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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Arsenal×Wolves】オウンゴール2発で勝ったアーセナル、最下位に苦戦した理由は心身の消耗…?

アーセナルの最終ラインに、ウィリアム・サリバが戻ってきました。プレミアリーグ16節、エミレーツに乗り込んできたのは最下位ウルヴス。ホームチームのベンチには、ウーデゴーアやルイス=スケリー、ノニ・マドゥエケとともに、トロサールの姿もあります。イエロー5枚でサスペンデッドのカラフィオーリの代役は、インカピエのようです。

GKラヤ、DFベン・ホワイト、ティンバー、サリバ、インカピエ。MFズビメンディ、デクラン・ライス、エゼ、FWサカ、ギョケレス、マルティネッリ。開始2分に左サイドから蹴ったデクラン・ライスのFKは、低い弾道となってニアでクリアされました。ロブ・エドワーズ監督のウルヴスは、奪ったボールをすぐにサイドに展開しています。

7分のCKから左右につないだ二次攻撃から、ズビメンディのパスを受けたサカが中央にクロスをフィード。フリーだったティンバーのヘッドは、クロスバーを越えていきました。サイドアタックを繰り返すアーセナルは、ボックスの左右へのスルーパスが通らず、シンプルなクロスはことごとくクリアされています。左サイドに張っているマルティネッリは、ボールをもらえません。

サカが縦に突破したのは17分。右足のクロスに競り勝ったデクラン・ライスのヘッドは、サム・ジョンストンが悠々とキャッチしました。26分にゴールライン際に侵入したサカは、ニアに入ったベン・ホワイトへのボールをカットされています。1分後のロングスローから、ズビメンディがラインの裏に出した浮き球をクリアされると、ウルヴスのカウンターが発動しました。

最終ラインが全員上がっており、裏を取ったファン・ヒチャンはフリーです。右からファーを狙ったシュートは、ラヤがセーブ。必死にスプリントしたベン・ホワイトは、ハムストリングを痛めてしまったようです。ベンチに向かって歩く姿を見る限りは、重傷ではなさそうですが…。代わって入ったのはルイス=スケリー。インカピエは、サリバの脇に入っています。

33分のデクラン・ライスのCKは、ドライブがかかってファーのマルティネッリへ。ノーマークだった11番のヘッドは、逆サイドに流れてしまいました。ガブリエウやティンバーなら、おそらく決めていたでしょう。37分のチャンスも、右サイドから。サカのきわどいグラウンダーにギョケレスは触れず、マルティネッリが左足で合わせたボールは、ドハーティーが足に当てました。

追加タイム2分、速攻の起点はジョアン・ゴメス。左サイドのメラー・ウォルフェがグラウンダーを入れると、ストランド・ラーセンに着いていたインカピエがスリップしますが、すぐに体勢を立て直してシュートをブロックしました。前半は0-0、ポゼッションは74%対26%、シュートは6対2、オンターゲットは0対1。ここまでのアーセナルは、今季最低のパフォーマンスです。

5-5のブロックでスペースを埋められ、ギョケレスとエゼを活かせない展開。ウナイ・エメリのチームのようにミドルレンジから積極的に打っていけば、ゴール前で紛れが起こるのではないでしょうか。多様なアイデアがあるエゼを左にまわし、ウーデゴーアをトップ下に入れるなどの工夫が必要でしょう。既に1枚使っているアルテタ監督は、動かなかったようです。

49分、右から仕掛けたサカがボックスに転がすと、ティンバーはクロスをミス。ドハーティーに封じられていたマルティネッリがドリブルで突破したのは、57分でした。ゴールの左脇からファーを狙った一撃は、ポストの外。この直後、アルテタ監督が3枚代えを敢行しました。エゼ、マルティネッリ、ズビメンディが下がり、ミケル・メリノ、トロサール、ウーデゴーアです。

59分のファン・ヒチャンのスライディングがイエローで済んだのは、ルイス=スケリーがうまくかわしてくれたからでしょう。66分のデクラン・ライスのFKは、サム・ジョンストンが指先でセーブ。68分に左サイドでキープしたトロサールが股抜きのパスを通すと、左隅に打ったデクラン・ライスのシュートはGKが左に弾き出しました。

70分のサカのCKは、狙っていたのでしょうか。ポストを叩いたボールがサム・ジョンストンの頭に当たり、ゴールに飛び込んで1-0。72分の速攻から、デクラン・ライスが左に送ったラストパスはトロサールにぴったりでしたが、負傷が癒えた19番は珍しく体勢を崩して打てませんでした。75分にトロサールのクロスを受けたギョケレスは、アグバドゥを背負っています。

振り向きざまの左足シュートは、右ポストすれすれを抜けていきました。79分のウーデゴーアのミドルは、バーの上にアウト。81分にギョケレスと代わったジェズスは、11ヵ月ぶりのプレミアリーグです。サカ、ウーデゴーア、トロサールと左につながったのは83分。中に持つと見せかけてニアに打ったクレバーなシュートは、外からサイドネットです。

残り5分からウルヴスのアタックを受け続けたのは、心身が消耗したからでしょう。ボールに対する出足が遅く、左右からのクロスとボックスへの縦パスで翻弄されてしまいました。90分にクロスを入れたマテウス・マネはフリーです。インカピエはアロコダレにヘッダーを許し、ど真ん中に飛んだボールにラヤは逆を取られてしまいました。

追加タイムは6分。プレミアリーグ史上最悪の2分13敗のチームに、ホームでドローは激痛です。サカが右からクロスを入れたのは94分。ジェズスと競ったモスケラの頭に当たったボールが、左隅に飛び込んでしまいました。デクラン・ライスの目が笑っていなかったのは、自分たちのパフォーマンスを認めていなかったからではないでしょうか。

アーセナルが、まさかのオウンゴール2発で辛勝。シュートは16対3、しかしオンターゲットは2対2のイーブンです。納得のパフォーマンスといえるのは、サカとデクラン・ライスのみでしょう。2つのオウンゴールを生み出した右サイドのレフティは、チャンスクリエイト4回、ドリブル成功3回、クロス成功5本、デュエル10戦全勝と別世界でした。

ノースロンドンであえいでいたチームは、バイエルンを3‐1で屠ったチームとは別な集団に見えました。ズビメンディのパスは足元、足元で、エゼが繰り出すボールは味方と合わず、ギョケレスを活かそうという意志が感じられたのはサカとトロサールだけでした。スパーズ、バイエルン、チェルシーと続いた激動の8日間が、体力、気力、注意力を蝕んだのだと思われます。

ベン・ホワイトが前半でピッチを離れ、今季プレミアリーグで20回めの負傷交代。2位のボーンマスの14回を大きく引き離すワーストです。次節のエヴァートン戦は、久々の中6日。貴重な時間をうまく活用して、選手たちをいかにリフレッシュするかが問われます。グディソン・パークの一戦は、夏に9人が加わったスカッドの底力が感じられる勝利を期待しましょう。


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