偏愛的プレミアリーグ見聞録

2024-25シーズンのプレミアリーグは、13節までで7勝3分2敗。リヴァプールに7ポイント差という厳しいポジションでした。しかし今季は9勝3分1敗で首位をキープ。アーセナルは、優勝争いの本命と目されています。ミッドウイークの14節は、エミレーツでブレントフォード。2位のマン・シティは昨日のフラム戦で勝っており、落とすわけにはいかない一戦です。

アルテタ監督は、サカとティンバーをベンチに置く大胆なターンオーバーを敢行しました。GKラヤ、DFベン・ホワイト、モスケラ、インカピエ、カラフィオーリ。中盤センターはズビメンディとデクラン・ライス、2列めにノニ・マドゥエケ、ウーデゴーア、マルティネッリ、最前線はミケル・メリノ。ギョケレスとエゼも、出番は後半のようです。

立ち上がりからポゼッションを取ったアーセナルは、左サイドを執拗に攻めています。5-3-2のブレントフォードは、ボールを奪うとすかさず前線にフィード。モスケラとインカピエにとっては、忙しいゲームになりそうです。5分のカヨデのロングスローには落ち着いて対応し、その後はノニ・マドゥエケが何度も縦の突破を図っています。

ベン・ホワイトがノニ・マドゥエケに預け、リターンをもらってゴールラインまで出たのは11分。正確なクロスが中央に上がり、ミケル・メリノがGKの足元に叩きつけてネットを揺らしました。アウェイチームの反撃をさばいた後、16分にウーデゴーアがノニ・マドゥエケにパスを通すと、クイックなダブルタッチから2人をかわして放ったシュートは、ケレハーがセーブしました。

ブレントフォードがゴールに迫ったのは、20分のCK。ヤネルトのキックをフリーで叩いたシャーデのヘッドは、ラヤが触ってクロスバーにヒットしました。ベン・ホワイトがノニ・マドゥエケに預け、縦パスがボックス右に出たのは27分。ヒールで中に入れたのは…カラフィオーリです。SBとともに右に流れていたマルティネッリは、シュートを浮かして悔しがっています。

37分、左のカラフィオーリからパスを受けたミケル・メリノが、すかさずオーバーラップしたデクラン・ライスにつなぎます。グラウンダーがファーに流れ、ノニ・マドゥエケが押し込むかと思いきや、必死に着いたリコ・ヘンリーが足に当てました。CKからの波状攻撃を止められた後、ボックス手前で奪い返したのはモスケラ。ゴール前に転がしたラストパスは秀逸でした。

ノニ・マドゥエケが打つ寸前にカットしたのは、またもリコ・ヘンリー。ここまで最終ラインを落ち着かせていたモスケラは、筋肉を傷めてしまったようです。44分に急遽、呼ばれたのはティンバー。ベン・ホワイトは変わらずサイドにいます。前半終了間際のロングスローにうまく対応したアーセナルは、1-0のままでハーフタイムを迎えました。

後半が始まり、ブレントフォードがギアチェンジ。速攻からCKという流れが4回ありながら、ことごとく活かせず、10分が過ぎています。2点めがほしいアーセナル。ウーデゴーアが下がりすぎると、前線が孤立します。58分にカヨデを抜いたマルティネッリは、グラウンダーが通らず。アルテタ監督は、61分にノニ・マドゥエケとマルティネッリを下げ、サカとエゼを投入しました。

ウーデゴーアが、右のベン・ホワイトに預けたのは65分。クロスをピノックがクリアし、デクラン・ライスが脇にいたカラフィオーリの足元に転がすと、右足のシュートはケレハーが右に飛んでセーブしました。詰めたミケル・メリノの転倒はノーファール。69分のデクラン・ライスのミドルをケレハーが左に弾くと、ミケル・メリノのタッチは右に逸れてしまいました。

82分にピッチに座り込んだデクラン・ライスは、足首を指差しています。代わって入ったのはギョケレス。自分で出したロングフィードを追って、スライディングで奪うというミラクルを披露したミケル・メリノが中盤に下がるのでしょう。ウーデゴーアの素晴らしいパスが、トップ下にいたカラフィオーリに通ったのは89分でした。

ドリブルで持ち込んだSBがファン・デル・ベルフを抜いて放ったシュートは、ケレハーがセーブ。こぼれ球に左足を出したサカはうまくタッチできず、体勢を立て直したGKがキャッチしました。91分、ミケル・メリノのスルーパスがサカへ。ダムズゴーをかわして放ったシュートにケレハーは触ったのですが、高く浮いたボールはバウンドしてゴールラインを越えました。

追加タイムを悠々と消化したアーセナルが2‐0で勝利。プレミアリーグでのクリーンシートは、早くも8つめです。最大のハイライトはベン・ホワイトのクロスからの先制ゴールで、最大のターニングポイントはシャーデのヘッダーに触ったラヤのビッグセーブでしょう。ストライカーとしてゴール、セントラルMFとしてアシストのミケル・メリノに拍手です。

絶好調のアストン・ヴィラとのアウェイゲームが目前というタイミングで、モスケラとデクラン・ライスを失ったら激痛です。サリバが間に合わなければCBはティンバー、中盤はミケル・メリノがカバーすることになりそうです。ミケル・メリノのパスワークは41番の穴を埋めてくれそうですが、信じられない運動量は代えが効かないでしょう。

彼らの状態については、指揮官のコメントを待ちましょう。最後に2つだけ。ベン・ホワイトはこれでもサブなのか…とたじろいだことと、ウーデゴーアは「キラーパス出すぞ出すぞ」のスイッチをオフにして、自らゴールに向かうシーンを増やしてもらえればと思ったことを残しておきたいと思います。ここまでは順調。週末の一戦は、今後の展開を左右する重要なポイントです。（ミケル・メリノ　写真著作者/Chensiyuan）