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【Arsenal×Tottenham】これぞ10番!エベレチ・エゼのハットトリックでアーセナルが4発快勝!

1909年から数えて198試合めとなるノースロンドンダービーは、アーセナルが84勝52分61敗でリード。直近の3シーズンはアーセナルが5勝1分と圧倒しており、スパーズはエミレーツでは14試合連続で勝利がありません。ハリー・ケインとソン・フンミンが去った今、ガナーズ戦でゴールを決めたことがあるのはクリスティアン・ロメロだけです。

2025-26シーズンの初戦は、スパーズにとって鬼門と化しているエミレーツ。首位を走るアルテタ監督のチームは、ギョケレス、カイ・ハヴェルツ、ウーデゴーア、ガブリエウを欠いています。アウェイチームもソランケ、ジェームズ・マディソン、クルゼフスキが不在ですが、宿敵からポイントを奪取できるでしょうか。さっそく、それぞれの先発メンバーを確認しましょう。

最前線にミケル・メリノを配したアーセナルは、エゼがトップ下の4-2-3-1でしょう。GKラヤ、DFティンバー、サリバ、インカピエ、カラフィオーリ。中盤センターはズビメンディとデクラン・ライス、2列めにサカ、エゼ、トロサール。対するトーマス・フランク監督は、3バックで速攻主体の戦い方に徹するようです。

GKヴィカーリオ、DFロメロ、ダンソ、ファン・デ・フェン。2センターはジョアン・パリーニャとベンタンクール、アウトサイドにジェド・スペンスとウドジェ。前線はクドゥス、オドベール、リシャルリソン。未だチームの戦術にフィットしていないシャビ・シモンズとコロ・ムアニは、ベンチスタートとなっています。

立ち上がりから左サイドを攻めるスパーズに対して、アーセナルはサリバが外に出て対応しています。最初の決定機は3分。トロサールが右サイドのサカに展開し、中央のエゼにパスが出ると、絶妙な浮き球がゴール前でフリーのデクラン・ライスに届きました。右足の強烈なボレーは、ヴィカーリオが足でセーブ。最初のCKは、ニアのティンバーが後方につなげずに終わっています。

これをきっかけに、アーセナルが中盤を支配する展開になりました。9分にボックスにふわりと浮かしたのはズビメンディ。ダンソのクリアが真上に上がり、左にいたトロサールがニアにいたミケル・メリノにつなぐと、左足のシュートはロメロが足に当てました。サカが右からFKを蹴ったのは18分。左隅に飛んだボールは狙い通りに落ちず、クロスバーの上を抜けていきました。

5-4-1で守るスパーズが前に出られないのは、アーセナルの前線に不用意なロストがないからでしょう。カットした瞬間に縦のコースを切られ、少しでも迷えば2人めが体を寄せてきます。30分過ぎのポゼッションは、ガナーズが69%。33分のサカのFKは、ヴィカーリオが右に飛んでセーブしました。均衡が崩れたのは36分。ミケル・メリノがラインの裏に出したパスが決め手でした。

右足のアウトでトラップしたトロサールが、振り向きざまに左足でシュート。ファン・デ・フェンに当たったボールが左のサイドネットに吸い込まれました。1-0となった41分、右サイドでトロサール、サカ、ティンバーとつながり、クロスのクリアをデクラン・ライスがカット。ベンタンクールとジョアン・パリ―ニャを一気に抜いたエゼが、強引にGKの脇を抜きました。

右手を弾かれたヴィカーリオは、拳を振り上げて激怒しています。ハーフタイムは2-0、シュートは8対0、オンターゲットは4対0。リシャルリソンのタッチは11回、オドベールは10回で、インカピエに守備のタスクはほとんどありませんでした。リードされる展開を想定していたはずのトーマス・フランク監督は、どんな策を用意しているのでしょうか。

