偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ2023-24シーズンも、残り3週間となりました。われわれファンにとって、4月はせつなさと歓喜が入り混じる季節です。プレミアリーグ勢の欧州戦線は、ECLでセミファイナルに進出したアストン・ヴィラのみとなりました。欧州の国別ランキングでTOP2に入り、来季のCLの5枠めを獲得するチャンスは1％といわれています。

リーグを見渡すと、ノースロンドンダービーを制したアーセナルのTOP4が確定。トッテナムが敗れた瞬間にマン・シティも決まりで、全敗しても得失点差でスパーズを上回れそうなリヴァプールも当確といっていいでしょう。チャンピオンズリーグ出場権を争うバトルは、ウナイ・エメリ率いるヴィラとポステコグルーのスパーズの一騎打ちです。

チェルシー、リヴァプール、マン・シティを残しているスパーズは、19位バーンリーと最下位シェフィールド・ユナイテッドに勝てば6位以内が確定。不安定なマンチェスター・ユナイテッドに捲られる心配は不要でしょう。バーンリー戦のドローで4位の可能性がなくなったテン・ハフのチームは、FAカップでペップに勝てばELはOKですが、現実的な目標は6位キープです。

下位に目を向けると、ルートンがウルヴスに負けたため、エヴァートンとブレントフォードが残留決定。ノッティンガム・フォレスト、ルートン、バーンリーがひとつしかない椅子を争っています。最下位シェフィールド・ユナイテッドを残しているノッティンガム・フォレストが有利ですが、まさかの敗戦となれば、最終節はバーンリーとのアウェイゲームです。

さて、注目の優勝争いは、リヴァプールが直近4戦を1勝1分2敗で脱落し、アーセナルVSマン・シティのマッチレースとなっています。80ポイントで首位に立つアーセナルの残り3試合は、ボーンマス、マンチェスター・ユナイテッド、エヴァートン。1ポイント差で2位のマン・シティは、ウルヴス、フラム、トッテナム、ウェストハムと戦います。

1試合消化が少ないペップは、4連勝なら4連覇。アルテタが全勝なら、3勝1分で並んでも得失点差でアウトでしょう。つまり、この対決は、ひとつでもポイントを落としたほうが負けとなるチキンレースになる可能性大。それぞれ注目のゲームをひとつ選ぶなら、マンチェスター・ユナイテッドVSアーセナルと、トッテナムVSマンチェスター・シティでしょう。

今季の数字を俯瞰で見ると、よりチャンピオンにふさわしいのはアーセナルです。85ゴールは最多、28失点は最少で、得失点差57はマン・シティを7つも上回っています。ビッグ6との直接対決も、アーセナルは5勝4分と無敗続行中。マン・シティは2勝6分1敗で、マンチェスターダービー以外は勝利がありません。

「アーセナルは2試合を終えた全チームに1勝1分」「マン・シティはトッテナム・ホットスパー・スタジアムのプレミアリーグで未勝利で、今季はロンドン勢に4分1敗と勝利なし」。この法則を機械的にあてはめれば、アーセナルはオールド・トラフォードでドローとなり、ペップはスパーズに負けて3勝1敗でも優勝です。いや、しかし、実際はそんな計算通りにはならないでしょう。

3月以降のプレミアリーグで2勝4分2敗と不振のマン・ユナイテッドは、リサンドロ・マルティネス、ヴァラン、ルーク・ショー、リンデロフが間に合っても、今のガナーズに勝つのは難しそうです。8試合の総失点は15、FAカップのコヴェントリー戦は世が世なら5失点。左サイドがダロトとガルナチョなら、サカ、ウーデゴーア、ベン・ホワイトを止められるとは思えません。

一方、ノースロンドンダービーのスパーズを見る限り、3連覇の絶対王者といえども相当苦しめられるはずです。ペドロ・ネト、セメド、スターリング、コール・パルマー、ロドリゴ…ペップが苦戦したゲームの多くは、サイドからの速攻でやられています。敵地で0-1で勝った1月のFAカップ4回戦は、ソン・フンミンは不在で、途中出場のジェームズ・マディソンは復帰戦でした。

TOP4をめざすスパーズが獰猛にプレスを仕掛けてくれば、息が詰まるような激戦となる可能性が高まります。アーセナルのアウェイは、満身創痍のテン・ハフのチームのみ。ホームでは無敗のマン・シティは、中2日のロンドン連戦となるフラムとスパーズを残しています。過去のデータから予想するなら、「ペップは2強の優勝争いで全勝」です。しかし、難敵とのアウェイゲームがないアーセナルが実は有利…？