セルスのパンチは遠くに飛ばず、ボックス左のアマド・ディアロの足元に落下しました。

左足の鋭いボレーは枠にいったのですが、ゴールライン上にムリーリョとネコ・ウィリアムズがいて、CBが膝に当ててクリア。3連勝で6位に上がったマンチェスター・ユナイテッドは、無念のドローで2つ順位を落としました。最初の失点の原因となったアマド・ディアロは、同点ゴールでプラスマイナスをゼロにしたものの、最後が決まらずヒーローにはなれませんでした。

狙われた左サイド。同点ゴールのシーンでエリオット・アンダーソンが右に展開したとき、ダロトとマテウス・クーニャはエンドイェに着いており、後ろのイエーツはフリーでした。ゴール前に4人が入ったのを確認する余裕があったMFは、蹴る瞬間に頭を下げています。ギブス=ホワイトを狙ったのではなく、中央に入れれば紛れが起こると思っていたのでしょう。

逆転ゴールの原因は、左サイドのマークのずれです。ギブス=ホワイトのクロスが逆サイドに流れてエンドイェがキープしたとき、ダロトが中央に入ったため、サイドは2対3になっていました。慌ててブルーノが外に走ったのですが、ゴール前に向かったサヴォーナにルーク・ショーとマテウス・クーニャが着いていってしまい、再度キープしたエンドイェはフリーでした

中央に浮いた瞬間、サヴォーナの脇にいたダロトはボールウォッチャー。4人が競ったのを見て、前にこぼれたら決めようと動き出していたサヴォーナが勝つのは必然です。フリーの選手に2本のクロスを入れられたのは、対峙した相手を責任をもって止めようとする意識が薄かったマテウス・クーニャと、ポジショニングが曖昧だったダロトが原因でした。

今のスカッドでWBに攻守のバランスを求めるなら、マズラウィとルーク・ショーが適任なのでしょう。攻撃力が魅力のアマド・ディアロは守備となるとリスクで、ダロトを左サイドにまわしたのはルーク・ショーをCBで起用したいからです。リサンドロ・マルティネスが戻ってくれば、変わるのか。いや、クロスへの対応という課題は、WBの問題だけではないでしょう。

いずれにしても、ティンバーとカラフィオーリが走り回るチームや、リース・ジェームズとククレジャが要所を締めるチームには明らかに劣ります。先日、「テレグラフ」の記者が行った順位予想で最多だった6位は、妥当な評価なのでしょう。次節のスパーズには、クドゥスとブレナン・ジョンソンがいます。アモリムが相手を見て対策するとは思えず、苦しい展開になりそうです。


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