スターリング、ハリー・ケイン、ベラヒーノ…高騰する「ホームグロウン」と「若さ」の値段!
先頃、プレミアリーグに別れを告げたリオ・ファーディナンド氏のツイートに、深くうなずいた方も多いのではないでしょうか。連日、現地紙を賑わせているプレミアリーグの移籍関連記事のなかで、イングランド人の若い選手が高値で交渉テーブルに上がっているという話に触れると、ときどき絶句してしまいます。ハリー・ケインやスターリングが才能があり、多くの可能性を秘めていることに異論はないものの、トッテナムの新エースがゴールを量産した期間はわずか半年。スターリングは昨季プレミアリーグで7ゴールと、決める力においては14発のアザールの半分、シャドリやウォルタースさえも下回っています。イングランド代表においても、ハリー・ケインは3月に代表デビューしたばかり。スターリングも、同じ3月にようやく初ゴールを決めたばかりと、まだまだ中心選手とはいえません。
2002年、日韓ワールドカップ直後に、DFとして最高額となる3000万ポンド(当時のレートで約64億2000万円)でリーズからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したリオは、こんなこともいっています。「私がマンチェスター・ユナイテッドに移籍するまでに出場したプレミアリーグとチャンピオンズリーグの試合数を見てほしい。そう、ワールドカップもだ!この件と比べないでくれよ。まったく別の話だ」。これもまた、おっしゃるとおりと深くうなずくわけであります。ホームグロウン選手の高騰は、相場の倍の値段がついている感覚です。1年前、チェルシーに入団したセスク・ファブレガスの3000万ポンドを、当時は「少し高いな」と思っていたのですが、今みると激安に見えてしまいます。しばらくは、この傾向は過熱することはあっても、落ち着くことはないでしょう。
そんななかに、もうひとつ耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。イギリス紙「デイリー・スター」が報じた「トッテナムが、サイド・ベラヒーノ獲得のために、アーロン・レノンとタウンゼントの譲渡を検討」。…マジすか?いや、事実かどうかの前に、こんな話が新聞に載ること自体にびっくりです。ホジソン監督の覚えめでたいタウンゼントは代表の準レギュラーで、まだ23歳です。イングランド代表で3ゴールを決めている若いサイドアタッカーと、昨季プレミアリーグで14ゴールとはいえ代表では実績がない21歳ストライカーのトレードは、基本は等価交換ではないでしょうか。多少、差額が乗るぐらいならともかく、中堅クラブなら絶対的に計算できるアーロン・レノンを付けるとは…。競馬でときどき見かける、「底を見せていない」という理由だけで日本ダービーの一番人気に推される馬のようなもの。スターリングやハリー・ケインもそうですが、ホームグロウン云々だけでなく「若さの値段」もおかしくなっているように思います。トッテナムとWBAのお話が、タブロイド紙の記者が部数を狙ったちょっぴり悪趣味な作文であることを祈っております。
異常な高騰の背景にあるのは、「イングランド人の有望な選手が少ないこと」、とりわけCBとセントラルMFにタレントが極めて少ないことがあるのではないでしょうか。後ろと真ん中を外国人選手で埋めるしかないので、登録メンバー25名中8名はホームグロウン選手を入れないといけないというルールを満たそうとすると、ストライカーとサイドアタッカーの獲り合いになるという図式です。
とはいえ、「ホームグロウンルールなど止めるべき」という意見は、それはそれで暴論でしょう。イングランドの自国強化と長期的なプレミアリーグの繁栄をめざして覚悟を決めて始めたこの施策が機能して、優秀な選手が数多く輩出されるようになれば、各々の値段は落ち着くはずです。21歳以下の世代からいい選手が出始めているのは確かなので、楽観シナリオではあるものの、3年~5年経てば状況は変わるのではないかと思います。
と、書いたばかりですので、イングランドU-21代表は今日のスウェーデン戦に負けないでくださいね。U-21欧州選手権の優勝候補ではないかと期待して見ていたのですが、初戦のポルトガル戦は0-1で沈黙。今日負ければ、イタリアとポルトガルの結果次第で予選敗退の可能性があります。「ハリー・ケインはマジカル。多くのクラブが彼のようなスコアラーをほしがっている。ボスマン・プレイヤー(自由契約選手)の僕は、チーズバーガーより安いけどね」と語るのは、マンチェスター・シティを追われたスウェーデンU-21代表のグイデッティ。彼がゴールを決めて勝利し、ハリー・ケインがノーゴールで大会を去るようなら、4000万ポンドという評価はやはり5割引きで見積もったほうがいいのではないかと…。ですよね、リオ!
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ファブレガスの3000万ポンドは、1年前の頃から安かったと思ってました。彼はほぼ全てのタイトルを獲得している、世界屈指のパサー。お買い得過ぎました。イングランド若手高騰の原因は、少なからずユナイテッドにあると思いますよ。ルーク・ショーの件です。彼の場合は、上記の2名より安定した成績を残し実力も確かですが、そこから値段が跳ね上がったように思います。買い手がいなければ、値段は上がらないですからね。
アーセナルは現時点でHGが9人(FW2人MF3人DF2人GK2人)U21にもチェンバース&ベジェリンと
確実に戦力になる選手が控えているの自分的には高みの見物ですが、HG対策を軽視してきた
クラブは高いツケを払わされることになりそうですね。
その代表格と自分が思っているチェルシーとシティは優秀なユースを抱えるものの、トップで
若手を使うことをして来ませんでしたが、今後はどの様にしていくかに注目したいと思っています。
Joeさん>
マンチェスター・ユナイテッドがトリガーのひとつであり、象徴的だったのは確かだとは思いますが、たとえば昨季セインツから売られた選手は全体的に高めで、既に相場は上がっていたのも確かだと思います。今は、値段が跳ね上がるサイクルが早くなりすぎていますね。1シーズンの活躍で高値になってしまうのは、トップクラブにとって危機的な状況だと思います。
ゆうまさん>マン・シティは厳しい状況ですが、チェルシーは自前の育成でも青田買いでも優秀な選手を抱えており、軽視はしていなかったと思います。これからモウリーニョさんが、今まで築いてきたインフラを活かしきれるかですね。
makotoさん>
自分はモウリーニョではチェルシーが今まで築いてきたインフラを生かし切れないと思います
一年前ローンバックして来たルカクとクルトワは揃ってポジションの保証を求め、結果
ポテンシャルが有りHG権が取得可能なルカクを失い、クルトワにポジションの保証をする事で
一年後チェフをも失う事になり、戦力が+2になる筈が結局-1になってしまいました。
元々モウリーニョは控えや若手にチャンスを多く与えるタイプではなく、14/15シーズンは更に
その傾向が強くなり。このままでは野心にあふれる若手選手がチェルシーの呼び戻された時には
ルカク&クルトワの様にチェルシーに踏み絵を迫る事が繰り返されるのではないかと考えています。
それが繰り返されない為にはモウリーニョがこれまで成功を積み重ねてきたやり方を
大きく変える必要がありますがそれは決して簡単なことではないですから。