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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ポステコグルーはターンオーバー、アモリムはリハーサル…EL決勝直前、どちらの準備が適切か?

「ガチンコの上位VS欧州優先の下位の2試合は、ホームチームの順当勝ち」。3日ほど前、フライデーナイトのプレミアリーグについて、アストン・ヴィラとチェルシーが3ポイントと予想しました。ドロー以下ならTOP5フィニッシュが絶望的になる彼らが、ヨーロッパリーグの決勝に集中しているスパーズとマンチェスター・ユナイテッドに負けるわけがないと見ていたのです。

結果は予想通りで、ヴィラ・パークは2-0、スタンフォード・ブリッジは1-0。アストン・ヴィラとチェルシーは66ポイントで並びましたが、得失点差が20のチェルシーが4位で、9しかないヴィラは暫定5位です。マレスカ監督と選手たちは、最終節のノッティンガム・フォレスト戦で勝てばOK。エメリ監督のチームがTOP5で終わるためには、ライバルの失敗が必要となります。

オールド・トラフォードでヴィラが勝った場合は、「ニューカッスルが2戦連続勝利なし」「マンチェスター・シティが1勝1敗」「チェルシーが敗戦」のいずれかが起こればCL出場権を獲得。負けてしまえば、「マン・シティがボーンマスとフラムに連敗」という厳しい条件となります。激戦のTOP5争いの次なる興味は、日曜日のアーセナルVSニューカッスルです。

一方、金曜日にあっさり負けたスパーズとマンチェスター・ユナイテッドは、好対照の戦い方でした。ポステコグルー監督が選んだ11人のなかで、来週のスペインでも先発する可能性があるのはソン・フンミンだけでしょう。GKキンスキーと、4バックのジェド・スペンス、ダンソ、ベン・デイヴィス、レギロンはガチガチのBプランです。

中盤センターはアーチー・グレイとパペ・マタル・サール。2列めはキャプテンとマイキー・ムーア、オドベールの3枚で、最前線はマティス・テル。若手のなかにベテランをまぶしたチームは見せ場を作れず、シュート18対3、オンターゲット10対1では敗戦もやむなしでしょう。ヴィラの先制は59分のCKで、オリー・ワトキンスが頭で折り返したボールを押し込んだのはコンサでした。

勝負を決する追加点は73分。右サイドから仕掛けたモーガン・ロジャースがボックス右手前のブバカル・カマラに預けると、カットインから放った左足のシュートがキンスキーの右手の先を抜けました。マルセイユから入団したセントラルMFは、3年めでプレミアリーグ初ゴール。ポステコグルー監督は、直後にベンタンクールとソランケを投入するも、スコアは動きませんでした。

コンディショニング優先のスパーズに対して、ルーベン・アモリムはチェルシー戦を本番の予行演習と位置付けたようです。しかしこちらもシュート11対4、オンターゲット3対1と圧倒されました。ブルーノ・フェルナンデスをセンターに下げてカゼミーロと並べ、アマド・ディアロ、メイソン・マウント、ホイルンドを前線に配する布陣は完全なる空転に終わっています。

前半の唯一のシュートは21分。左サイドのドルグのグラウンダーに走り込んだメイソン・マウントは間に合っておらず、スライディングで触ったボールは右のタッチラインを超えています。後半のチャンスメイクはアマド・ディアロ頼みで、52分にパスを受けたメイソン・マウントのダイレクトショットは左に逸れ、55分に同じ形から狙ったブルーノは打ち上げてしまいました。

71分のロングフィードを、右サイドでキープしたのはペドロ・ネト。内側にいたリース・ジェームズに預けると、美しいターンでガルナチョをかわして浮かしたクロスは、マズラウィを置き去りにしたククレジャの頭にぴったりでした。79分のアマド・ディアロの強烈なシュートは、ロベルト・サンチェスがセーブ。絶対に負けられなかったホームチームが勝ち切りました。

ポステコグルーはターンオーバー、アモリムはリハーサル。3月以降のプレミアリーグで1勝2分7敗のスパーズも、4月から8戦連続勝利なしのマンチェスター・ユナイテッドも、直近のリーグ戦2試合はノーゴールです。主力温存という言い訳を成立させたオーストラリア人と、本番に向けてデータを蓄積したというしかないポルトガル人は、どちらの判断が適切といえるのでしょうか。

チェルシー戦におけるマンチェスター・ユナイテッドの収穫は、リンデロフの無難なディフェンス、ブルーノのクロスを叩き込んだマグワイアの幻のボレー、アマド・ディアロのコンディションの向上ぐらいでしょう。敗戦の後、「ビルバオでの人選とチームづくりが明確になった」と語った指揮官は、どんな布陣で戦うのか。最大の見直しポイントは、最前線でしょう。

58分のカウンターのチャンスで走らず、ブルーノを激怒させたホイルンドは、トシンとのデュエルで倒された後も、カゼミーロに体を張って踏ん張れとオーダーされています。スパーズとの決戦で速攻を重視するなら、アマド・ディアロを最前線に配して2列めにブルーノとガルナチョという並びのほうが、ゴールに迫れそうです。

休養充分のスパーズが17年ぶりにトロフィーを手にするのか、改善策を得たマンチェスター・ユナイテッドが欧州を無敗で制するのか。負傷者を増やしたくなかったのか、スパーズはボデ/グリムト戦の直後のクリスタル・パレス戦もBチームで戦っています。13日という長きに渡って主力のフル出場がないという状態は、必ずしもプラスではないと信じたいのですが…。


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