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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マン・シティのアーセナルへの抗議で業界騒然!プレミアリーグの「ダークアートランキング」

プレミアリーグ5節の首位攻防戦、マンチェスター・シティとアーセナルは2-2のドロー。前半の追加タイムにトロサールがレッドカードを喰らい、10人になったアーセナルがリードをキープすべく、その後の53分を自陣ゴール前で必死に耐えた壮絶なハーフコートマッチでした。試合後のプレスルームやTV番組のスタジオで話題になったのは、「ダークアート(黒魔術)」です。

「時間稼ぎは、このゲームの一部だった。私はダークアートと呼びたい。マンチェスター・シティのファンや選手たちが苛立つのは当然だ」とコメントしたのは、カイル・ウォーカー。「マッチ・オブ・ザ・デー」に登場したジョン・ストーンズは「彼らは試合を壊す」と非難し、ベルナルド・シウヴァは「レフェリーに許される限界までやろうとしていた」といっています。

スローなリスタートや、ピッチに座り込む面々にストレスを溜めていた選手たちがこれだけ騒げば、記者の視線はダークアートの使い手に向けられます。ボルトン戦の試合前会見で、「ボールを蹴り上げた選手に注意したか」と聞かれたアルテタ監督は、「ボールなしでプレイすることにした」とボケをかまし、ダークアートについて問われると、こう切り返しています。

「それは単なる意見だろう?それだけだ。誰が何といおうと言葉を鵜呑みにせず、事実に基づいて判断しよう」

この発言に対して「ならば事実をお見せしよう」と立ち上がったのは、「アスレティック」のティム・スパイアーズ記者です。題して、「プレミアリーグのダークアートランキング」。時間稼ぎに関するデータを集め、20クラブをダーティーな順に並べています。イギリスの方々の、こういうトコが大好きです。とにかく徹底度が高い…!

ここからは、20位に選ばれた「ただの人間」から最強の魔法使いまで、記者が集めたトピックスを紹介します。元の記事を読みたい方は、「アスレティック」にお金を支払って、「Ranking each Premier League club for ‘dark arts’」というタイトルを探してください。最もフェアとされたのは、男気溢れるアンジェ・ポステコグルーのチームです。

「時間をムダにするな」と指揮官に厳命されている白いシャツの選手たちは、アウトオブプレーからの対応が最も速く、1回あたり24.4秒。エティハドの出来事について意見を求められたトッテナムの監督は、「ダークアートを信じていない。やり方を知らない。私には向いていない」といい切っています。リシャルリソン以外は、この言葉に深くうなずくのではないでしょうか。

19位のボーンマスは、昨季プレミアリーグの遅延行為によるイエローの枚数が、ウェストハムとマン・シティの次に少なかったそうです。ゴールキックをゆっくり蹴るGKが移籍した今季は、さらなるスピードアップを実現しているのではないでしょうか。そういえばネトは…。ティアーズ記者は、「彼はアーセナルに行った。みんな、驚いたふりを!」と煽っています。

下位にランクされているクラブは、「指揮官が意識高い系」「魔術の使い手がごく少数」のいずれかです。ロイ・ホジソンが率いていたクリスタル・パレスは18位、デヴィッド・モイーズだったウェストハムは17位。プレミアリーグに昇格したばかりのレスターとイプスウィッチは16位と15位ですが、残留争いが本格化したら豹変するかもしれません。

デクラン・ライスをピッチから追放したフェルトマンがいるブライトンは14位。ボーンマス、アストン・ヴィラ、サウサンプトン、レスターと、4試合連続で先制しながら1分3敗と優しすぎるエヴァートンは13位です。中位グループはフラム、リヴァプール…おお、ダークアートが大嫌いなマンチェスター・シティは10位です。

昨季の遅延行為のイエローは最少で、リスタートの25.2秒は3番めに速いのですが、プロフェッショナルファールが多いということで真ん中に浮上したようです。移籍初年度に時間稼ぎでイエロー5枚のオナナと、ピッチに転んで痛がる姿が印象的なブルーノ・フェルナンデスがいなければ、9位のマンチェスター・ユナイテッドも、もっと下になるでしょう。

8位のアストン・ヴィラについて、「アスレティック」の記者は、ここぞとばかりに特定の人物を非難しています。「プレミアリーグ、いや、この国で文句なしに最大のクソ野郎は、エミ・マルティネスなのは間違いない。遅延ペナルティ、遅延ゴールキックで対戦相手のファン、選手、監督などあらゆる人々を苛立たせるキングだ」。ご本人は「何も考えていない」そうですが…。

7位のサウサンプトンは、「ラルフ・ハーゼンヒュットル監督の下で、試合を中断してみんなで話し合うという戦術を導入した先駆者」。6位のチェルシーは、「選手や監督が5分ごとに移籍を繰り返すなかで、チームに黒魔術を根付かせるのは難しいが、昨季プレミアリーグで17枚のイエローは1位」だそうです。5位ウルヴスは昨季のカードの枚数が2位で、最も時間を遣うネルソン・セメドがいます。

4位のブレントフォードは、イヴァン・トニーとニール・モペイの移籍でダークアート部門での評価が下がっているとのこと。3位に選出されたノッティンガム・フォレストは、「2023-24シーズンのリスタートの平均30.2秒はリーグ2位、今季も既に4枚のイエローカード」なら、この順位を受け入れなければなりません。

ここまで読んだプレミアリーグファンは、アーセナルの戴冠を心待ちにしており、グーナーのみなさんは「どうせ1位だろう。焦らすな!」と苛立っているのではないでしょうか。残念ながら、アルテタ監督はここでもタイトルを逃してしまいました。エティハドでのダヴィド・ラヤは、12回のゴールキックに平均45秒を費やし、たったひとりで9分を消したというのに…!

今季プレミアリーグで最多のイエロー6枚を集めたガナーズの上に立ったのは、ダークアートのエピソードが豊富なニューカッスルです。アシスタントマネージャーのジェイソン・ティンダルは、第4のレフェリーへの抗議が多く、ブレントフォードのトニー・フランク監督から「狙ってやってるでしょ。わかってるから」と名指しでディスられています。

「ニック・ポープは、ニューカッスルがひと息入れたいときや、エディ・ハウがチームに何かいいたいタイミングで負傷する」「頭を押さえて倒れるファビアン・シェアが、交代することはない」「数年前、ラッセルズはタッチラインでウォーミングアップ中にスローインを遅らせ、2回もイエローをもらった」。コレ系のエピソードを並べるだけで、1本の記事になりそうです。

こういう話になると、「アイツらはひどい!」とお怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが、「ダークアート」というワードを使っていじり倒しているだけのお笑い系レポートですので、明るくスルーしていただければ幸いです。アルテタ監督に、ダヴィド・ラヤが残した数字という「事実」をお伝えしたら、どんな答えが返ってくるでしょうか?

「終わった試合のことは考えていない。われわれは前を向いて準備を進めている」に1票。いかがでしょうか。いや、長くなりましたので、「アルテタ大喜利」は別の機会に!


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