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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

変化を志向するアーセナルと継続性重視のリヴァプール、今後の補強は?そして勝つのはどっち?

リヴァプールVSアーセナルが開催されたのは、フィラデルフィアのリンカーン・フィナンシャル・フィールド。ユーロ2024とコパ・アメリカで上位に進出した国の主力は不在で、ファン・ダイク、アーノルド、マック・アリスター、サカ、サリバらの姿はありません。MVPは文句なしで、ハーヴェイ・エリオット。2-1の勝利を演出した美しいスルーパスと浮き球は完璧でした。

ガブリエウ・ジェズスが復帰したため、カイ・ハヴェルツは左のインサイド。豊富な運動量で攻守ともに貢献度が高く、ウーデゴーアのラストパスのコースを変えたワンタッチゴールは見事でした。ギョケレスとミケル・メリノが加わったら、彼はどこに入るのでしょうか。的確なフィードが目立ったジンチェンコは、カラフィオーリにポジションを奪われてしまうのでしょう。

アーセン・ヴェンゲルなら、新戦力獲得は最小限に留め、ファビオ・ヴィエイラやスミス・ロウの復活を促すのではないかと思われます。カイ・ハヴェルツやキヴィオルを見ていると、パーフェクトを求めるエドゥとアルテタの貪欲さにため息がこぼれます。負傷以来、ゴールが激減したジェズスの代役獲得はともかく、中盤とDFは現有戦力でOKとする監督のほうが多いでしょう。

対するリヴァプールは、このままで開幕に突入するのかとハラハラします。後半から登場した遠藤航は、持ち味と限界が同居していました。サイドが危険な状態になると、すかさずチェックしにいくあたりは、彼の真骨頂。的確にスペースを埋め、ボールをシンプルにさばき、ゴール前でシュートコースをカットするMFへのオファーを拒否した経営ボードの判断は妥当でしょう。

ただし、攻撃時の貢献度という観点では、もの足りなさが残ります。決定的なシーンを創る前線へのフィードがなく、シュートレンジに入るシーンも数えるほどで、スペースを使う動きはありません。ワイナルドゥムやファビーニョのプレイに歓喜したレッズサポーターのなかには、なぜアンカーを強化しないのかと焦れている人も少なくないはずです。

現地メディアの記者のなかには、「遠藤航とフラーフェンベルクは、カイセドとラヴィアの獲得に失敗したための急場しのぎだったのではないか?」という声もあります。マック・アリスターとショボスライは本職のアンカーではなく、バイチェティッチも計算できる状態ではありません。チアゴの引退を受けて、6番だけはすぐに強化すると思っていたのですが…。

ユルゲン・クロップという偉大な存在の後を継いだスロット監督は、自らの目で選手たちの力量や適性を判断し、必要なポジションを補強しようとしているのでしょう。その意図は、理解できます。しかし、残された時間は充分とはいえません。プレミアリーグの開幕まで2週間、デッドラインデーまで4週間。時間が経てば経つほど、交渉の難易度は高まります。

今のエドゥSDとアルテタ監督なら、左サイドのロバートソンとツィミカスも検討の対象にするかもしれません。ジョー・ゴメスをフルバックで起用するケースも想定すると、CBももう1枚ほしいところです。マイケル・エドワーズCEOとリチャード・ヒューズSDが課題を放置することはないだろうと思いながら、他クラブからのオファーばかりが話題になる現状に不安を覚えます。

一方、アーセナルの今季の完成形は、「ギョケレスとミケル・メリノを獲得して、エンケティア、トーマス、リース・ネルソン、キヴィオルを売却」でしょうか。ここまでいったら、「本気でプレミアリーグとチャンピオンズリーグのダブルをめざすのか」とテンションが上がります。状況次第で、ティアニーや冨安健洋、ジンチェンコを手離すという判断もあるかもしれません。

変化を志向するノースロンドンは、いよいよ頂点に立つのか。継続性重視のマージーサイドは、優勝争いに食い込めるのか。そして、エデルソンやフリアン・アルバレスに移籍の噂がある王者は、これから即戦力を獲りにいくのか。静と動のコントラストが鮮やかな夏。2024-25シーズンのプレミアリーグは2強か、3強か、あるいは…。


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