最後に待っていた極上のジャイアント・キリング。ウィガン、FAカップ制覇!
マクマナマンが獲ったCKを右から蹴るのはマロニー。速いボールがニアに入り、そこにいたのは交代で入ったベン・ワトソン。今シーズンは、11月11日のリヴァプール戦でラヒム・スターリングと接触して骨折。長期離脱を強いられ、チームの苦戦を横目で見ながら懸命のリハビリを続け、やっと戻ってきたばかり。背番号8と若い番号を背負いながらも、ウィキペディアには記事がUPされてない、つまりはそのくらいの知名度とインパクトの選手です。しかしこのCK、あまりにもボールがドンピシャで、あまりにもワトソンが完璧でした。角度を変えたヘディングシュートは、GKジョー・ハートが伸ばした手の上を越え、ゴール左隅に吸い込まれます。91分、ウィガンが先制!追いつこうにも時間がなさすぎたマンチェスター・シティはなすすべなく、何とウィガンがFAカップ初優勝!アーセナルがブラックバーンに、トッテナムがリーズに、リヴァプールがオールダムに屠られ、チャンピオンシップ(2部相当)20位のミルウォールがベスト4に進出するなど、ジャイアントキリングが続出した今シーズンのFAカップらしい、大番狂わせのフィナーレでした。
それにしても、なぜマンチェスター・シティは敗れなければならなかったのか。点を獲られたことよりも、点を奪えなかったことのほうが気になります。テベスやナスリが好調で、ロドウェルもケガから復帰し、7日のプレミアリーグでスタメンを外したダヴィド・シルヴァとアグエロ、ギャレス・バリーを満を持して投入するなど、チームコンディションは悪くなかったはずです。にもかかわらず、前半はウィガンの勢いに押されるシーンが目立ち、サバレタもクリシーもコンパニも、マクマナマンひとりに翻弄されてしまい、後半は引いて守るウィガンに対してついぞ効果的な攻撃を仕掛けることはありませんでした。一発勝負の怖さ、といってしまえばそうなのでしょうが、打開策はなかったのか、と思います。今季は結局、無冠。「この3年間でプレミアリーグもFAカップも制し、今季も2位なのになぜ批判されるのか」とうそぶいていたマンチーニ監督のクビもかなり怪しくなってきました。チャンピオンズリーグで2年続けてグループステージで姿を消すなど、ここいちばんでの弱さをまたもや露呈したイタリア人監督は、来季、この地に戻ってこられるのでしょうか。
そうでした。あまりにも大きなサプライズに、大事なことをいうのを忘れていました。ウィガンのみなさん、そしてサポーターのみなさん、FAカップ優勝おめでとうございます。7年前のリーグカップ決勝の無念を晴らす、最高の勝利でしたね。クラブとして初めてのメジャータイトルを、近隣のライバルからもぎ取ったことにも感慨深いものがあるでしょう。そして数日前、「勝ち目がない」などと書いてすみませんでした。FAカップについては、予想を外しまくって謝ってばかりですが、本日は、今季、最も深くお詫びをさせていただきたいと思います。ほんとうにごめんなさい。いや、素晴らしい!
喜びもつかの間、ウィガンは14日、残留をかけてアウェイでアーセナルと戦います。残り2試合のうち、どちらかは勝たないと降格が決まるという正念場。中2日という厳しいスケジュールのなか、今回の優勝で波に乗るのか、疲れが押し寄せエミレーツに集まったグーナーを喜ばせてしまうのか。名誉あるFAカップの覇者であり、プレミアリーグ昇格後の7年で15位1回、16位2回、17位1回ときわどいところをすり抜けてきた名脇役(?)に、来季もその雄姿をトップリーグで観たいと願うのは私だけでしょうか。悲劇か、歓喜か。こちらの結末も気になるところです。
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