タッチライン沿いでシャツを着ているシャビ・シモンズは、ダンソと代わるようです。新たな布陣は、4-2-3-1でしょうか。後半開始から30秒、右サイドの攻防でサカがオドベールから奪い、ティンバーが中に持ち込みました。最初の縦パスをカットされると、こぼれ球を拾って中央のエゼにラストパス。左隅を狙ったコントロールショットがサイドネットを揺らしました。

50分にデクラン・ライスが仕掛けたカウンターは、左から上がったトロサールのクロスがファーにいたエゼへ。コースに入ったロメロが頭で触らなければ、ハットトリックが決まっていたでしょう。ガナーズに初めてミスが出たのは55分。ズビメンディが自陣でジョアン・パリ―ニャに奪われ、こぼれ球に先着したリシャルリソンがラヤの頭上を越すロングシュートを決めました。

3‐1となってから、アーセナルの陣形が間延びし始め、スパーズの縦のフィードが通るようになっています。64分のシャビ・シモンズのミドルは、ラヤの正面。赤いシャツが全員自陣に引く時間が増え、前半とは別なゲームです。66分にオドベールとベンタンクールに代わって、パペ・マタル・サールとコロ・ムアニ。アルテタ監督に動く気配はありません。

72分、ウドジェを背負っていたサカが振り向きざまに放ったミドルは、ヴィカーリオが右に弾き出しました。インカピエのクリアを、デクラン・ライスがミケル・メリノにつないだのは76分。ゴールに背を向けてキープしたストライカーが左のトロサールに預けると、3人を引き付けたウインガーは中央で空いていたエゼに完璧なパスを通しました。

目の前でスリップしたウドジェをやり過ごした10番が、冷静に右に蹴り込んでハットトリック達成!アルテタ監督は、ここでトロサールを下げ、ノニ・マドゥエケをピッチに送り出しました。トーマス・フランク監督はジェド・スペンスとクドゥスに代えて、ペドロ・ポロとブレナン・ジョンソン。サカが敵陣でさらった79分のショートカウンターも、ビッグチャンスでした。

7番からパスをもらって右隅に打ったエゼは、ヴィカーリオのセービングを見て悔しがっています。88分にミケル・メリノとインカピエがお役御免となり、モスケラとヌワネリ。4分の追加タイムは、グーナーが選手たちを称える時間です。92分、カラフィオーリに代わってルイス=スケリー。ミッドウイークのバイエルン戦は、19歳が先発するのでしょう。

アーセナルが4‐1で快勝。2位チェルシーと6ポイント差、3位マン・シティとは7ポイント差となりました。アルテタ監督は、急造3バックはラインコントロールが弱点と読んでいたのでしょうか。最終ラインの裏を執拗に狙ったエゼ、ズビメンディ、ミケル・メリノの浮き球と、サイドから縦に突破せずボックスの手前にラストパスを集める攻め方は、チーム戦術だったはずです。

最初のゴールを生んだミケル・メリノ、プレー選択が的確だったトロサール、前線を自在に動かしたデクラン・ライス、デュエル7勝のサカも称えたいのですが、何といっても今日はエゼです。キャリア初のハットトリックとドリブル成功3回、チャンスクリエイト1回。地上のデュエルは、サカをしのぐ勝率75%です。久々に、パーフェクトな10番を見せてもらいました。

後半は巻き返したスパーズですが、それでもシュートは9対3、オンターゲットは4対2と劣勢でした。「3バックが空転」「相手をリスペクトしすぎた」と捉えるより、まだまだ発展途上で完成度と守備力の差が出たと見るのが妥当でしょう。ソランケとクルゼフスキが復帰し、シャビ・シモンズやクドゥスと連携できるようになれば、これほどの大差にはならないはずです。

アーセナルの次節はチェルシー、スパーズはフラムとロンドンダービーが続きますが、その前にチャンピオンズリーグの強豪との対戦が控えています。アーセナルはホームでバイエルン、スパーズはアウェイでパリ。それぞれ、今日と違う戦術とメンバーで臨むのではないかと思われます。勝ったチームも敗れたチームも、指揮官の采配と用兵に注目しましょう。


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