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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ベルギーブームの次は旧ユーゴスラヴィア? プレミアリーグに続々若手アタッカーが参入!

アザール、ルカク、ベンテケ、フェライニ、ミララス、ヤヌザイ、ミニョレ…このところ、プレミアリーグで大暴れをしていた外国人選手といえば、ベルギー代表の選手たち。ワールドカップでグループリーグを3連勝してベスト8に食い込んだオランダの隣国は、まさに今、黄金時代を迎えつつあります。ここに挙げた顔ぶれは、今季のプレミアリーグでも、クラブの顔として活躍するでしょう。一方、この夏の移籍市場で目立つのは、セルビアやクロアチアなどの旧ユーゴスラヴィアの若手たち。リヴァプールが、ベンフィカに所属するセルビア代表FWラザル・マルコヴィッチの獲得目前と報じられましたが、先週、セインツとチェルシーが、それぞれセルビアとクロアチアのMF獲得を発表しています。

ルーク・ショー、ララナ、リッキー・リー・ランバートの放出で得た収入は100億円以上。シュナイデルラン、デヤン・ロブレンにも移籍話があるサウサンプトンは、プレミアリーグ残留を果たすためにも新戦力を獲得しなければなりません。逆襲の第一弾として、先日発表されたのは、エールディヴィジのトゥヴェンテに所属していたセルビア代表MFドゥシャン・タディッチ。移籍金は非公表ですが、オランダでは1400万ユーロ(約19億円)と報道されていたようです。

セインツの新監督、ロナルド・クーマンが、フェイエノールトで指揮をとっていたときに既に狙っていたといわれるタディッチは、2010-11年にフローニンゲンでエールディヴィジデビュー。2012-13シーズンにトゥヴェンテに移籍し、昨季は33試合出場で16ゴール、14アシストと、出色の働きをみせました。セインツでの役割は、右サイドを制圧していたアダム・ララナの後継者ということになります。北京オリンピック代表でもあり、既にセルビア代表として23試合、6ゴールというレコードを残している25歳は、以前にバルセロナにも関心を持たれていた逸材。プレミアリーグに適応さえすれば、ララナを超える活躍をみせてもおかしくありません。

そして、一昨日チェルシーが獲得を発表したのは、ハイデュク・スプリトのMFマリオ・パシャリッチ。こちらはまだ19歳ですが、昨季のリーグ戦では36試合11ゴールという活躍で、リーグ3位に食い込んだクラブになくてはならない存在でした。その勢いをかって、この夏ワールドカップに出場したクロアチア代表の予備登録メンバー30名に選ばれ、いずれは代表の中軸を担う選手という評価を集めています。ランパードが好きと公言するなどチェルシーに対する思い入れも強いようで、しばらくローンに出されて経験を積んだら、5年後にはスタンフォード・ブリッジのアイドルとしてサポーターの喝采を浴びているかもしれません。

私は、ストイコヴィッチ、サヴィチェヴィッチ、プロシネツキ、ボバンなど、素晴らしいテクニックとパスセンスを持つ選手が揃っていた1990年代初頭のユーゴスラヴィアが大好きでした。国家の崩壊に伴うセルビア、モンテネグロへの制裁によって大会を締め出された92年の欧州選手権に「東欧のブラジル」が出ていたら、デンマークではなく彼らが優勝していたのではないかと今でも思います。国が7つに分かれても、クロアチアは国際大会の常連。ボスニア・ヘルツェゴビナは今回のワールドカップでアルゼンチンと互角に戦い、セルビアとスロベニアも小粒ながら多くのタレントを輩出しています。

開催地のスウェーデンに到着した直後に、ストイコヴィッチらが空港で出場資格はく奪を聞かされた92年の悲劇の後に生まれたマルコヴィッチとパシャリッチが、あの頃の夢を継ぐ存在として、プレミアリーグを舞台に成長したら…。20歳前後のふたりより、ひと足早く活躍しているチェルシーのマティッチと、セインツ浮沈のカギを握るタディッチという「25歳コンビ」の活躍を先に見ることになりますが、テクニカルで楽しい旧ユーゴスラヴィア勢に注目してまいりたいと思っています。リヴァプール、獲れますかね?マルコヴィッチ。(ドゥサン・タディッチ 写真著作者/Fakwes)

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