2025.09.20 チームの話題(全体・他クラブ)
プレミアリーグで4戦連続ノーゴール…ウナイ・エメリのアストン・ヴィラが不振に陥った理由。

そこから、まさか4戦連続でノーゴールとは…。2節で当たったブレントフォードは、エンベウモとウィサがいた昨季でもダブルを喰らわせており、プレミアリーグで39発のコンビが不在の今は戦いやすかったはずです。エメリのチームは、オリー・ワトキンス、モーガン・ロジャース、マッギン、ティーレマンス、パウ・トーレスら昨季の主力が揃ったベストメンバーでした。
主導権を握ると思われていたヴィラは、12分にワッタラに決められるまで、浮足立っていました。3分のピンチは、ルーズボールをカットしようとしたアマドゥ・オナナの空振りがきっかけです。ダムズゴーとワンツーをかわし、一気にゴールに迫ったカヨデのシュートコースは切ったのですが、左にまわったダムズゴーに3人がごぼう抜きにされ、きわどいシュートを打たれました。
失点シーンは、ケレハーのフィードをイゴール・チアゴがフリックし、ワッタラとパウ・トーレスの前にボールが出ただけでした。スピードで負けそうになったCBがスライディングで触ると、ボールはワッタラが走るコースに転がってしまい、エミ・マルティネスと1対1。最初のシュートを止めた守護神は、こぼれ球をプッシュされた2発めを見送るしかありませんでした。
これで目が覚めたヴィラはポゼッション76%と攻め続けたのですが、17本のシュートのうち枠に飛んだのは、アマドゥ・オナナとマッギンのミドルのみ。ノーゴールで敗れたとはいえ、敵地ジーテックで1-0はまだ許せたのですが、3節は本拠地ヴィラ・パークでエゼがいないクリスタル・パレスに0-3の完敗でした。
この試合の敗因のひとつは、主力の不在でしょう。中盤センターのアマドゥ・オナナとブバカル・カマラが負傷リタイア。マンチェスター・ユナイテッドに移籍間近と報じられたエミ・マルティネスもおらず、ゴールマウスにいたのは34歳のビゾットでした。21分の失点はPK。マテタのスルーパスでマッティ・キャッシュの裏に出た鎌田大地を、ビゾットが倒してしまいました。
マテタが第2GKの逆を突き、左に決めて0‐1。激痛の2点めは67分、コンサのクリアを左サイドでカットした鎌田大地がマーク・グエイに預けると、デル・ピエロのような美しいコントロールショットが右隅に収まりました。3点めは、最近流行りのロングスロー。レルマが右から入れたボールをラクロワが頭で後方に送り、イスマイラ・サールのヘッドがネットを揺らしました。
この試合もポゼッション58%、シュート13本と攻めていたのですが、4本のオンターゲットはすべてディーン・ヘンダーソンの守備範囲でした。グディソン・パークでエヴァートンと戦った4節は、スコアレスドロー。シュート数20対7と押しまくられた一戦も中盤が不安定で、83分のリンデロフのMF起用は、マンチェスター・ユナイテッドサポーターとしてはおすすめしません。
昨シーズンのチャンピオンズリーグでベスト8のチームが、降格ゾーンの19位は大事件です。ヴィラはなぜ、不振に陥ってしまったのでしょうか。要因を探っていくと、昨シーズンの最終節、マンチェスター・ユナイテッドに2-0で敗れたオールド・トラフォードに行き着きます。勝てば2年連続のCLチャレンジだったチームは、あてにしていた大きな収益を失ってしまったのです。
PSRとUEFAのルールをクリアしなければならなくなり、移籍金を支払って獲得した即戦力はニーズにいたエヴァン・ゲサンのみ。レンタル終了のラシュフォードとアセンシオの穴が埋まらないまま、開幕を迎えることになりました。デッドラインデーに駆け込みでゲットした3人は、リンデロフがフリーエージェントで、サンチョとエリオットはローンです。
トランスファーマーケットといえば、「テレグラフ」のジョン・パーシー記者は「現有戦力に大量のオファーがあったのも不振の理由のひとつ」と指摘しています。オリー・ワトキンスはニューカッスルとマンチェスター・ユナイテッドで、モーガン・ロジャースはチェルシー、アーセナル、トッテナム。絶不調の23歳のMFは、プレイに集中できていなかったようです。
エミ・マルティネスは2試合をスキップ。ジェイコブ・ラムジーはニューカッスルに移籍し、レオン・ベイリーはASローマにローン移籍となっています。前線の選手がごっそりいなくなったうえに、期待の若手が動揺してしまい、チャンスメイクが最も多いのが退団濃厚だったエミリアーノ・ブエンディアという混乱が、ノーゴールという結果につながったのだと思われます。
イングランドのリーグ2(4部相当)以上の92クラブで唯一のノーゴールだったクラブは、火曜日のカラバオカップ3回戦で、ブレントフォードに返り討ちにされてしまいました。ただし、PK戦にもつれ込んだこの試合は1-1。待望の今季初ゴールは、9月に加わったエリオットでした。ビルドアップのミスを突いたゴールでしたが、チームのムードを変える貴重な1発といえそうです。
プレミアリーグ5節は日曜日、スタジアム・オブ・ライトでサンダーランド。昇格チームとはいえ、ウェストハムとブレントフォードを下して6位に食い込んでおり、侮れない相手です。ティーレマンスの欠場は気がかりですが、サンチョ、モーガン・ロジャース、エリオット、ブエンディアは大いに期待できるでしょう。初勝利で自信を得て、EL初戦に臨んでもらえればと思います。
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