偏愛的プレミアリーグ見聞録

ケジュマン、クレスポ、シェフチェンコ、フェルナンド・トーレス、ファルカオ、イグアイン、モラタ、そしてヴェルナーとルカク。チェルシーの9番というポジションは、成功者より失意のうちに去った選手のほうが圧倒的に多い印象があります。ロマン・アブラモヴィッチが来てからレジェンドといえるのは、プレミアリーグ254試合104ゴールのドログバと、89戦52発のジエゴ・コスタぐらいでしょう。

プレミアリーグにおける過去5シーズンのゴール数ランキングを見ると、TOPは28発のエデン・アザール。2位は24ゴールのメイソン・マウントで、3位はローマに移籍したタミー・アブラハムです。4位プリシッチ、5位は何とマルコス・アロンソ。6位はPKキッカーのジョルジーニョで、3年前に退団したウインガーを超えるゴールゲッターが出現する気配はありません。

さて、ロメウ・ルカクのインテル復帰が合意に至った今、チェルシーは新たなストライカーを必要としています。ターゲットとして名前が挙がっているのは、バイエルンから離れたがっているロベルト・レヴァンドフスキ、野心がないクラブに疑念ありと報じられたクリスティアーノ・ロナウド、バルサとの契約が満了となるウスマン・デンベレ、エヴァートンに満足していないリシャルリソンです。

候補のひとりといわれていたガブリエウ・ジェズスがアーセナル移籍となれば、ラヒム・スターリングの獲得は難しくなりそうです。レヴァンドフスキはバルサのターゲットで、CR7はマンチェスター・ユナイテッドの引き留めによって再び残留に傾く可能性があります。昨季ラ・リーガで21試合1ゴール13アシストのウスマン・デンベレは、ACミラン移籍が噂されているツィエクの後釜と考えたほうがいいでしょう。

ドイツの得点王とマン・ユナイテッドのレジェンドの懸念は、獲得の難易度だけではありません。前者は33歳、後者は37歳でいずれも王様タイプ。急激に衰える可能性とトゥヘル戦術にはまらないリスクがあり、指揮官と軋轢が生じたらやっかいです。現状のリストのなかで最もフィットしそうなのは、ワールドカップ出場と自らのキャリアアップというモチベーションがあるリシャルリソンではないでしょうか。

プレミアリーグ通算135試合43ゴール。単独で最終ラインを崩す力があり、頭で決めることもできます。2021-22シーズンのタックル成功40回は、ストライカーのなかではリーグTOP。守備に難があるベテランよりも、トータルの貢献度は上となる可能性が高そうです。

チェルシーで失敗したストライカーの顔ぶれを見ると、「既にピークを過ぎていた」「プレミアリーグ経験がなかった」選手が大半を占めています。リシャルリソンは25歳。マルコ・シウヴァ、アンチェロッティ、ベニテス、ランパードと監督がめまぐるしく代わったチームで結果を出し続けてきたのもプラス評価でしょう。トッド・ベイリーの新生ブルーズは、結局ベテランに手を伸ばすのか、それとも…!?