パス成功率、ポゼッション、ゴール率、途中交代、失点…レスターの強さを物語る10の数字
さて、奇跡的な優勝に迫っているレスターについて、さまざまなメディアがおもしろい数字を取り上げています。レスターの公式Twitterは、ラニエリ監督のチームは20勝のうち18勝を相手よりも低いポゼッション率で勝っていると紹介。「squawka」は、パス成功率71%はプレミアリーグ最下位、ポゼッション率46%はサンダーランドとWBAに次ぐ下から3位と報じています。本ブログでは、以前にもレスターのパス成功率が最下位だとお伝えしたことがあるのですが、ラニエリ監督と選手たちはブレずに自分たちのサッカーを徹底しているようです。自陣でボールを奪取したら、すかさず前線へ展開する。ヴァーディやマフレズが走ったら、多少無理でも長いパスを送る。サッカー選手は、ボールが出て来なくなるとだんだん走らなくなるものです。レスターの強さを支えている最大のポイントは、パス成功率やポゼッション率が極端に下位に触れているぐらいチーム戦術が浸透していることでしょう。
さらに、個々の選手について見ていきます。数字がいちばんおもしろいのは、リヤド・マフレズです。プレミアリーグ32試合出場で16ゴール11アシストと、両部門で2ケタを記録している唯一の選手。ファールを受けた回数70は、クリスタル・パレスのザハの81に次いで2位。これだけでも、「フィニッシュもお膳立てもできて、ドリブルがうまい危険な選手」というアルジェリア代表MFのキャラクターを語るには充分ですが、彼にはもうひとつ素晴らしいデータがあります。「プレミアリーグのゴールランキングTOP20のなかで、最もゴール率が高い選手」。シュート57本に対して16ゴールは28%で、サンダーランドのデフォー、ニューカッスルのワイナルドゥムをかわして堂々の1位。ここでは4位にジェイミー・ヴァーディも入っており、パス成功率が低いレスターが、ひとたび通るとどれだけ高い確率で相手を絶望させてきたかがわかります。
そしてもうひとつ、このチームには興味深い数字があります。これは、選手というよりラニエリ監督にまつわるものでしょう。「途中交代数のTOP3が全員レスター」。岡崎慎司が21回、オルブライトンとマフレズが20回。「骨は拾うからとにかく前から追いかけてくれ」とチェイシングさせ、疲れた選手から代えていくという偉大なるワンパターンが徹底されていることは、ウジョアが途中出場20回で1位、アンディ・キングの14回が5位という逆サイドの数字からも窺えます。この伝統芸能的交代策は、選手に疲労を残さない効果と、後から入る選手が役割を理解しているために交代による混乱が小さいという面もあるのではないでしょうか。現在のレスターのクオリティは、指揮官がめざすサッカーを全員で繰り返し反復してきた成果なのだと思います。
レスターの強さについて、まとめましょう。4-4-2、カウンター主体のリアクションサッカー。前線からしつこくチェイシングをかけ、カバーリングを徹底して守るため、最終ラインにいく手前のカンテとドリンクウォーターのところでボールを奪える機会が多く、カンテはタックル数でプレミアリーグNo.1、インターセプトは2位。中盤で捕まえられなくても、スペースを消すことを徹底している最終ラインは横からのボールに強く、特に年明け以降はヘディングで簡単に決められることはほとんどありませんでした。ラインが低いため、カウンターから裏を取られてGKと1対1になるシーンは稀で、プレミアリーグ32節のセインツ戦ではマネとシュマイケルが向き合ったものの、同じようなピンチがその前にいつあったかは思い出せません。後半戦の14試合を失点わずか6で切り抜けた守備力が、トッテナムとアーセナルを引き離した最大の強みであり、ピザでやる気にさせないといけないほど序盤戦は失点が多かったチームを整備したラニエリ監督のお手柄です。
カンテやドリンクウォーターはもちろん、後ろの選手もボールを奪うとすぐに前にフィードする姿勢が定着しており、ボールをまわさずヴァーディやマフレズに一発で長いボールがいくのが、レスターのパス成功率が低い理由でもあります。奪取したら近くにいる選手を使うか、DFを背負っている岡崎慎司に出すことが多いのがカンテで、ロングフィードをより好むのがドリンクウォーターと、ここはタイプの違い。少人数同士のカウンターが多いので、頻度こそ少なくても相手をかわせれば即、決定機です。自分で持ち込むのが好きなヴァーディのシュート数85本は、ハリー・ケインの104本に次ぐ2位。マフレズのほうは本拠地が右サイドでゴールから遠く、ドリブル突破が厳しいと見るやヴァーディに打たせるのでシュート57本とやや少なめな一方で、ゴールもアシストも同時に積み上げていったのです。
岡崎慎司は前線で相手のパスコースを狭める仕事に持ち味を発揮し、空いたスペースに入り込むのが役割。オルブライトンとともに上下動が激しいので、後半も15分を過ぎると、揃ってウジョアやキングに後を譲ります。片や上下動が少ないCBがスペースを空けたり縦に抜かれたりして混乱するシーンはほとんどなく、リードさえ奪えばデマライ・グレイかネイサン・ダイアーを継ぎ込んでゲームを畳むのも、ラニエリ監督の常套手段です。
カップ戦も含めて、レスターの全試合を観てきたので、それなりに彼らのよさがわかるようになりました。おもしろいですね、このチームは。できれば来季のチャンピオンズリーグには、このまま出てほしいのですが…。寒いロシアであっさり負けた次戦に、バルセロナ相手にアウェイで引き分けてしまう、などというおもしろいことをやってくれるような気がしてなりません。プレミアリーグに優勝したら、ポッド1に入るので、強豪国と対戦する可能性が少なくなります。ガチンコメンバーのプレミアリーグではアーセナルとリヴァプールにしか負けていないレスターは、相手が強くても苦にしないで戦えそうなので、ポッド1はいいことばかりでもないような気もしますが…。
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レスターの試合を観ているとスピーディでアグレッシブ。ほんとに選手たちの迷いの無さを感じます。こうやれば勝てるんだと自信満々。
シメオネ率いるアトレティコもハイプレスとカウンター戦術でスペイン二強を打ち破ったと言われていますが、レスターとプレースタイルが似ているのでしょうか。ラニエリ監督のおっさんジョーク&手腕に脱帽です。
レスターについては本当に戦術が徹底されていますよね!最近、ご存知かもしれませんがwhoscored.comというサイトが面白く、レスターについて研究しました。
現時点個人スタッツで上位に出てくるのは勿論マフレズ、カンテ、ヴァーディーの3選手なのですが、チームスタッツで特筆した点を自分なりにまとめてみました。全て1試合平均です。
Aerial won pg 空中戦制覇 4位
Interception pg インターセプト 1位
Tackles pg タックル 2位
Fauled pg 下から2位(ファールもらわない)
これを見るとカウンターのチーム戦術が徹底され、空中戦に勝ち、タックル、インターセプトでボールを奪い、ファールを出来るだけもらわないので怪我をしないということかと考えます。本当にチーム戦術の徹底ぶりが如実に出ていると思います。
来期、出来ればこのメンバー中心でチャンピオンリーグの戦い観てみたいです!
だしまるさん>
アトレティコのほうがプレスの重要性が高く、前で獲れる印象はありますが、共通項はあるでしょうね。
ヤンガナ大好きさん>
貴重な情報をありがとうございます。そうなんですよね。来季、できればこのまま欧州に行ってほしいのですが…。