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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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グリーリッシュは落選…プレミアリーグの現状が映し出されたイングランド代表に思うこと。

長年に渡って主軸として活躍してきたハリー・ケイン、ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、トリッピアー、ピックフォードは、予想通りの選出。ベリンガム、コール・パルマー、サカ、アンソニー・ゴードンといった次世代を担うU-23も、当然のように名を連ねています。ユーロ2024で優勝をめざすイングランド代表が確定しました。

段階的にメンバーを絞ってきたサウスゲート監督は、最後にクアンサーを諦めてドイツへのフライトのリストを仕上げました。これまでのチーム作りで「お気に入り重視」「保守的」と非難されてきた指揮官は、直近の実績とコンディションを重視したのでしょう。ラスト7戦を6勝1分けで駆け抜けたクリスタル・パレスから、グエイ、エゼ、ウォートンを抜擢しています。

最終リストと落選したメンバーを見比べると、サウスゲート監督の下で初めてワールドカップに出場した2018年から、これほどメンバーが充実したのかと絶句します。ペップが初優勝を遂げた2017-18シーズンに、プレミアリーグで10ゴール以上を決めたのは、ハリー・ケイン、ジェイミー・ヴァーディー、スターリング、グレン・マレー(既に35歳)だけでした。

対して2023-24シーズンは、22発のコール・パルマーを筆頭に、フォーデン、ソランケ、オリー・ワトキンス、ボーウェン、サカ、エゼ、アンソニー・ゴードンと8人に倍増。この素晴らしい面々に、ブンデスリーガで36発のハリー・ケインとラ・リーガで19発のベリンガムがかぶさってくる盛況ぶりです。ラシュフォードの落選を嘆く人はいても、驚いた人はいないでしょう。


■GK
ディーン・ヘンダーソン(クリスタル・パレス)、ピックフォード(エヴァートン)、ラムズデール(アーセナル)
■DF
ルイス・ダンク(ブライトン)、ジョー・ゴメス(リヴァプール) 、グエイ(クリスタル・パレス)、コンサ(アストン・ヴィラ)、ルーク・ショー (マンチェスター・ユナイテッド) 、ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)、トリッピアー(ニューカッスル)、カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)
■MF
アレクサンダー=アーノルド(リヴァプール)、コナー・ギャラガー(チェルシー)、メイヌー(マンチェスター・ユナイテッド)、ウォートン(クリスタル・パレス)、デクラン・ライス(アーセナル)、ベリンガム(レアル・マドリード)
■FW
ボーウェン(ウェストハム)、エゼ(クリスタル・パレス)、フォーデン(マンチェスター・シティ)、アンソニー・ゴードン(ニューカッスル)、ハリー・ケイン(バイエルン)、コール・パルマー(チェルシー)、サカ(アーセナル)、イヴァン・トニー(ブレントフォード)、オリー・ワトキンス(アストン・ヴィラ)


最終ラインは経験値とユーティリティーを考慮した人選で、SB専任はトリッピアーのみ。前線と中盤は、25歳までのヤングパワーがその上の世代を押しつぶした感があります。中盤を仕切るのは、プレミアリーグでMVPを争った25歳のデクラン・ライスと24歳のフォーデン、レアル・マドリードで猛威を奮ったベリンガム、得点王に迫ったコール・パルマーといった顔ぶれです。

彼らに弾き飛ばされたのは、29歳のスターリング、28歳のグリーリッシュ、カルヴァン・フィリップス、27歳のジェームズ・マディソン。デル・アリは、話題にもなりませんでした。この世代で残った前線の選手は、オリー・ワトキンスとボーウェン。エリート路線に乗れなくても、中堅クラブでエースとして実績を積めばチャンスはあると証明した2人は、多くの選手たちの希望になりえる存在です。

指揮官のチョイスにツッコミを入れるなら、「ソランケよりイヴァン・トニー?」「ブランスウェイトよりルイス・ダンク?」でしょうか。ボーンマスで19ゴールのソランケは、プレミアリーグ2023-24シーズンの走行距離ランキングで唯一、FWでランクインしており、勝っている試合の終盤のチェイシングでも力を発揮してくれるはずです。

ルイス・ダンクを優先したのは、経験値とビルドアップの能力ということでしょうか。現地ではもうひとり、グリーリッシュの選外が議論になっているようです。ああ、グリーリッシュ。2週間ほど前に、「出場機会が減ったグリーリッシュはイングランド代表に残れるのか?」と題した記事を書いたのですが、やはりダメでしたか…。

「アスレティック」のオリヴァー・ケイ記者は、マン・シティの10番の落選について「驚くべきことではない」「普段から謙虚な発言が多い彼はショックといっているが、この結末を覚悟していたはず」といっています。ヴィラのキャプテンだった2020-21シーズンは、90分あたりのドリブル成功が2.67回。ユーロ2020の選出と活躍は、当然のことのように語られていました。

しかし昨季は、90分あたりで1.61回。3.03のエゼ、1.79のコール・パルマー、1.65のアンソニー・ゴードンを下回っています。イングランド代表でのゴールは、5-0で勝ったアンドラ戦の5点めと、6-2圧勝のイラン戦の6点めだけで、前回のユーロのドイツ戦以外に「彼のゲーム」といえる勝利はありません

これまでの代表戦でインパクトを残せず、プレミアリーグでは3ゴール1アシストで、ペップに集中力の欠如を非難されるようでは、残す理由を見出せなかったのでしょう。マン・シティですべてを得てしまったグリーリッシュと、マン・ユナイテッドで何も得られなかったサンチョは、真価を発揮できないまま代表でのキャリアを終えてしまったのかもしれません。「縁がなかった」というべきか…。


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“グリーリッシュは落選…プレミアリーグの現状が映し出されたイングランド代表に思うこと。” への1件のコメント

  1. アイク より:

    オフシーズンも毎日楽しませてくださり、ありがとうございます。味わい深いお話です。

    ホームグロウンとリーグの繁栄が噛み合うとこんな凄いことになるんですね。ほぼプレミアオールスターです。何かおかしいんじゃないかと思うくらい豪華です笑
    海外から招聘された代表クラスの選手がしのぎを削り、ユース上がりを試すには過酷すぎるリーグに見えます。多くの名将たちが挑戦しては去っていきましたが、激戦の中で若手に賭けてきた監督達の顔がしのばれました。

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