イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

カウンター激減、守備は混乱…フレン・ロペテギはモイーズに慣れたウェストハムを変えられるのか?

ベンチに深々と腰を沈め、無表情で劣勢の自軍を見つめるフレン・ロペテギを見ていると、2017-18シーズンのクリスタル・パレスを思い出します。インテルで解任の憂き目に遭ったフランク・デブールの就任は、2017年6月。アヤックス時代の3-4-3をインストールしようとしたオランダ人指揮官は、わずか77日で見限られ、プレミアリーグ開幕から4試合で解任という最短記録を刻んでしまいました。

ハダースフィールド、リヴァプール、スウォンジー、バーンリーにノーゴールで4連敗。前任のサム・アラダイスは速攻主体の4-2-3-1で、自陣で奪ったボールをベンテケやザハに預ける戦い方に慣れていた選手たちは、パス、パス、パスという指示に困惑していたそうです。混乱するチームの改善を図った指揮官が、しばしば試合中に4バックにシフトしようとしたのは火に油でした。

デヴィッド・モイーズのクラシックなスタイルと、フレン・ロペテギのプレスとトランジション重視のフットボールに、アラダイスとデブールほどのギャップはないでしょう。しかし今のウェストハムが、ジーンズを好む監督の思い通りに動いていないのは間違いありません。彼らのスタッツを見ていて気になるのは、昨季まで武器だったカウンターの激減です。

「自陣でボールをキープし、15秒以内に敵陣ボックスでシュートあるいはタッチ」をカウンターの定義とすると、昨シーズンのハマーズの12ゴールはリヴァプール、アーセナル、アストン・ヴィラに次ぐ4位でした。しかし今季は、最初の5試合でカウンターを仕掛けたのは8回。「アスレティック」のマーク・キャリー記者によると、この数字はリーグ最少だそうです。

プレミアリーグ5節までで1勝1分3敗。アストン・ヴィラ、マンチェスター・シティ、チェルシーに敗れるのはやむなしという見方もあるようですが、開幕からホーム3連敗はクラブ史上初の由々しき事態です。「ウェストハムは、ロペテギ戦術の浸透に時間がかかると認識しており、楽観的な姿勢を崩していない」という報道には納得ですが…。

ロペテギ監督が自らの戦い方を徹底しているなら、静かに見守ろうと思うものの、チェルシー戦の3バックは選手たちを迷わせてしまったのではないでしょうか。ニコラス・ジャクソンにハイラインの裏を突かれ、0-3で完敗。ギド・ロドリゲス、エドソン・アルバレス、サマーヴィルの早いタイミングでの交代は、失敗しましたと頭を下げているように感じられました。

エドソン・アルバレスは、左右のCBと意思の疎通ができておらず、ラインに生じた段差の裏を取られてしまいました。カウンターを喰らったときは、SBの裏のスペースも空いてしまい、コール・パルマーのゴールシーンは逆サイドのノニ・マドゥエケでも決まっていたでしょう。5-1の大敗だったカラバオカップのリヴァプール戦も、ツォウファルのサイドを何度も崩されています

直近の公式戦4試合は12失点で1分3敗。そのうち3つがマン・シティ、チェルシー、リヴァプールだったとはいえ、ポジショニングのミスで崩されるシーンが多かったのが気になりました。攻撃陣は、2ゴール以上決めた試合がひとつもなく、ボーウェン、クドゥス、サマーヴィルのスピードや突破力が活かされていません。

次節はアウェイでブレントフォード。エンベウモとウィサに抜け出されたら、確実にやられます。マン・シティ戦とスパーズ戦で、開始1分以内にゴールを陥れた「キックオフキング」に対して、指揮官はどんな戦術で対抗するのでしょうか。最終ラインを下げて守備の安定を求めるか、カウンターを取り戻すか、あるいは自らのスタイルを貫くのか。土曜日の一戦に注目です。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す